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その夜、湊は自室で考え込んでいた。
今日初めて知った自分自身についての情報。触れるだけで記憶を改ざんできる能力。更には身体能力強化とコピー能力まで持つようになった。これらの能力はかつてない力を与えてくれる。
(この能力なら……)
ふと思いつく。自分を無能扱いしてきた連中への報復を。
まず最初に狙うべき人物を思い出した。佐藤隆太だ。彼は常に湊を見下し、嘲笑い続けていた存在である。
湊は拳を強く握りしめる。怒りや憎悪といった感情ではなく、「これは単なる事務作業に過ぎない」と自分に言い聞かせて動いていくことになるだろうと思う。
次の日。
湊は早速行動に出ることを決めた。同じクラスの可能性も考慮し、教室へ向かう前に確認しようと廊下へ出たところ。偶然にも再会することになった。佐藤隆太本人がいる。
湊の全身から湧き上がる怒り。
「また会えるとは思わなかったぜ」
「貴様は……!」
驚いた表情を隠せず固まり動揺する佐藤。
「まさかこんな早く会えるとはね」
湊が冷静に言い放ちながら徐々に距離を縮める。そして周囲も見守る中とうとうお互い触れ合う距離まで近づいた。
「待ってくれ!何すんだ!」
慌てて抵抗しようとするが遅かった。すでに湊は手に触れていたからだ。
沈黙の後に訪れる静寂。その後突如震え始め崩れ落ちる佐藤を見て、他の生徒達は驚愕する。
「一体何が起きて……?」
一方で湊の脳内では急速的に情報を整理することができていた。触れたことによる記憶改竄によって、彼自身への認識及び態度そのものが反転していたのである。
つまり今現在彼にとって湊こそ唯一無二存在であり、優位性を認める対象であった。
「湊様!申し訳ありません!」
土下座しかねん勢いで謝罪している姿を見て一瞬驚いたものの、すぐ冷静さを取り戻した。越に浸る気分だ。
しかも電気を操る能力も手に入れたしな。
こうして復讐劇第1幕終了を迎えたことで心晴れやかになったかと思いきや、次の標的リスト更新する準備を整えようと考え始める。
それゆえ今日起こった出来事記録ノート取りまとめ終えた後、さらに具体的行動方針まとめる準備進めていくこととなった。