tn視点
「…はぁ」
寝ろと言われ、部屋に来たのはいいが
「眠れん」
書類はどうなったのか、や、資料のことなどに不安しかないため、正直眠れない。
グルッペンが気遣ってくれたが、さて、どうしたものか。
コンコン
「入ってええよ」
そう言うと、扉は開いた。
誰やろうと考えていると、其処には思ってもいなかった人物が居た。
「トン氏」
そう、グルッペンだ。
「はぁ!!?お前、書類は!!???」
「ゾムがやってくれている」
ゾムが可哀想になってくる。
「トン氏、眠れないのなら少し出掛けようじゃないか」
「…???ええけど」
何処に行くつもりなのだろう。
そして、支度をして城を出た。
「グルッペン、何処に行くん?」
「トン氏が行きたがってた所だ」
「え」
俺はグルッペンや、仲間に教えたことがなかった筈。
「なんで知ってるのか聞きたいだろ?」
「ゾムが教えてくれたぞ」
きっと、ダクトから聞いてたんだろう
彼奴ならやりかねん。
そんな事を考えていると、一件の店に着き、其処で俺達はコーヒーや、ケーキなどを頼んで食べた。
正直に言うと、それだけで嬉しかった
あまり自分の時間が設けられないから、普段やらない事をやるだけで嬉しかった。
その後、グルッペンに
「少し待っててくれ」
と言われ、待っていた。
数分後にグルッペンが来た。
「トン氏、これ」
グルッペンから小さな小箱が手渡された
開けてみると中には
「イヤリング…??」
イヤリングには、紅く輝くルビーが嵌められていた。
「トン氏に合うと思ってな」
そう言って、微笑むグルッペン。
「ありがとうな…」
俺は今にも泣き出しそうだった。
「幸せ」
この一言が今の俺にはピッタリだろう。
仲間からこんなプレゼントを貰って喜ばない奴は居ない
今日、この一日が幸せになった気がした。
こんなに優しい仲間を持って
あぁ、俺は本当に
「幸せ者なんやなぁ。」
書記長は、涙を流して微笑んだ。