コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
第5章
翌朝、空は真っ青だった。
けれど、じゃぱぱの胸は曇り空だった。
「誰かを選ぶって……そんなの、できるわけない」
前の晩、SnowMan9人から告白されたじゃぱぱは、温泉宿のテラスで一人、考え込んでいた。
思い出すのは、優しい声。
笑ってくれた顔。
自分を大切にしてくれた言葉。
どれも全部、嘘じゃなかった。
だからこそ、傷つけたくなかった。
「それでも、ちゃんと答えないと……」
拳をぎゅっと握りしめ、じゃぱぱは立ち上がった。
夕方、じゃぱぱは全員を呼び出した。
9人が一列に並ぶ姿は、まるで最終選考会。
「昨日のこと……全部、本当にびっくりしました。正直、どうしていいかわからなかった」
じゃぱぱの声が震えていた。
「でも、逃げるのは違うって思った。だから……自分の気持ち、ちゃんと伝えます」
みんなが固唾をのんで見守る中、じゃぱぱは――
目黒蓮の前に、一歩、足を進めた。
「目黒くんの言葉が、ずっと胸に残ってた。最初に“魅力的”って言ってくれて……なんか、自分がちょっとだけ特別になれた気がした」
「一緒にいた時間はそんなに長くなかったのに、不思議と安心できた。気を張らずに、自然体でいられたんだ」
目黒の目が、大きく見開かれる。
「他のみんなのことも、大好きです。だからこそ……ごめんなさい。俺が選ぶのは……目黒くん、です」
じゃぱぱが深く頭を下げると、沈黙のあと――
目黒が、優しく笑った。
「……ありがとう。俺も、ずっとじゃぱぱを見てた」
じゃぱぱの目に涙が浮かぶ。
「…嬉しい。でも、みんなには申し訳なくて……」
他の8人は、それぞれ複雑な表情を浮かべながらも、ふっ…と微笑んだ。
「…目黒に持ってかれたかー!」(康二)
「そっか。なら、これからは俺たちがふたりを見守る番だな」(岩本)
「動画は引き続き一緒に撮ろうね!もちろんゲーム実況も!」(佐久間)
「幸せになんなよ〜!泣くぞ俺〜!」(阿部)
「……じゃぱぱを選んだなら、それが一番いい答えだと思うよ」(渡辺)
「これからはライバルじゃなくて、味方やな」(深澤)
「目黒、ちゃんと守ってあげて」(宮舘)
「じゃぱぱが幸せそうなら、それでいいや」(ラウール)
そして、最後に。
目黒はじゃぱぱの手をそっと取り、囁いた。
「これからは俺のそばで、もっと笑って。…俺がその理由になるから」
その瞬間、じゃぱぱの目から大粒の涙がこぼれ落ちた。
――こうして、9人の恋の戦いは幕を閉じた。
たったひとりの、“本気の恋”が始まった。