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クリスマスに恋人は来ない。

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クリスマスに恋人は来ない。

1 - クリスマスに恋人は来ない。

♥

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2023年12月25日

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※桃さんに恋人居ます




公園のベンチに腰を下ろす。

さっきまでは気にならなかった冷たい風が、全身に吹き付ける。

イルミネーションだって、今は俺を嘲笑ってるようにしか見えない。

今日はクリスマスだってのに、俺は恋人にデートをドタキャンされた。

最悪だ。笑うしかない。

それなのに、まだ来るかもしれないって思ってる自分がいる。なんと惨め。

「プレゼント、どうしよ……」

ため息を吐いても、息は白くならなかった。

用意したプレゼントだって渡す相手がいなければ意味がない。

今頃、恋人は他の誰かとクリスマスを共にしているだろう。

俺の恋人は昔からそういうとこがある。所謂、浮気性。

そんな恋人のことを嫌いになれない自分に嫌気が差す。

スマホの画面を開けば、23時30分ちょい前。

待ち合わせ時間から30分。

明日も平日なわけだし、そろそろ帰ろうかと思った頃。

不意に、首に冷たい感触。

「ひッ……!?」

驚きと少しの期待を混ぜて振り向くと、そこに居たのは、__まろ。

「……こーゆーのは相場缶コーヒー何じゃないですか。」

「この辺自販機ないんやからしゃーないやん。ないこたんの首あったか〜」

「俺の首で暖を取るな」

俺の期待を返せ、とばかりにまろを睨む。

別にまろは何も悪くないんだけど。

「こんなとこで何してるんですか、非リア社畜さん」

「言い方刺々しくない?w」

「残業終わって、折角のクリスマスやしイルミネーションでも見て帰るかー、と思って立ち寄ったら傷心中の幼馴染がいたもんで。」

「そういうリア充さんは何してるん?」

「……別に、恋人待ってるだけだし。」

「ほんまは?」

まろの問いかけに、何も言うことができず、俯く。

「もう別れたら?どうせドタキャンされたんやろ?」

ふと、まろの手が頬に触れる。

耳まで冷え切ってしまったのか、冷たいはずの手が暖かく感じた。

「……っ、もう、俺が飽きられてるってのは分かってんだよ。でも、まだ好きで…… どうしようもないんだよ、俺。」

吐き捨てるように言えば、目元が熱くなった。

涙は出なかった。

きっとどこかで自分に呆れてるから。

「じゃあ、今、俺がないこのこと好きって言ったらどうする?」

「……っ、は」

「なぁ、ないこ。好きやで。十何年も前から。今の恋人のことなんて忘れさせたるから。」

付き合って、と言わないあたり、まろらしいな、と思った。

浮気したっていいじゃん。あいつだってしてるんだし。

「俺は本気やで」

「……じゃあさ、俺のこと抱いてよ。」

突然の発言に、まろが目を見開く。

「本気なら、証明してよ。」

抱いて、本気度伝えてよ。

幸いなことに恋人とのデートのためにホテルの予約は取れている。

「……ないこがええなら、ええで、」

「いいから誘ってんだよ。じゃ、行こ?」

まろの腕を引っ張り、歩を進める。

冷えていたのか、つま先が少し痛いが、行為をすれば温まるのだから気にしない。

「まろ、メリークリスマス。」

「おう、メリークリスマス、ないこ。」

冷えた心も体も、君の愛で温めて。

俺の寂しさを埋めてよ。

スマホの画面を見れば、表示は0時ぴったりを指した。




※ハピエンかバドエンかはご想像にお任せします

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