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「そんなことか。よかろう。手を貸そう」

流石子供王子!話が早いぜ!

「これを持ってもう一度行くがいい」

アンダーソン第二王子が紙を渡してきた。どうやら印籠のようだな。

「もう一つお願いがあるのです」

えっ?聖奈さん?まさかここぞとばかりに、行けるとこまで頼む系女子しちゃうの?

「申してみよ」

流石出来る王子!懐が深いぜ!

「押さえたドリトニー子爵家の家屋を殿下に納めたいのですが、よろしいでしょうか?」

あ…忘れてた。

「わかった。買い取ろう。こっちで査定させるが、いいか?」

「いえ。納めさせて下さい。この度の助力に対するお礼に少しでもなればと思います」

元々いらんもん押し付けるのに、それを借りを返す道具として使うとは…お主も悪よのぉ……

あれ?このセリフだと印籠使われるほうなんじゃ…?

「なるほどな。相分かった。では手続きの書類を誰ぞに持って行かせる故な。最後まで気を抜くなよ?」

「ありがとうございます」

俺達は城を後にして、貴族院へと再び向かった。

シュバルツさんがいて本当によかった…じゃないとこんなに簡単に王子に助力も頼めなかっただろうし、ここまでスムーズには行かなかっただろう。





「えっ?へっ!?」

貴族院の役人がアホなツラを露呈している。おっさんのそんな顔は誰も得しないぞ。

「今すぐ金庫を開けなさい」

シュバルツさんの有無を言わせないセリフに、役人共がバタバタしだした。

まだ往生際悪く時間稼ぎをするかと思ったが、流石に王族の指示だ。すんなりと金庫に通された。



「こちらがドリトニー子爵の金庫になります」

案内されたそこは地下室で、辺り一面に扉があった。この一つ一つが金庫になっているのだろう。

金庫だ。今はこちらのセーナ殿の物だ。そうだな?」

シュバルツさんに訂正された役人は・・・

「は、はい。そうでした。失礼しました。こちらが鍵になっています。ごゆっくりどうぞ」

役人は扉から少し下がり、道を開けた。

「私はここで見張っているから二人で入ってきてくれ。もし帳簿が…」

「わかっています。その時はシュバルツさん。いえ、第二王子殿下に渡します」

シュバルツさんが頷いたのを確認して、鍵を開けて中へと入っていく。



「なんだか普通の部屋みたいだな」

「そうだね。ここが、きんで埋まってなかったらね」

そう。めちゃくちゃ眩しい……

画像


なんでカネ以外も金ピカなんだよ……

「とりあえず今は帳簿だね!」

「ああ。頑張って探すか」

10畳程の色々な(金ピカの)物で溢れかえっている部屋を手分けして探した。

探すところは限定されており、作業は捗った。



「後はこの箱だけだな」

「そうだね」

俺たちの前には、この部屋では異質の鉄で出来た箱がある。大きさは一辺が20センチ程の立方体だ。

乱雑に積まれたモノの下になっていた。

「見るからに本命っぽいけど、どうやって開けると思う?」

とっかかりも何もない。ホントに箱だ。

「うーん。魔導具だと思うけど、下手なことをして中身が消滅したら嫌だから、持っていくだけにしない?」

「そうだな。見た感じここに固定されている訳じゃなさそうだし…いや、待てよ。こういうのって大体その場所から動かしちゃダメなんじゃないのか?」

どんなことでどんな作用があるかわからんからな。

「じゃあどうするの?」

「ウチの魔導具博士を連れてこよう」

俺は転移してエリーを迎えに行く。

その間に聖奈さんは風呂敷もどきに金銀財宝を包んでおいてくれた。まぁ銀はないんだけどな。




「良かったですね。これは動かしたら中身が無くなります」

あぶねぇ。良かった。地球で漫画読んでて。

「開けられそうか?」

「これは旧式の魔導箱なので大丈夫です」

