テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
カメ吉
645
ナノハナ@カンヒューズ
36
113
カメ吉
643
SCP-001 提言: SCP- 001-Aの提言 ──『例外中の例外なマトリョーシカ』
アイテム番号: SCP-001(識別コード: SCP-001-A)
オブジェクトクラス: Keter / Thaumiel
特別収容プロトコル
SCP-001-Aは現在、財団本部サイト-01の特別保護区域に居住し、例外的に「エージェント」としての活動権限を与えられています。ただし、次元的・存在的な逃亡を防ぐため、物理的に財団施設(本部および日本支部)の敷地外へ出ることは一切禁止されています。
SCP-001-Aが所持している「水色のランドセル」およびその内部に収められた数千冊に及ぶ並行世界の報告書は、サイト-81██の最高機密アーカイブに保管され、閲覧にはO5評議会の全会一致の承認が必要です。
説明
SCP-001-Aは、身長136cmの人型実体であり、外見は10歳前後の少女(日本出身と自称)を維持しています。彼女の肉体は宇宙の輪廻転生(マトリョーシカ構造)を超越して固定されており、年齢や肉体的な老化が一切発生しません。
彼女は地球上のあらゆる言語(死語や方言を含む)を完璧に理解・適応して話すことができますが、なぜか「インダス文字(インダス文明の未解読文字)」だけは生理的に発音できず、喋ろうとすると激しい頭痛と目眩を起こすという不可解な特性を持っています。
1. 宇宙のマトリョーシカ構造(輪廻)
SCP-001-Aの証言および保持する資料によれば、私たちの宇宙は巨大な「マトリョーシカ」のように入れ子構造になっています。すべての銀河が寿命を迎え、完全に終わるとき、宇宙の壁が裂けて次の新しい宇宙へと移行し、ビッグバンが再発します。
この輪廻は無限に繰り返されますが、彼女によれば「すべての銀河は、どの世界線でも必ず同じ終末の仕方(結末)を迎える。しかし、その中で生きる人間たちの『行動(プロセス)』だけは、毎回少しずつ異なる」という法則があります。
現在の人類が暮らす宇宙は、彼女のカウントによれば「5つ目の世界」にあたります。
2. 自主的な財団への訪問と「ランドセル」
SCP-001-Aは、5つ目の世界が始まって間もない頃、日本支部の扉を自ら叩きました。その際、彼女はボロボロに汚れた「水色のランドセル」を背負っており、中には過去の4つの世界で財団が遺した膨大な「世界終焉の報告書」が隙間なく詰め込まれていました。
「ねぇ、これからの世界で役に立つでしょ? 全部読んどいてよね」と笑いながらそれを差し出したのが、彼女の財団における最初の記録です。
現在、彼女の所属を巡っては、「最初に日本支部に来たのだから日本支部所属であるべきだ」というJP側の主張と、「現在は主に本部(EN)の最高機密に関与しているため本部所属だ」というEN側の主張が対立しており、結果として「どちらにも所属しているが、どちらの籍もしっかり持っている(=たらい回しにされているとも言う)」という特殊な扱いを受けています。
提言本文:SCP-001-Aの記録
以下は、SCP-001-A(夏海 七七)がO5評議会および両支部(EN/JP)の主要幹部を前にして語った、宇宙の真理に関する直接発言の抜粋である。
「――ねぇ、みんなそんな怖い顔しないで?
あたしは別に、世界を壊しに来たんじゃないんだからさ♪
知ってるでしょ? この世界はね、大きなお人形の中に小さなお人形が入っていくみたいに、終わっては生まれ、終わっては生まれてるのよ?銀河がどうやって潰れるかも、星がどうやって燃え尽きるかも、全部前の世界で見た通り!
……でもね、面白いの。結末はいつも同じ『おしまい』なのに、そこに至るまでの人間たちの足掻きだけは、毎回全然違うのよ。ある世界では誰もが絶望して静かに死んでいったけど、別の世界では誰かが馬鹿みたいに笑いながら宇宙船を飛ばそうとしたりね!
財団っていう組織もそう。どの世界に行っても、あなたたちは相変わらず『確保、収容、保護』って言って、暗い部屋のなかで必死に蓋を押さえてるの。……バカみたいに正直で、救いようがないくらいに愚かだわ?
だからあたしは、この水色のランドセルに前回の世界の『攻略本』を詰めて、ここまで歩いてきたの。
あたしが例外中の例外? うん、そうかもしれないわね。だって、輪廻の輪からポロッと落っこちちゃった、ただの『忘れ物』だからね。
……あ、そうだ。一つだけ言っとくけど、インダス文字の謎だけは探らない方がいいよ。あれを解読しようとすると、宇宙のシステムエラーみたいに頭が割れそうになるから……あれだけは神様の嫌がらせだって、前の世界の私が言ってたもん。
さてと、お話はここまで! 今日の分のエージェントとしての書類仕事、まだ残ってるんだから邪魔しないでよね。お小遣い……じゃなくて、予算はちゃんと増やしてよね、えらいおじさまたち?こんなすぐ終わってしまう世界でも、一分一秒噛み締められたらいいわ!」
コメント
1件
「マトリョーシカ構造」の宇宙観、めちゃくちゃ好みです。結末は同じでもプロセスが毎回異なるっていう哲学、SFとしてとても美しいですね。しかもそれを136cmの少女がランドセルに「攻略本」詰めて持ってきちゃったっていうギャップがたまらない。彼女の軽妙な口調の裏に無限の輪廻を見てきた知性を感じて、続きが気になります。インダス文字の謎も伏線っぽくてワクワクしました!