コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「千変万化の謹製譚」
――お品書き――
本作品「迷彩帝都の成れの果て」はいずれも政治的意図、戦争賛美、特定の思想を賛美した作品ではありません。また、実際の国家や団体、人物をモデルにしたフィクションです。
“カントリーヒューマンズの二次創作です”
カプ▶︎ソビエト連邦×ナチス・ドイツ(ソナチ)
以上の要素を含みますので、苦手な方はブラウザバック。
____…時は1945年。5月9日。都市ベルリンの総統官邸の地下壕にて、部屋の隅で壁に力なくもたれ込む男性が1人。鉤十字の彼「ナチス・ドイツ」は身体中傷だらけで、乱れた軍服を着用している。虚空を見詰めながら、大砲の音や、銃声、悲鳴を無気力そうに聞いていた。
手の中には丁寧に封筒に入れられた手紙と青酸カリが入っているカプセル、そして一丁の拳銃がある。ふ、と目を閉じた。最期らしく、振り返ってみる。真っ先に浮かぶ1つの言葉。「私は戦犯だ」と。自国の街は焼かれ、人々は嘆き、泣き叫ぶ。思い出したくも無い光景が映像の様に浮かぶ。その様な事を想像してしまい、吐き気を催してしまった。
「すぅー…ふぅ。」
深く深呼吸をし、落ち着けば、何個か分からない青酸カリのカプセルを口へ運び、飲み込んだ。
口の中にカプセル特有の苦味と、ぬるりとした感触。遅れて青酸カリによる強烈な苦味に、激痛が広がる。既に弱った体では一気に飲み込むことも叶わず、時間をかけて飲み込む羽目になった。
青酸カリを服毒すればいずれ死ぬのだろうが、油断はできない。どうせ生きていたって地獄を見るだけだ。それならばいっそ命を先に絶って置いた方がよっぽど楽だと思う。暫くの間、そう思考しながら拳銃をこめかみへ突きつける。銃の引き金を引こうとしたその瞬間。
____バァァァンッ!!!!
突如、地下壕の扉が開けられ、驚きにより体をびくつかせる。青酸カリを既に服毒している為、気分が悪い。国の化身は特別体が頑丈。致命傷を受けたとて即死できる訳ではない。その定めが私を苦しめることになる。毒だけでは死,ねない、早く他の致命傷を…。そう焦っていると、扉を開けた男と目が合ってしまった。
「…ッ!?」
その男は、軍服を着こなし、ウシャンカを被っている。1番の特徴は、黒い生地の中に金色の糸で鎌と槌のシンボルマークが描かれた眼帯。それは、赤い帝国、「ソビエト連邦」。
「ナチッ、何をしてるんだッ!!」
ソ連が呆然としている私へ近づけば私がこめかみに突きつけている拳銃を奪い取った。そして、震える声色で私にこう言った。
「……ナチ…。ナチは死んでどうするつもりなんだ…?お前の出来る贖罪は死ぬ事じゃぁねぇよ。」
そう問いかけるソ連。此奴もかなり動揺しているのか、言葉が途切れ途切れだ。ソ連はくるり、と辺りを見渡せば近くにある救急箱に目をつけた。さっ、と立ち上がる。とんでもない速度で救急箱を取って戻ってくれば、慣れた手つきで元々負っていた傷の手当や応急処置をしてくれた。何故、そこまでしてくれるのかと心底不思議に思ったが、心地悪い訳でも無いので黙っておく。
「俺はお前に死んで欲しくない」
「ふん。同情される気などない。好きにすればいいさ。併合するなり拷問するなり。私はどっちにしろ死に損ないの戦争犯罪者だからな」
真っ直ぐと私を見据えるソ連。しかし、思惑はよく分からない。が、きっと併合したり酷い仕打ちをしたりするのだろう。ソ連は平等を掲げているがそんなのは嘘っぱちだ。実際はロシアが支配する、独裁国家だ。そこに殲滅戦争を繰り広げられた私が併合されてみろ。確実にひどい仕打ちをさせられるだろう?回らぬ頭を働かせていると、突如、私は抑えきれない程の吐き気と呼吸困難に陥る。
「はぁ”っ、はぁっ”……ッ!?」
「っ!?ナチ!?大丈夫かっ!」
ソ連は私を見据え、此方へ近づいてきた。私は回らない舌で告げる。
「ぅ”…青酸”カリ…だ」
その間にも顔色は青白くなっていく。意識は朧気に。暗転しかけたその瞬間。その中でソ連は私を壊れやすいガラスの様に丁重におぶり、走る。走る。
軈て、地下壕を出た。外は先程まで聞こえていた大砲や銃声が少なくなっているのがわかった。
__然し、地下壕から出て数分後、どさり、という音と共に既に朧気な私の意識は深い深い黒き沼の底へと静かに、沈んでいった。
――迷彩都市の成れの果て1話 「千変万化の謹製譚」