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13

 

 シルバたちは、トウゴ宅の寝室に入った。二つのベッドに半分占められる小さな部屋だ。ベッド間の窓から星の光が仄かに全体を照らしていた。

 ジュリアが窓の下の小さな机に蝋燭を置き、トウゴとシルバは少女をベッドに横たえた。 すうっと、少女が目を開いた。

「気が付いた? あなた、名前は? いったいぜんたいなんでどうして、あたしたちに襲い掛かってきたの?」

 背後のジュリアが、冷ややかな口振りで矢継ぎ早に問うた。

 焦点の定まらない風な少女は、小さな口を僅かに開いた。

「――名前、リィファ。襲うって、わたし?」

 寝室の静かな空間を揺らす鈴の音のような声だった。

「覚えてないの? ここは、巨月にあるアストーリ国で、あなた、地球から飛んできたんだよ。どーゆーわけか攻撃してきたから、仕方なしにセンセーがさくっと気絶させたんだけど」

 ジュリアの口調には、驚愕の色が混じり始めた。リィファはなおも、ぼんやりと天井のあたりを見詰めている。

「巨月の世界は彼らの箱庭。わたしたちは誰一人として、運命からは逃れられない」

 何かに導かれるように囁いてから、リィファはゆっくりと目を閉じた。

(箱庭? 何を訳のわからんことを抜かしてやがる?)

 シルバが困惑する一方で、リィファはすーすーと穏やかな寝息が聞こえ始めた。

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