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sideミラン
「体調悪いから、これで払っておいてくれ」
セイさんはそう言うと、食堂を飛び出してしまいました。
セーナさんとシュバルツさんを見たから……
「シュバルツさん。朝食を食べていてください。私は少し用事ができました」
セーナさんはそう言い訳をすると、食堂を出て行きました。やはりセイさんは勘違いをしているのですね……
それでショックを受けるということは、セイさんはセーナさんのことが……
私はどうやって店に帰り、朝食を食べたのか覚えていません。
ただセイさんが帰った時に冷たい態度を取ってしまいました……
セーナさん?えっ?勘違い?私の?
どうやら私の心配は杞憂だったようです!
「セイさんのデザートは私のです!」
「いえ!ミラン!セイさんのモノはみんなのモノです!」
「いやエリー…それはなんか違うぞ?」
またいつも通り、セイさんを困らせる日常に戻れました。
side聖
「手伝えってことか?」
昼過ぎに戻ってきた聖奈さんから、一緒に来てほしいと伝えられた。
「そうなの。お家の権利も貰ったんだけど、貴族じゃないと入れないでしょ?だから家の物を移動させたいの」
「貴族街だと無理だもんな。まぁ俺達は転移で出入り出来るけど」
「そう。もし何かあった時の為に、セイくんが来てくれたらいつでも貴族街の中に転移できるでしょ?ついでだけど、それも目的の一つだよ」
まぁ転移ポイントが出来ても誰かに見られる可能性が高いから、かなり緊急用だな。
俺は聖奈さんに連れられて貴族街へと向かった。
入り口にシュバルツさんがいた。
「セイ殿。さっきは済まなかった。配慮に欠けていた。この通りだ」
そう言って、出会い頭に頭を下げてきた。
「いえ!やめて下さい。勘違いどころか、シュバルツさんは悪くないです。悪いのは連絡しなかった聖奈と、馬鹿な私です!頭を上げて下さい」
「そうか。わかった。とりあえず話は聞いているな?これから貴族街に入る」
良かった。この人はただの良い人だからな。所謂善人だ。俺達とは違う。
そんな人に頭を下げられたら立つ瀬がない。
「よろしくお願いします」
シュバルツさんがいないと入れないもんな。書類でも入れると思うけど、どこにドリトニーの手が回っているかわからんしな。
「ここだ。私は外を見張っておく。何かあれば教えてくれ」
シュバルツさんはドリトニーの部下?手下?が下手なことをしないよう、外を見張っていてくれるようだ。
外にはこの家の使用人と思わしき人達が大勢いる。
屋敷は…うん。説明出来んな。豪邸だ。
古い木造校舎を三階建てにして、新しく、派手にした感じだな。
「ありがとうございます」
俺と聖奈さんは使用人達に好奇の目で見られながらも、屋敷へと入っていく。
「外も凄いが中も凄いな…」
「でしょ?こんなの一々魔法の鞄に入れて運び出していたら、時間が掛かるでしょう?それに大きいモノは入らないしね」
「とりあえず、手当たり次第集めるか…」
俺がゲンナリしていると。
「まずはこれを部屋の真ん中辺りに敷いて。それでその上に手当たり次第乗せるの。後は…わかるでしょ?」
聖奈さんが魔法の鞄から出したのはでかい布だ。なるほど、それを敷いて集めたら風呂敷みたいに畳んで転移させれば良いのか。それなら小物も大物も一度に運べるな。
それでも部屋数が多いから大変だけど……
「そんなのいつ用意したんだ?」
「決闘の前に布を売っている雑貨店で頼んだんだよ」
用意周到なことで……
「じゃあ始めるか…」
「うん。頑張ろうね!」
金に困っていたら頑張れるけど…別に今更金銀財宝の為に苦労したくねぇなぁ……
「今回のセイくんの頑張りに報いる為にも、地球で欲しがっていたアレを買ってあげるね!」
嘘だろ…ホントか!?
「よし!さっさと終わらせるぞ!」
俺は身体強化魔法を使って家中の物を掻き集めた。
なんだよ!餌があるなら初めから言ってくれよ!
俺は人参をぶら下げられた馬だ!
その日の日が沈む前に事を終わらせた。
「お待たせしました」
外で律儀に立って監視していたシュバルツさんに声を掛けた。
「どうだ?何とかなりそうか?私も出来るだけ子爵にはダメージを負わせたいのだが…」
「終わりましたよ」
俺が伝えたらシュバルツさんは固まってしまった。
「は…?終わったって、セイ達が出てきたのは今が初めてだろう?」
おいっ!呼び方が前みたいに呼び捨てになってるぞ!その方が楽で良いけど。殿はなんかなぁ。
「大丈夫です。家は空ですよ」
「そ、そうか。セイがそう言うならそうなのだろうな。では、本日はこれまでだな。明日は店に迎えに行く」
えっ?どゆこと?まだ終わらないの??
