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これってとっても優しいとかの『酷く優しい』もあるし 優しいけど酷い『優しい酷い』ってのも、どっちもあるのかなぁ… と考察(妄想)を始めていく主
この小説は文豪ストレイドッグスの夢小説です画像、文章の無断転載・使用はおやめください
原作、また実際の文豪さんとはなんの関係もありません
荒らし・パクリはお控えください
以上が大丈夫な心が広い方はお進みください
すべてが終わったあと、シグマは隠れていた。 とある田舎に隠れ住むことにしたのだ。
「しかし、仕事が必要だな」
幸い貯蓄は大量にあったが、真面目なシグマは働くことにした。
偽装した身分証で家を買い、とある小さなカフェの従業員の面接に行くことにした。
勿論名前も偽装しているが、作者がめんどくさいので地の文ではシグマと表現することにする。
「んふんふ、実はね私以外いなくて困っていたのさ」
高校生くらいの見た目の少女が語る。
「元々父親が営んでいたんだけどね」
「誰でも大歓迎さ」
怪しげな笑みで微笑む。
シグマはこういう人種を見たことがある
人を簡単に犠牲にする者の笑みだ。
とはいえ背に腹は替えられぬ。
「よろしく…」
不審げに見つめるシグマに対し、少女変わらない。
「あ、そうそう私は如月ラテさ」
「じゃあ、明日からよろしくね」
**
営業終了後の店内、少女は楽しげに突っ伏してるシグマを人差し指で突く。
「だいじょーぶかい?」
何せほぼワンオペだ。
逆になぜ少女が元気にシグマを揶揄っているのか不思議なくらいに…
「なっ、なぜ元気なんだ…?」
「私は慣れてるからね。幼少期より父親の手伝いをしてきた。年季からちがうのさ」
いつもの胡散臭い笑みを浮かべる。
客に見せる優し気な笑みとは大違いだ。
「普段からあの笑みにすればいいのに…」
ポツリと呟く。
「それじゃ、つまらないじゃないか!」
椅子から立ち上がり、制服であるスカートをひらりを揺らす。
「物語は楽しくなきゃね」
「私は楽しくないんだが…」
**
物語は楽しく有るべき、それが彼女の持論であった。
それ故かシグマはちょくちょく揶揄われる。
それでも少女はシグマを決して傷つけようとはしない。どこか一線を引いている印象がシグマの中にはあった。
揶揄われるのと死ぬほど忙しい事以外は良い職場であった。
残業もなく、残った仕事は少女が引き受けていたし、時折気まぐれに料理も振る舞ってくれる。
そんな少女のことがシグマは気になっていた。
ある日、少女に誘われて家に招き入れられた。
おそらく作りすぎたのであろう。
少女はたまに料理の研究と称して、料理を大量生産するときがある。
近所におすそ分けするのが大体だが処理しきれないとシグマを連れ出し、食わせてくる。
食べ物を捨てるのも申し訳ないシグマはこのときばかりはたくさん食べる。
いつものように食事を並べていると、とあるニュースが目に入る。
「先日〇〇が捕まりました。また、〇〇を雇っていた喫茶店は匿っていた疑いがあり…」
その瞬間頭が真っ白になった。
「こわいねー」
少女の言葉も理解できない
ガタガタと手が震える。おそらくシグマの顔色は見るに耐えないほど酷いだろう。
以前なら動揺はしなかった。
けれども、少女のカフェに影響を与えるかもしれない。そう思ったら一気に怖くなってきた。
「じゅーぎょういん?どうしたの?」
不安げに見つめてくる。
シグマは曖昧に返事をし、急いで料理を掻き込み、自身の家へと急ぐ。
「からかい過ぎたかなぁ…」
ポツリと呟いた少女の声は誰にも届かなかった。
**
考えがまとまらない。
そうだ。自首をしよう。きっとそうしたら自身のことも信じてくれるだろう。
シグマはノートの一部をちぎり、とある言葉を書きなぐった。
家は家宅捜索させるだろう。
ならば、カフェはどうだ。
幸いカフェの鍵は預かっている。
シグマはカフェへと走る。
伝った水滴は涙だろうか。
我々には分からない。
カフェに着くとシグマは戸を開け、机の上に置き手紙を置く。
何か重しはないかと探したら、育てて贈ろうと思っていたびわの種がポケットに入っていた。
少女の好物だ。
**
「従業員くん、私が悪かったよ。からかいすぎてごめんね。」
そう言いながらいつものようにカフェへと降りてくる。実は少女の家はカフェの2階なのだ。
そこにシグマはいなかった。
あったのは小さなびわの種と簡素な置き手紙。
「忘れてください」
そう書いてあった。
「けっ、警察!!」
誘拐の可能性もあるからだ。
そう思い、2階にスマホを取りに行く。
点けっぱなしだったテレビから、声が聞こえる
「昨日、指名手配されていたテロの犯人が捕まりました。」
そこに写っていたのはシグマであった。
「え、だっ、だって名前違う…」
ふと思い出す。そういえば名前を呼ばれても反応が少し鈍かった。
自身の名前が嫌いなのかと思い、従業員と呼んでいたが…違ったようだ。いや、気づいていた。見ないふりしていただけだ。
「あっ…ああ… だっ、だって…」
そういえば昨日の夜、シグマは焦っていた。
犯人が捕まったニュースを聞いても今まで反応しなかったのに…
そして少女は気づいてしまう。なまじ頭が切れるせいだろう。
「カフェの…ため…?」
少女は泣き崩れる。
やがてサイレンの音がなり始める。
方角はシグマの家の方だろう。
奇しくもそれは少女の仮設を有力告げることとなった。
**
彼を愛していた。彼のために見ないふりしていた。でも、もっと向き合っていたなら彼を無くさずにすんだのかな
**
彼女を愛していた。彼女のために罪を償うとこにした。もっと早く償えば彼女を悲しませずにすんだのかな
作者
シグマ曇らせ隊
夢主
ちょっと頭が切れる普通の少女
緊張していたシグマを和ませるために道化のふりをしていた。
シグマのことを気づかない振りしていた。
恋は人を鈍らせるんだね
シグマ
生まれて初めて人を愛し、愛されたんじゃないかな
テロ犯だから多分もう二度と会えないだろうけどね
もうおわったよ
世界は彼を許さなかったんだよ
きっと、彼女たちの願いはすれ違っていたんだよ。
それでも、君はハッピーエンドが好きなんだね。
最後まで見てくれてありがとう。君のためにハッピーエンドにしようか
**
独房、そこにシグマは座っていた。
そこに何者かが現れる。
眼鏡をつけスーツを着た青年は告げる
「もしも、君が望むのなら席を用意し、彼女にあわせてあげましょう」
「その代わり、我々に協力してください」
シグマはそれに縋った。
「ああ…約束する。だからお願い」
春のある日、シグマは釈放された。
異能特務科への協力を条件とし。
僅かな休日、シグマは少女の愛したカフェに向かった。
定休日なこともあり、人は誰もいない。
少女は掃き掃除をしていた。
こんな自分が近づいてもいいのか、シグマが躊躇していると。
「従業員!!!」
少女は駆け寄り、勢い良く抱きつく。
シグマは行き場のない手を持て余す。
「よかった… 無事でよかった」
少女は涙ぐみながら笑みを作る。
これ以上は無粋だろうか。
とにかく二人は幸せに暮らしましたとさ。