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『凪の証明』
主人公 📢
生まれた時から感情が薄い
自分が感じられるのを探している
↓
感じられたものがあったが……
⚠️📢くんはほとんど喋りません
表現が特殊です
本人様とは関係ありません
拡散,通報はお控え下さい
📢くんしか出てきません
バッドエンド?です
湖みたいだ、と昔から思っていた。
石を投げ込まれても、波が立たない湖。 水面はいつも静かで、空だけを映している。
ある日の事
同僚が泣いていた。
肩を震わせて、声を詰まらせて、必死に息をしている。
俺は隣に座って背中をさすった。
📢「辛いよな」
と言った。
言葉も動作も、間違っていなかったと思 う。
でも、何も揺れなかった。
湖は凪いだままだった。
別の日
夜、部屋に戻ってから、ふと自分の腕を強く握った。
白くなった皮膚が、ゆっくり赤に戻る。 じわり、と遅れて届く感覚。
その瞬間だけ、湖に小さな波が立った。
ああ。
ここだ。
痛みは石だった。 沈んでいく重みが、水面を震わせる。
その震えだけが、俺の輪郭をつくる。
俺は、ここにいる。
それから、確認は習慣になった。
朝、鏡の前で袖を整えながら。
昼、トイレの個室で目を閉じながら。
夜、部屋の静けさの中で。
小さな石を投げる。
波紋が広がる。
安心する。
でも凪は怖い。
何も揺れない水面は、底があるのかも分からない。
もしかしたら、水なんて最初からなくて、 ただの空洞かもしれない。
だから確かめる。
石を、落とす。
…でも、慣れは早い。
同じ石では波が弱い。
もっと重いものを探す。
それでも、水面はすぐに静まる。
俺は焦る。
凪が戻るのが、早すぎる。
ある夜。
いつものように、確認しようとした。
違和感に気づいた。
石が、落ちない。
いや、落ちているはずなのに、
’水音がしない’
波が立たない。
もう一度。
沈む感触はある。
形は残る。
でも、水面は動かない。
凪いだままだ。
心臓が速くなる。
焦りは、かすかに分かる。
これは感情だ。知っている。
でも、それもすぐに薄れていく。
湖が、凍っている。
いくら石を落としても、表面で止まる。
響かない。
震えない。
部屋の音がやけに鮮明だった。
冷蔵庫の低い唸り。
時計の針の規則正しい音。
世界は揺れているのに、 俺だけが止まっている。
違う。
最初から、俺は水ですらなかったのかもしれない。
ただ空を映しているだけの、 深さのない、平らな面。
だから何を落としても、 本当は何も起きていなかった。
鏡を見る。
そこに俺はいる。
ちゃんと立っている。 呼吸もしている。
でも輪郭がない。
痛みで縁取らなければ、 俺はただの背景だ。
📢「…。」
もう一度、試す。
何も起きない。
凪。
完璧な凪。
ああ。
やっと、証明しなくていい。
揺れないなら、 最初から、なかったのと同じだ。
湖は静かだ。
石は沈まない。
水面は、ただ空を映している。
もう そこに、俺はいない。
𝑒𝑛𝑑