テラーノベル
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20yy年 トーキョー都 クケコザ市 某所……
個体識別番号HMR-002は現在、氷室優也によって製造中のアンドロイドだ。家事全般から会話まで、全てをそつなくこなすという超高性能コンピュータに、最先端技術を使っている。
何故そこまで彼が力を注いでいるのかと言うと、息子のある親友が家族が欲しいと嘆願していたからだ。
息子の親友、市野ひすいは小学5年生。両親は共働きで、それに一人っ子でいつも寂しい思いをしているそうで、父親が企業の社長、母親が人気イラストレーターと言った具合だ。
「ふんふんふーん♪わったしーはげーんき〜♪」
呑気に歌を歌いながら、氷室はデータをアンドロイドにインプットさせ、まもなく最終段階へ入る。HMR-002は中学生くらいの少女型だが、見た目はどんなに最先端の技術を持ってしても、人間とは違いやはり不気味だった。ソレの頭部の大部分を、ヘッドギアが占めている。データの保存や、インターネット接続のためには、人工頭脳のみでは容量が足りず、アンドロイドにとってヘッドギアが必要不可欠なのである。会話も人間同様に自然に出来るようにプログラミングし、さらには味覚センサーまで搭載しているのだが、まだ試してはいない。様々なプログラムを集結させたソフトを今からインストールさせるからだ。
あと1つ、ほぼ完璧であるアンドロイドに足りない物は感情だった。
人間の感情は再現出来ない特有のもので、人を支え励ますような発言、行動が出来るのかどうか、氷室は気にかけていた。
「HMR-002…。返事はない、か。人間の勝手な都合で造られて、人間の為に働き続けるなんて…モノみたいな扱いは、心があったら絶対嫌だろう?僕は…君に生きてほしいと思ってる。そう考えるのもエゴなんだよな…」
HMR-002には無数のケーブルが繋がれている。まるで、重病で入院している患者のようにも見えた。氷室はソフトをインストールさせるため、パソコンのEnterキーをカチッと押した。
「ひゃ〜…うん?雷が近いなあ。なんだか、とてつもなくイヤーな予感が」
窓から見える外は酷い雷雨で、この研究所が雷に直撃されたらたまったものではないだろう。
バチバチッ、ピシャーーーーン!!
しかし、悪い予感は的中してしまう。データのインストールが完了するかしないかのタイミングで、研究所に雷が落ちてしまった。全ての電気が消えて、アンドロイドには耐久できないほどの電圧が逆流し、ショートしてしまった。氷室は爆風で転倒し、起き上がれなくなった。
「ううっ…勘弁してくれ…!最高傑作が……ダメ……に…」
薄れいく意識の中で氷室は涙を流し、そのまま倒れた。
☆☆☆☆☆☆
《これは………可哀想なアンドロイド…。せっかく氷室博士が全力を注いだのに、これじゃあまりにも不憫すぎる。とりあえず、この惨状を何とかしてやろう》
わしは神様。ちょっと落雷があったから、様子を見に下界にやってきたところである。手から光の粒を出して、あちこちを修復してやった。氷室博士はどうやら雷の音に驚いて気絶しただけで、幸いにも軽いケガで済んでいたみたいだ。
あとは、このショートして金属の塊と化した、このアンドロイドを、動かせるようにしないとだな。
光の粒がアンドロイドを包んでいく。我ながら壮観だ、奇跡って感じ〜!
どうしようか、頭の大きな機械は、邪魔だから出来るだけ小さくしてやって…
うんうん、中学生くらいの女の子みたいになった。ちょっと人間に近づけすぎたか、とは思ったけど。修復は成功か、な、おっとっと!
《……あっ!?しまった!!》
光の粒がわしの手から溢れ落ち、アンドロイドのコアに入り込んだ。人間に近いように修復させたが、神の奇跡をあのまま受け取ってしまうと…もしかしたら、いや確実に自我が芽生えてしまう!!
嗚呼、わしはなんてドジなのだろうか。天界でも散々馬鹿にされて3000年、全く変わっていないな。
考え方を見直そう。ここまで直したんだから、ちょっとくらい神の力を溢されても、……ねぇ?
机に乱雑に置かれたメモや書類を見ると、どうやらこのアンドロイドは、生きてほしいという想いが込められていたようだ。
ならば、相当の対価を受ける覚悟を持ってもらおうじゃないか。
さらばだ、アンドロイド!
心を宿し、精々数奇な運命に翻弄されるがいい!
☆☆☆☆☆☆
CODE:HMR-002
CONDITION:ALL GREEN
POWER:ON
コメント
1件
第1話、楽しく読ませてもらいました。氷室博士がアンドロイドに「生きてほしい」と願う気持ちの切なさと、ドジな神様の登場がいい塩梅でしたね。神の力が溢れて自我が芽生えそうになったあの展開、これからどう転ぶのか気になります。設定の積み上げ方が丁寧で、SF好きとしてはワクワクしました。続き、楽しみに待ってますね!