「師尊」
「どうしたんだい」
天界で誰も知らない特別な場所。
そこには、天界で最も恐れられる二人がいた。
その二人は、人の運命を勝手に変えることが出来るし、二人の赤い糸を切ることだって出来る。そこだけで、恐れられる訳ではなく、神の運命も変えられる事で、恐れられる人物だ。
誰も知らない…その立場にいると、少しのヤラかしでも許されない。
「私達は、人の運命を変えられるのに、何故悲しい恋の人達の恋を救わないのですか?」
桜の下にある椅子に座り、隣で仕事をしている師尊に話しかける約十六歳の可愛らしい女の子。その子は、天界で最も恐れられている中の一人、結花。そして、もう一人も天界で最も恐れられている人…隣に座っている、美形な師尊、蓮。
「それは_」
何かを考え始める師尊の蓮。その隣でワクワクしながら、待つ弟子の結花
「そうだな、私達は、人の運命を変えることも出来る人達だ。だが、それを勝手に変えると、その代わりに多い罪が背負わせられるんだ。」
「え!そうなんですか!初めて知りました…」
「それもそうだ。この事は、誰もが知れる秘密では無い」
「え…じゃあ、なんでこんな雑魚な私に?」
「ふっ」
弟子の馬鹿げた言葉にあんまり笑わない師尊でも笑ってしまう。
「それは、ソナタが馬鹿だからさ」
そんな馬鹿な弟子をからかいたくなる。
「ゔぅ、そこまで馬鹿ではありません」
「馬鹿って言われたくなければ、しっかりと仕事をするのだ」
「まだ、仕事の時間ではありません!!」
「はいはい、そうだな」
「運命を勝手に変えたら、どんな罪があるんですか?」
「師は万能ではあるまい、どんな罪なのか、師は一回も試したことも無いから分からない」
「そうですか」
落ち込む弟子を見て、師尊は弟子を撫でて、こう言った。
「そこまで落ち込む話ではない。ただ上に報告すればいい話だ」
「上って?」
師は太陽のように眩しい笑顔を浮かべ、何かを言った。
「___」
その言葉は、風の音と風で落ちる葉っぱや桜の音で聞こえなくなった。それにも構わず、弟子の結花は喜び、師尊に抱きついた。
「その人に報告すれば、大丈夫なんですね!!」
抱きつく結花に師は、笑顔で弟子の頭を優しく撫でた。
「そうでは無い…許可されても罪はある」
師の腕の中にいる結花は固まった。
「え、じゃあ、報告する意味は_」
「罪が少し軽くなるだけだ」
「それってなんも意味も無いのでは?」
「あるよ」
「少し軽くなるだけで?」
「例えば、百万年、雷に打たれるのなら九十九万年に下がるのだ」
「なんも意味も無いですよ?!ただの一日が無くなるだけなんて!!」
腕の中にいる馬鹿な弟子の頭を優しく叩いて、笑った
「ただの一日でも、その時にとっては…きっとその人は嬉しいはずよ」
「その気持ちの意味、よく、分かりません」
師尊は疑問の目で見てくる弟子に対して、優しく笑い口を開けた。
「師もよく分からない。が、師の師尊は、嬉しかったはず」
「それって_」
「師の師尊は…」
師尊が語った話は、温かい春でも寒く感じた。それでも、師の顔色は一つも変わらなかった。それに疑問を抱いた。
「師尊は、悲しまないんですか?」
師尊は弟子の私の質問に驚いた。
「何故そう思うんだい」
「だって、師尊が悲しむ時は、瞳は少し下を向き、口をよく噛むのではありませんか」
師は私の言葉に固まった。
「よく師を見てるもんだ。まるで監視してるようだな」
「へへ、師尊はイケメンなので見たくなるでしょ」
弟子の結花は、師尊の腕から離れ、落ちた桜を拾い汚れを落とし、師尊の耳にかけた。
「師尊は、桜がお似合いですね」
「口が甘いもんだ」
師尊の蓮は「クスッ」と笑い、耳にかけてくれた桜に触れた。
「師尊…私達にも運命ってあるんですか?」
「さっき聞いただろ」
「さっきは、人の運命なんです」
師は静まった。
「師もよく分からないもんだ。師の師尊が生きてたら教えてもらっただろう」
「師の師尊は、物知りなんですか」
「師もよく知らない」
「師尊は、私に似たお馬鹿さんですかね」
「結花…しごと五倍」
「なっ、師尊!?」
師尊は笑いながら、立ち上がった。
「魔界に行ってくる」
「え、魔界ですか?」
「あぁ、少し欲しいものがあってな」
「じゃあ、私はBL本欲しいです」
「子供のソナタは何処でそんな言葉を習ったんだい」
「う・わ・さ」
結花は「にははは」と笑い、師尊が持っている仕事を取った。
「冗談ですよ。これは、師の部屋に置けばいいですよね?」
「あぁ、師の部屋は…」
「何処にも触れてはならぬ、ですよね」
「あぁ」
結花は師に手をふり、真反対の方向へ行った。
私の名は、結花
私には大きな秘密がある。
それは_
師尊が大好きってことだ。
私が目を覚ましたのは、
花が咲いた日、そして雨が降った日
師によると
私は花から産まれた。
そして師尊は、雨から産まれたのだ。
師尊知っていますよね。
雨がなければ花は枯れて死ぬ。
なので、師尊
私は師尊がいなければ生きていけないんですよ_
コメント
7件
中国風のように書いてるの好き
天界って言葉が出てきた瞬間、「この作品、何があっても読み続ける」って決めたわ
私、こういう系を探していました!!!