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“あれを見てまさかと僕は思った…”《僕はアズール・アーシェングロット。オクタヴィネルの寮長兼モストロ・ラウンジの責任者を務めている。彼女と出会ったのは入学式、初めて話したのは期末テストの結果の後…》
波音「…」
アズール「…」
《最初、異世界から来た哀れな人と思った。そして、話してみて彼女はとんだお人好しとも思った》
〜オクタヴィネル寮 VIPルーム〜
波音「皆からイソギンチャクを外して自由にしてくれませんか?」
アズール「何故そのような相談を?」
波音「あ、あんなの可哀想です。このままだったら労働で死んじゃいます」
アズール「ああ、監督生さんは他人のために心を痛めていらっしゃるんでね。なんて、お優しい方だ!悩める人を助けて差し上げるのが、僕のポリシーです。いいでしょう、しかし!タダという訳にはいきません。欲しいものがあるなら対価を払う。当然でしょう?」
《その後、彼女は迷わず僕と契約をした。それだけのはずなのに、その時の覚悟を決めた彼女の瞳の奥には何か悲しみが見えた。まるで、僕を哀れむような…。そして、僕は彼女に惨めな姿を晒してしまった。それは僕がオーバーブロットした日の事…》
〜オクタヴィネル寮 寮外観〜
アズール「全て…全て僕によこせーーーーっ!!」
波音「!タコの、姿…?」
ジェイド「あれが、海の中でのアズールの姿です」
波音「ッ!助けないと…!」
皆の協力により、アズールをオーバーブロットから解放した
フロイド「そんで、1番隅っこに写っているのがーッ、昔のアズール!!」
皆「えっ⁈」
アズール「うわあああああああ!!」
波音(落ちた写真を拾い、見た)「ッ!」(静かに涙を流した)
グリム「ふなっ⁈どうしたんだゾ?」
波音「!ううん。ごめんね、なんでもない(涙を拭った)…まんまるで可愛いね!」
アズール「そ、そんな慰め、嬉しくもなんともありませんよ!」
《どうしてか分からなかった。あんな慰めなんて嬉しくないのに、何故か胸が高鳴っていた自分がいた》
ー休日ー
〜アトランティカ記念博物館〜
アズール「皆さん、ようこそ。アトランティカ記念博物館へ。本日はモストロ・ラウンジの研修旅行…という名目で貸切営業となっておりますので、ゆっくり楽しんでいってください」
波音「…」(皆の様子を眺めてる)
アズール「…貴女は行かないんですか?」
波音「ちょっと先輩が心配で…」
アズール「疑い深いですね。ちゃんと戻しますよ」
波音「…」
アズール(写真を元に戻した)「…」
波音「?」(近づいた)
アズール「昔の…昔の写真を全て消去すれば、僕がクズでノロマなタコ野郎と馬鹿にされていた過去も消えるような気がしたんです。ですが、今回のオーバーブロットの件で少し思い出しまして…」
〜アズールの回想〜
ー10年前ー
〜女の子の故郷 海岸〜
女の子「ねぇ、大丈夫?」
子どもアズール「…」(気絶してる)
女の子「怪我してる…。何かあるかな…?」(持っていたバックの中身を漁った)
子どもアズール「…⁈」(起きた)
女の子「わっ⁈びっくりした…。でも、良かった。目が覚めて。はじめまして、タコさん」
子どもアズール「人間ッ!ぼ、僕に近づくな! 💢」
女の子「え、なになに⁈分からないよ。う〜ん…」
子どもアズール「あっちにいけ!」
女の子(ハンカチを取り出した)「触られたくないのは分かるけど、その傷だけでも手当てさせて…」
子どもアズール「!…」(言葉が分からないのか…)
女の子(子どもアズールの右腕にハンカチを結んであげた)「よし、結べた!1枚しかないからそこしか結べなくてごめんね」
子どもアズール「…」(お辞儀した)
女の子「どういたしまして!…タコさん、話聞いてくれる?私、海が大好きなんだ。海はさ、太陽に照らされると時間によって色が変わる宝石になるんだ。その綺麗な海に住んでいる生き物達も可愛いって思うんだ。だから(持っていたバックの中身を見せた)ほら、こんなにたくさん貝を集めたんだ!」
子どもアズール「…」(そんなに海が好きなんだ…)
女の子「あ、タコさんって海の中に住んでるんだよね?」
子どもアズール「!」(頷いた)
女の子「そっか〜、いいな〜。きっとタコさん住んでるところだから、私の想像以上に綺麗だろうなぁ…」
子どもアズール「!…」(海に入った)
女の子「え、タコさん⁈」
子どもアズール(海から顔を覗かせ、綺麗な青色の小さな巻き貝を女の子に渡した)
女の子「え、くれるの?ありがとう」(受け取った)
子どもアズール「ハンカチの礼だ。僕はあまり借りを作りたくないし。それにそんなに海が好きなら僕が海の中へ連れてってあげるよ。と言っても言葉わからないと思うけど…」
女の子「行きたい!その時は連れてって!約束!」
子どもアズール「!ははっ、いいよ。約束だ」(消えた)
〜回想終了〜
《きっと、僕は女の子の海が大好きという気持ちとあの時の楽しそうな笑顔に当てられ、約束をしたと今だから思う》
波音「!」
アズール「僕はそんなに好きならと女の子を海へ連れて行くと約束し、気が付けば元の海へ帰っていました。一瞬夢かと思いましたが、結んでくれたハンカチが夢ではない事を証明してくれました」
波音「…」
アズール「これでも貴女達には感謝しているんですよ?色々あったとはいえ、その子の約束を破るところでした。契約じゃないとはいえ、一度した約束を破るのは商売人の恥ですから」
波音「…お礼は皆さんに言ってください。自分は何も出来なかったので。…ただ、約束。楽しみにしてます」
アズール「約束?契約書は砂になりましたし、まず貴女と約束した覚えは…」
波音(少しアズールの方へ振り返った。その時に巻き貝のネックレスがキラッと光った)
アズール「⁈その貝殻は!(同じ貝殻か?いや、でも彼女は異世界から来てここに居場所がなく、あの時あった女の子と同じ髪色と瞳…)…なら、監督生さんは…///」(ボンッと茹でタコになった)
波音「あ、皆と早く合流しないと」(走り出した)
アズール「なっ⁈///ま、待ちなさい!監督生さん!話は終わってませんよ!!」(追いかけた)
波音「ふふっ、嫌です♪」
アズール「ッ!待ちなさい!!」
《まさかこんな再会をするなんて、夢にも思わなかった。そして、僕は記憶を思い出してからかあの頃の感情と自覚してしまった感情が混ざるかのように高揚した。そして、決意した》
“彼女の海のような瞳に僕だけを映させる”と…
〜to be conteneu〜