テラーノベル
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母親クズです。
暴力表現あり。
ご本人様等一切関係ありません。
お母様もきっと優しい方なのに
汚してしまい申し訳ございません。
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ガチャリとドアを開ける。「ただいま」
誰も返事をしない暗いリビング。
唯一光っているのはスマホの液晶。
画面を異様に近づけ、何かに取り憑かれた
みたいに薬の解説動画を見続けている
母親の姿。
なつは鞄を置いて、小さく声を落とす。
「……ごめん、連絡くれたのに、
遅くなって」
その瞬間。
バチンッと鋭い音が響いた。
母親の手が勢いよく頬を打つ。
頭が揺れて、視界が一瞬白く飛んだ。
「何が“ごめん”よ……!」
母親の声は震え、苛立ちと狂気が
混じっている。
「連絡なんかしても意味ないじゃない!
私がどれだけ待ってたと思ってんの!」
なつは反射的に口を閉ざす。
痛みよりも、胸の奥が冷たくなる。
何度も繰り返される日常。
テーブルの上には未開封の薬の山。
飲んでいるのか飲んでいないのか、
もう分からない。
母親はまたスマホを見つめながら
小さく笑った。
「薬さえあれば……全部大丈夫なのよ……」
なつは赤く腫れた頬にそっと手を当て、
言葉を飲み込んだ。
リビングの暗がりの中、薬の光だけがぼんやりとお母さんの顔を照らしていた。
なつは必死に声を絞り出す。
「お母さん……もう薬、やめたほうが
いいんじゃない」
震えながら言った瞬間、
お母さんの目がぎらりと光る。
「……あんたもお父さんみたいに、
私を否定するんだね」
次の瞬間、またなつの頬に鋭い痛みが
走った。
パチン、と乾いた音。
なつは床に手をついて必死に謝る。
「ご、ごめんなさい……ごめんなさい…ッ…」
涙がこぼれそうになるのを噛み殺しながら、声はどんどん小さくなっていく。
けれどお母さんは止まらない。
「謝れば済むと思ってんのッッ!!」
殴る手が何度も何度も振り下ろされる。
抵抗する力も湧かず、なつはただ両手で
顔をかばいながら震えている
しかなかった。
「ごめんなさい……ごめんなさい……ッッ」
と壊れたように繰り返す声が、
暗い部屋に虚しく響いた。
ー
殴られる衝撃で、頬も腕もじんじんと
熱を 持ち、皮膚の下で青あざが
広がっていく。
呼吸も浅く、声も上手く
出せなくなりながら、
それでもなつは謝るしかなかった。
「ごめんなさい……もう言わないから……ッ
ごめんなさい……“」
目の端から流れた涙が床にぽたりと
落ちる。
その音すらもお母さんの怒りを
煽るようで、髪を乱暴に掴まれて
頭を打ちつけられる。
「黙って私の言うことだけ聞いてれば
いいのよ! あんたは私の子なんだから!」
ガンッ、と壁に頭を叩きつけられた衝撃で
視界が一瞬白く飛ぶ。
吐き気がこみ上げるが、抵抗すればもっと
酷いことになると身体が覚えている。
「……ごめんなさい……痛いのもういやッッ、
ごめんなさい……」
泣き声に混じって自分の嗚咽が重なり、
耳の奥で自分の心臓の音だけがやけに
大きく響く。
けれど、止まらない。
「お父さんみたいに私を裏切るな」
怒鳴り声と一緒にまた拳が飛んでくる。
なつの心はどんどん削られていき、
いつしか「生きてる意味ってなんだろう」
と暗闇に沈んでいく。
ー
殴る手を止め突然、
「……あんたが女の子だったらどんなに
よかったことか」
ぽつりと落とされた言葉に、
なつの胸がひゅっと縮む。
怒鳴られるよりも、
その冷たい声のほうがずっと怖かった。
「元々ね、女の子として生まれてくる
はずだったのにね」
そう言って、お母さんは押し入れから
一着のワンピースを取り出した。
まだタグの付いたままの、
淡いピンクのフリルの付いた服。
それを両手で抱きしめるようにしながら、
なつを見下ろす。
「こんなに可愛い服、買ってあげたのに…
…あんたには似合わない」
ガシャ、と床に投げ捨てられた。
なつの視線は無意識にその服に吸い寄せられ、次の瞬間、背筋が凍る。
(……俺ッ、いらないんだ……)
胸が痛くて、呼吸が乱れる。
頭の奥では
「違う、俺は男なんだから仕方ない」
と言い訳を探そうとするのに、
「産まれてきたことが間違いだったの
かもしれない」
という声のほうが強く響いてしまう。
涙がとめどなく溢れても、
お母さんは顔を歪めるだけだった。
「……ごめんなさい……俺、俺なんか…ッ…」
言葉にならない。
謝れば許されると思っていたのに、今は
謝るほど自分の存在が否定されて
いくようで、なつの心は底なしの
穴に沈んでいった。
ー
「もう顔見たくないから部屋いって
お父さん帰ってくるかもでしょう」
「はいッ…、、」
なつは暗い部屋に戻ると、
ドアを静かに閉めて、ベッドの端に
腰を下ろした。
部屋の明かりは点けず、カーテンの隙間
から漏れる街灯の光だけがぼんやりと
床を照らしている。
「…俺が、もっとちゃんとしてれば……」
小さく、かすれた声が漏れる。
指先で制服の裾をぎゅっと握りしめながら、何度も自分を責めるように呟く。
頭の中では、
お母さんの言葉が反芻される。
――あんたが女の子だったらよかったのに
――見たくない
胸の奥がぎゅっと締め付けられる。
息が浅くなり、喉が焼けるように痛い。
涙が出そうになるけれど、泣いたら
もっと弱い自分を突きつけられる気が
して、ただ歯を食いしばった。
その時だった。
下の階から、重たいドアの閉まる音が
響く。続けて、荒々しい足音。
「お前また人の金で変なもんばっかり…!」
「うるさい!あんたに何がわかるの!」
お父さんとお母さんの怒鳴り声が、
壁を震わせるほど響いてきた。
なつは思わず耳を塞いだ。
けれど、声は耳を突き破るように
入り込んでくる。
「…やめて、もうやめて……ッ」
布団を引き寄せて丸くなり、
必死に自分を小さくする。
心臓の鼓動は乱れて、
吐き気のような不安が押し寄せてくる。
暗い部屋の中で、自分の存在そのものが
否定されていく感覚に、
なつはただ耐えるしかなかった。
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
苦しいけど書くの本当に楽しいです。
自分を責めるなつの姿本当に可愛くて
好きすぎる。
リスカとかしたくてもお母さんに怒られるだけだからできないんだよね。
ストレス発散法がないから学校で
いじめちゃう、
最低だけどしょうがないのかな?たぶん。
こういう物語好きな人と友達になりたい。
→100♡
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