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録画が終わったあと。
図書室に集まった子どもたちは、言葉を失い、ただ静かにシンム兄ちゃんの映像を見つめていた。
ノーマンがゆっくりと口を開く。
「俺たちは……シンム兄ちゃんに、ずっと守られてたんだな」
レイが苦しそうに声を絞り出す。
「俺は……あいつの演技に騙されてたわけじゃない。
あいつは本当に、ずっと俺たちの味方だった」
エマは涙をぬぐいながら強く頷いた。
「だから、絶対に脱出を成功させよう」
ギルダが決意の声をあげる。
「シンム兄ちゃんの願いもある。
私たち、みんなで生きるんだ!」
ドンも拳を握って力強く言った。
「誰一人欠けさせない。あいつの分まで、絶対に生きる!」
しばらく沈黙が流れた後、エマがふと顔を上げる。
「これからは、もっと絆を強くしないとね。
怖いこともあるけど、みんなで一緒なら乗り越えられるよね?」
みんなの顔に少しずつ笑顔が戻る。
森の風が木々を揺らし、
新しい朝が近づいていた。
子どもたちは胸の奥にシンム兄ちゃんの言葉を刻み、
ゆっくりと、でも確かな一歩を踏み出していった。