「ありがとうございます。お待ちしています」
えっ?聖奈さんは知ってるの?
知っているんだろうなぁ。知らないのはいつも俺だけだし……
店に帰った後、二人と合流して転移した。もちろん水都の屋敷に。
王都の子達は、夕方は孤児院でご飯を食べている。その分のお金はすでに寄付済みだ。
ホントは水都の子達と同じようにしてあげたいが、何から何まで世話は出来ない。
水都の子達も世話はしていないしな。基本は自分達でしている。むしろ洗濯や掃除をしなくて良くなって俺は助かっている。
元々洗濯はミランがしてくれていたけど…虐待じゃないよ?ミランがどうしてもって。
「ほう。そんな事になっていたとはのう。エンガード王国の方が面白そうじゃな」
爺さんに報告したらこの反応だ。
「いや、面白くはないんだけど…面倒だからこっちの方がいいぞ?」
「セイは冒険心がないな!私なら斬れるモノなら全て斬るぞ!」
いや、リリー。その先は面倒事しか待っていないぞ。
この二人を連れて行かなかった選択をした、過去の俺を褒めてやりたい。
翌朝、王都の店にて。
「と、いうことは、別荘があるということですか?」
「そうだ。正確には現当主の親の隠居先でもあり、代官屋敷でもある」
朝迎えにきてくれたシュバルツさんから聞いた話によると・・・
ドリトニー子爵家は領地持ちではなく、法衣貴族のようだ。なぜ金を持っているのかというと、貴族の名を使い平民から金を巻き上げては揉み消すのに金を使い、それの繰り返しで財を成したらしい。
どんな奴だよ…要は一万円カツアゲして千円賄賂ってことか?
多くの貴族やそれに準ずる役人などがドリトニー家から賄賂を貰ったり、金を借りたりしているようだ。その帳簿を押さえてこいと王子から厳命されたとのこと。
「じゃあ、そこの代官が前ドリトニー子爵ということですか?」
「そうだ。しかし、貴族とは当主がした約束がその家の絶対であるから、その屋敷も押さえる。そして、ドリトニー子爵が解放される前に帳簿を押さえたい。
でないと、ドリトニー子爵はまた復活してしまう」
それは俺にもわかるぞ。その帳簿は貴族や役人の弱味だもんな。よし!頑張って家探しするか!
「多分、そこにはないんじゃないかなぁ」
えっ?折角やる気になったのに?じゃあどこよ?
「セーナ殿はなぜそう思われる?」
「シュバルツさんなら、自分の一番大事なモノはどこに隠しますか?」
うーん・・・ベッドの下とか?
いや、それじゃあエロ本か……
「それは…肌身離さないか…安全な場所に隠すか」
「私もそう思います。代官屋敷は少なくとも近くないですよね?そんな自分の目の届かないところに隠すでしょうか?」
確かに両親がいるとはいえ、あいつからしたら自分以外はみんな同じだよな?
「では、何処だと思うんだ?」
「子爵の命と同じ価値がある所だと思います」
ん?それって何処だ?
「まさか、いや。あるな。必ず」
「行きましょう。貴族院に」
ん?それって…!
と、いうことで、俺達は貴族院に着いた。
もちろん貴族院は貴族街の中にある。他の役所は平民も使うので王都内にあるが、貴族院は貴族しか使えないため、貴族街にある。
「名義変更が出来ていない?そんなはずはない。こちらのセーナ殿が先日手続きをしていたのを私も確認している」
出たよ…ドリトニーの悪あがきか?
「しかし、確認できない以上金庫を開けるわけにはいきません」
「シュバルツさん。ここは一旦引きましょう」
聖奈さんの言葉に従い、貴族院を出た。
「聖奈。どうするんだ?」
俺は聖奈えもんに問いかけた。
「また虎の威を借りに行かないとね」
使えるもんは何でも使う派です!
俺達にプライドなんてありません!
〓〓〓〓〓〓〓〓小話〓〓〓〓〓〓〓〓
聖「ドブトリーも悪足掻きが酷いな。というか、そこまで手を回せるなら俺の事をもっと調べてから喧嘩売れよな」
聖奈「コブトリーは悪足掻きしてないと思うよ?多分元々何かあった時には自分に有利になるように貴族院の職員に賄賂を渡してただけじゃないかな?
後、セイくんの事は調べられないよ。だってここから水都はかなり離れてるよ?通信機器も見た事ないしね。そもそも水都にいたって情報がないから調べようがないよね」
聖「これって本編で言う事だよな」(コブトリーはもはや原型がわからなくないか?)
聖奈「いいの。作者はアホだけど見てくれている人達はちゃんと(作者がアホって)わかってくれてるから」
モブキャラのコブ…ドリトニーのこの情報いる?となり、必要ないと考えて本編に入れませんでした。
もう少し水都編は続きます。