無事(?)登録を完了した俺は、早速依頼を受けることにした。
いやー楽しいですな。こう、のんびり野草(薬草)をむしるってのは。ん?草に失礼?ごめんごめん。でも、それくらい気が抜けてるってこと。
これ、結構俺的に珍しいんだからな?
「あ、そうだ」
今まで休み無しで魔物狩ってたし、あいつらにも経験させてあげよう。いちばん効果的なのは⋯二度としたくないランキングダントツ1位の徹夜。うん。これだ。
「そろそろ俺が起こした問題に気づいた頃だし、動いてもいいだろう」
あの第2王女には散々やられたしな。
「よし。そうと決まれば計画を立てないとな」
さっさと依頼終わらせよっと。
⋯⋯っ。《魔力感知》の反応?森の中か。
どうやら戦闘中らしい。
『グオオオオ!!!』
『きゃあああっ!』
おいおい、俺いつフラグ起てた?平凡な一日じゃなくなったじゃないか。
女の子の声がする方へ急いで向かう。
「大丈夫か?⋯って、メガオークじゃねーか!!」
叫んだ。誰よりもでかい声で。
どうやら《対魔物系魔法》の魔力が込められていたらしく、メガオークは俺の声でダウン。
なぜ叫んだのか?
それは俺が今まで倒してきた魔物の中で1番多かったからだ。(今回1番類多いな)今回は一体だけだったから良かったが、通常は複数体でいるもの。
倒し損ねたら仲間を呼ばれるわ、デカすぎて森を破壊するわで大変だったのだ。
つまり、嫌な奴。
「出来ればもう出会いたくなかったよ、メガオーク君」
パンパンと死体を叩き、
「あの⋯助けて下さり、ありがとうございm」
「取り敢えず消し炭にするか」
魔法を構築し始める。こいつの為だけにつくったストレス発散魔法だ。
「ちょおっと待ってくださあああい!」
「ん?」
俺の目の前に現れたのでやっと少女に目がいった。(失礼すぎ)
「ごめん。グロイのは流石にまずがったね。もう少し離れたところでするよ」
女の子の前でするのはダメ絶対。忘れるところだった。
「え?いえ、そういうことではなくて⋯」
あれ、違う?
「ああ分かった。仕方がなく普通に燃やしとくよ」
「だからあっ!」
「なんだよ!」
「それは凄く高価な素材が含まれているんです!燃やしたりなんかしたら勿体ないじゃないですか!」
おおう、めっちゃ早口で言われた。でも、こんなクソモンスターに高価な素材があるって?有り得ないね。
ま、この子に免じて今回は許してやる。
「はいはい。俺、黒な。で、君は?」
「あ、私はエルミです」
エルミか。どっかで聞いたことあるな。
確か研究者だったか⋯?
「⋯王城にいた子だよね」
すると、目の前に虫が飛んできたかのようにビクッと体がはねた。
⋯分かりやすいな。
「な、なんで分かったんですか?まさか貴方は私と同じく追放された王城の使いとか⋯?」
個人情報ペラペラじゃん。誰だよこんな可愛い女の子を人質用に育てたのは。
⋯⋯⋯⋯まった。今なんて?
「追放されただって?」
「え、はい」
俺以外にも城を出た奴がいたんだな。なかなか意外な展開になってきたぞ。
「私、知識だけには自信があったんですけど、魔道具や実験具の扱いが下手くそで。きっと邪魔になったんでしょうね⋯。」
「⋯⋯そうか」
全く、俺同様くだらない理由で追放するとは。この国終わってんじゃないか?人員不足になりそう。
「エルミ、お前は悔しくないのか?ムカついたりしないのか?」
「そんな!私が悪いんですし、仕方がないですよ」
⋯⋯ああ、そういう性格ね。
気持ちは分かる。俺が弱いせいで、亡くなった人がいるからな。
でも、そんな自分の気持ちを押し殺すような生活を送っていたら、幸せなんか来なくなる。
「本当にそれでいいのか?」
「え⋯」
「やり返す気持ちぐらい持っとかないと、自分が壊れていくぞ」
「私が⋯壊れる?」
小さい頃から間違った考え方を頭に叩き込まれたのだろう。きっと今俺にある復讐心なんぞ、頭の隅にも無いはずだ。
だから実際に、失うという重さに耐えきれず、自殺までいく可能性が高い。
流石に防がない訳にはいかないだろう?
「はあ⋯。エルミはこの後なにか用事があるか?」
「ないですけど⋯」
「なら見せたいものがある」
「な、何をですか?」
俺は悪魔みたいな顔になっているだろう。笑いがこられられん。
「エルミは研究者だったよな?」
「は、はい」
今から言うのは裏の仕事をしている人にしか分からないよ?
でもこの子なら絶対ピンとくる。確実にね。
「なら、徹夜って知ってる?」
コメント
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あ、エルミ終了のお知らせ入りましたー。原因は過労と睡眠不足。 エルミ……お前は良いやつだったよ、来世では達者に生きろよ!←突っ走りすぎ