テレビで見たのは、推しが死んだっていう報道。
どうしてなのか、自分は気になりもしなかったし、悲しくもなかった。
その程度の好きだったのかと自分に悲しくなって、スマホをいじった。
すると、なんだか気になる記事を見つけた。
【あたしは人生勝ち取ります!】
余命1年の拙い命の宣言。
普段笑うような子じゃなかったはずなのに、太陽みたいな笑顔で写真に載っている。
「なんで…。」
死んだはずじゃなかったのか。
自分の中で死んだ貴女がなぜ…。
考えたくもなかった。
「やっぱり、一度会うべきよね。」
覚悟はわりとすぐに決まった。
あの子がどうして芸能活動をしているのか、それを知っているから。
「奥さま?おはようございます。どうしましたか?」
「アカネが死んだのよ。悲しくもなにもなかったけれど。」
「おや…。それは冥福を祈るほかありませんね。」
八田部の気遣いを適当にあしらい、すぐに準備に取り掛かる。
「奥さま?どちらへ行かれるのですか?」
「透のところよ。」
「…そうですか。遂にそんな決断に至られたのですね。」
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