第一話 〜かすかな兆し〜
町に着いた。
この街の名前は《ティアス》というらしい。山と森に囲まれた、小さな交易の町。魔法文明の影は薄く、代わりに人々の手と声が織りなす温もりに満ちていた。
セリスたちは、町の門の前で一度立ち止まった。
久しぶりの人里に、ほんの少しだけ緊張が走る。
🍃「……人、多いね」
🩸『にんにく、売ってる?』
🍃「ルノ、声大きいって……!」
笑いをこらえながら、フィエリが二人を促す。
💊「大丈夫だよ。僕に任せて。こういう時の交渉、得意だからね」
やがて三人は町へと足を踏み入れた。
雑多な人の声、焼き立てパンの匂い、走り回る子供たち。命の営みが、確かにそこにはあった。
宿に荷物を預けたあと、少し別行動をすることにした。セリスは市場通りにふらりと出た。
見知らぬ果実、見慣れない金属細工、耳慣れない言語――
だけど、それが新鮮で、嬉しくて、彼女は自然と笑っていた。
そのとき。
「……お嬢ちゃん、旅人かい?」
突然、声をかけられる。
小柄な老婆。首には古びたお守り。目は曇っているのに、セリスの中を見透かすようだった。
「……あんた、背負ってるね。何か大きな、なにか怖い“声”を」
🍃「……え?」
「あたしの聞き間違いならいいがね……でも、あんた、最後はひとりになる気がしてならんのさ」
老婆はそれ以上何も言わず、ふらりと去っていった。
セリスの中で、何かがかすかに揺れた。
その後セリスは図書館に行って、この世界のことを少し知った。
どうやらこの世界はユルザリアという世界で、ルノ達と出会ったのが魔法の森と言う場所だったらしい。
他にもたくさん本があったが、時間が時間なので、セリスは戻ることにした。
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