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第69話 「アドバンテージ」

店に入り、嫌な予感がした鞘佳。

だがしっぽを巻いて逃げる、という選択肢などもちろんないわけで――そのまま、店内に進む。

「――いらっしゃいませ」

「いらっしゃいませー!」

楓が鞘佳を見つけて声をかけると、女性店員も一緒に笑顔で挨拶してきた。

長い髪をまとめて束ね、動きやすそうなホール用の制服に身を包む女性。

幼さの残る顔立ち、元気でエネルギッシュな雰囲気が伝わってくる。

おそらく、鞘佳たちより年下だろう。

(前はいなかったから……新人さんかな。明るくて愛想がよくて、かわいい子だ……心配しすぎたかな)

そんなことを思っていると。

「……いつもの席、空いてるぞ」

「あ、そう……ですか。ありがとうございます」

(え、声かけてきた!? わざわざ!?)

と思ってから、そういえば楓の姿を見かけるのは、いつも席についてからだったことを思い出す。 ********

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両片思いをこじらせている二人の話。

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