テラーノベル
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第九話Start
いるまの膝枕の上で、緊張の限界を迎えたすちが、朝方になってようやく小さな寝息を立てて深い眠りに落ちた。
完全に意識を手放したその瞬間。
「…………すち、よく頑張ったね」
ベッドの上で眠っていたはずのらん、なつ、みこと、こさめの4人が、同時にスッと目を開けた。
寝ぼけた様子など微塵もない。
その瞳には、裏社会を震撼させる伝説の暗殺集団『シクフォニ』としての、凍りつくような冷徹な光が宿っていた。
いるまがすちの頭を優しく自分のジャケットの上に移動させ、音もなく立ち上がる。
らんがすちに毛布を優しくかけ直すと、5人は声を出さず、インカムの電源をオンにした。
『……よし。すちが完全に寝た。作戦開始だ』
らんの低く冷たい声がインカムに響く。
『やっと動けるわ。身体が鈍るかと思った』
なつが首の骨をゴキリと鳴らし、ポケットから愛用の暗殺用特殊ナイフを取り出す。
『みこちゃん、位置情報は?』
こさめが、いつもの可愛らしいトーンとは全く違う、底冷えするような声でみことに問いかけた。
『バッチリだよ、こさめちゃん。すちくんのお父さんが手配した、次の暗殺者たちの車。ここから3キロ先、廃工場に向かってる。……すちくんを確実に消すために、武器を調達しに行くみたいだね』
みことがスマホの画面を見つめながら、ゾッとするほど美しい冷笑を浮かべる。
『……あのクソ親父、本当に学習しねぇな。俺たちのすちに銃口を向けようとした代償、きっちり身体に刻んでやるよ』
いるまが愛銃のセーフティを外し、カチャリと冷たい金属音を部屋に響かせた。
5人は眠っているすちの顔を、もう一度だけ愛おしそうに見つめる。
そして、次に振り返った時には、全員の顔から「優しさ」が完全に消え失せていた。
彼らは窓から、夜明け前の街へと音もなく飛び出していった。
*
*
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AM 5:30。街外れの寂れた廃工場。
「おい、例のターゲット(すち)の暗殺、シクフォニが動かないから俺たちが……」
父親に雇われた別の組織の暗殺者たちが、武器のトランクを開けた、その時だった。
バチィィンッ!と、工場の電源がすべて叩き切られ、辺りは一瞬で漆黒の闇に包まれる。
「な、なんだ!? 停電か!?」
「いや、違う……! 誰かいる……っ!」
闇の向こうから、軽やかな足音が近づいてくる。
「あはは、見ーっけ。すちくんに近づこうとする悪いネズミさんは、こさが全部お掃除しちゃうからね?」
こさめの楽しげな声が響いた直後、闇の中でナイフが閃き、暗殺者の一人が悲鳴を上げる間もなく崩れ落ちた。
「ひっ……! こ、こさめ……!? ということは、シクフォニか!?」
「正解。でも、気づくのが遅すぎ」
暗闇から現れたみことが、一瞬の居合で二人目の武器を叩き落とし、そのまま容赦なく首元を制圧する。
「な、なぜ依頼ターゲットのガキを守る……!」
生き残った一人が怯えながら銃を構えるが、その手首を、なつが背後から凄まじい力で掴み取った。
「おい、口の利き方に気をつけろよ。その綺麗な『ガキ』は、俺たちのなんだわ。気安く触ろうとしてんじゃねぇよ」
なつがライターの火を灯す。
その炎に照らされたなつの顔は、まるで悪魔のように冷酷で、美しい。
なつが手を一振りした瞬間、男は悲鳴を上げて転がった。
「おい、無駄話してねぇでさっさと片付けろ。すちが起きる前に帰るぞ」
いるまが闇の中から正確に銃弾を放ち、残りの逃げようとした奴らの足を完璧に打ち抜いて無力化していく。
最後に、らんが倒れた男たちの前にゆっくりと歩み寄り、冷たい目で見下ろした。
「このことを、あの依頼主(父親)に伝えな。
『すちに手を出す奴は、たとえ実の親だろうが、組織ごと地球上から跡形もなく消し去る』ってね」
らんの圧倒的なプレッシャーに、暗殺者たちは恐怖で声も出せず、ただガタガタと震えることしかできなかった。
*
*
*
AM 6:30。すちのアパート。
「う、ん…………」
すちは、窓から差し込む朝の光でゆっくりと目を覚ました。
寝不足で頭がぼーっとする中、身体を起こして周囲を見渡す。
キッチンからは、トントンと小気味いい包丁の音が聞こえていた。
「あ、すちくん起きた? おはよう! 今、朝ごはん作ってるからね〜」
みことが、いつもの満面の癒やし系スマイルで振り返る。
ソファでは、らん、いるま、なつ、こさめの4人が、「おはよー」「よく眠れた?」と、さっきまで裏社会のプロをボコボコにしていたとは思えない、いつもの優しい笑顔で寛いでいた。
「みんな……おはよう……」
すちは目をこすりながら、やっぱりまだ距離感がバグっている5人に囲まれ、いつも通りのタジタジな朝を迎えるのだった。
5人の服から、ほんのりと硝煙と夜の冷たい風の匂いがすることに、すちは最後まで気づかない。
次回♥️380💬1
#ご本人様には関係ありません
めら✨
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コメント
13件
コメント失礼します! あの,,, ( '-' )スゥゥゥ⤴︎︎︎ 前世も来世も神ですよね??? え、好き☆
初コメです、 とりあえず言っときます 神ですか?
うわあ、第九話、めちゃくちゃかっこよかったです…! すちくんが寝た途端に切り替わる「シクフォニ」の豹変ぶりが本当にゾクゾクしました。特に、普段の優しい姿とのギャップがたまらないですね。暗殺者たちを蹴散らすシーンの無駄のない描写と、最後にすちくんの前で再び見せる優しい笑顔…そのギャップにやられました。彼らが帰ってきた後にほのかに漂う硝煙の匂いという演出も、すごく好きです。次回も楽しみにしています!