私
に足りないものばかりですね。
まあ、そうでしょうね……。
今度こそは上手くいくはず。
さて、それはどうかしら? あなたはまだ何もしていないじゃない。
また失敗するかもしれないわ。
失敗を恐れない人間はいない。
だから、失敗したときのことも考えるのです。
それじゃあダメだって言ってるの! どうしてわからないのかしら? なぜ同じ過ちを繰り返すのかしら? あなたには期待できないわ。
あなたのやり方では誰も救えない。
みんなを傷つけるだけだから。
ああ、なんて愚かなんだろう。
それでもまだ続けるつもりなのかしら? あなたは間違っている。
このままだと、いつかきっと後悔することになる。
こんなことを続けていても無駄だよ。
結局は何も変わらない。
あなたはいつもそうだ。
いつまで経っても、進歩しない国だと呆れるかもしれない。
しかし、人間社会における変化というものは、 常に同じスピードで行われるわけではないのだ。
急激な環境の変化に、ついていけない人々もいる。
たとえば、それは人間関係においても言えることだ。
昔のように親しく付き合っていた友人同士であっても、 ふとしたきっかけから疎遠になってしまうことがある。
あるいは逆に、まったく関わり合いがなかったはずの人物同士が、 いつしか親密になることもある。
これらは、いわゆる『時間の経過』によるものではないだろうか? そう考えると、急に楽になった。
時間はただ流れるのではなく、流れながら変化していくのだ。
例えば、ある地点から次の地点へ直線的に移動するわけではない。
時間の流れとともに移動して、ある地点で止まるのだ。
つまり、時間が経てば、何もかもが変わる。
それは、当然のことなのだ。
「それなのに……」
なぜ自分は、こんなにも変わることを恐れているのか? 変われば変わってしまうことに怯えるのは、何故なのか?
「そうだ……」
きっと自分が変わらないために、何かを変えようとしているからだ。
しかし、だからといって、いったい何を?何もしないで、ただ待っているだけではダメなのか?
「自分の力で解決できない問題なんてない!」
そう思うからこそ、今こうして必死になっているんじゃないか! それなのに……なぜ誰も分かってくれない!?
「……あのさぁ、あんまり難しく考えなくて良いんじゃね?」
「えっ?」
「確かにお前さんは他人より頭が良いかもしれんけど、人間てのは誰でも得手不得手があんだよ。勉強が得意な奴だって、苦手なことはあるだろ? それにほら、俺なんか見ての通りバカだからさ! ははは!」
「…………」
(なんでこんなことになっちゃったのかしら?)
少女は困惑していた。
目の前にいる男は、先ほどからずっとニコニコ笑っている。
少女は自分の顔を隠すようにうつむきながら、「……はい」とうなずくしかなかった。
「ところで君の名前は?」
「……ロザリーです」
「そうか、よろしくなロザリーちゃん!」
男はいつもそうだった。
どんなに愛していても、結局、裏切られて終わるのだ。
だから、恋愛なんてくだらないと思っていたのだが……。
いつの間にか恋に落ちている自分に気づいた時には遅かった。
「好きだ」
言ってしまった言葉を飲み込むことはできず、想いを告げるしかなかった。
しかし、女の反応は男の予想とは違うものだった。
「ごめんなさい」
女の答えを聞いてからというもの、男の生活は一変してしまった。
今まで通りで良いはずだったのに……
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