エリーが作業に取り掛かってくれた。

作業中にエリーから聞いた話だと・・・

かなり前に魔導王国で出回っていた秘密を隠す箱だということ。

何でも浮気相手の手紙とか、店の裏帳簿を隠すのに重宝していた人がいたようだ。

それを重く見た魔導王国の上層部は、箱の開け方を開示した。だからエリーも学校の歴史の授業で習っていて開けられるとのこと。

「今は中身が消滅しませんが、本人にしか開けられない箱がブームです」

いや、国は製造を止めろよ……

秘密が蜜の味なのは、どこの世界でも一緒か。


「開きました。どうぞ」

エリーが場所を退いてくれて、聖奈さんが箱の中身を見た。

「大正解だよ!」

どうやら帳簿があったようだ。中身は他にもあったみたいだが、まずエリーを帰さないとな。




「これが帳簿です。確かめて下さい」

聖奈さんが外にいたシュバルツさんに帳簿を渡した。

「間違いない。色々な貴族や役人の名前、いくら貸したか、又いくら賄賂を渡したか書いてある。他はどうだった?回収出来たか?」

「はい!」

聖奈さんはそう言って魔法の鞄を軽く叩くが、その中には入っていない。

すでにリゴルドーの家に転移済みだ。

俺達は貴族街の入り口までシュバルツさんに付き添ってもらい、そこで別れた。




歩いて店まで戻ると、店は繁盛しているようだ。お客さんが外で待っているからな。

「こっちの店も、もう大丈夫そうだね!」

「そうだな。今は大変そうだが、慣れたらこれくらいの客なら上手く捌けるだろう」

後はエリーに車を完成させてもらい、俺はご褒美の…ふふふっ!





「じゃあ、行ってくる」

夜になり、月が出たタイミングで二人に告げる。

「はい。お気をつけて」

「お土産待ってるですっ!」

エリー。待つのはいいが、多分夜遅い時間には聖奈さんが食べさせてくれないぞ?

俺達はリゴルドーの家に転移してから地球へと帰った。

「じゃあ私は例のものを調べておくね!」

「ああ!頼んだ!俺は会社にドリトニーの財産を運んでくる」

いやー。遂に俺も……

いやいや、今は荷運びの仕事を頑張ろう!





ドリトニーの財産を会社へと転移させてから二週間が過ぎた。

その間にしたことはきんの販売だ。

金は持っていてもいいみたいだけど、やはり俺には現金が性に合う。

もちろん金だけではなく、銀食器や家具など、家財道具も販売した。こういったものは専門業者に頼んで一度綺麗にしてからの販売になるらしい。

手数料はかかるが、何せ元手がタダだから利益率がやばい。

売れば売るほど儲けだから聖奈さんも楽しそうだった。

時価総額にして、ドリトニーの財産は100億近くあったようだ。こちらで全て売ったらもうセミリタイアしてもいいんじゃ?

まぁそうそう売り切れないだろうけど……

金貨やきんは節税の為、一度に売らないみたいだしな。

まぁ金の価値が高騰しているから節税しなくてもどっちでもいいらしいけど。

そして、遂に俺の欲しかったものが……


「そんなにソワソワしても、早く着かないよ?」

「仕方ないだろ?子供の時の夢だったんだから!」

そう。アレが本日家に届く。俺はインターホンの前で今か今かと待ち侘びている。

ピンポーン。

「キタァァああ!!」

「もう!まだだから静かにね!」

聖奈さんに対応してもらい、俺はソワソワしながら下へと降りた。



「かっけぇ!!」

そこには真っ赤なボディのスーパーカーがあった。

「こちらが鍵になります」

ディーラーの人から鍵を受け取った。手が震える……

「ご購入ありがとうございました。何かございましたら、お気軽にご連絡下さい」

四人もの車屋さんに頭を下げられているが…それどころではない!


「聖くん。こんなのが欲しかったんだね。これならマンション買った方が良かったのに」

「いいだろ!ご褒美なんだから!それに金はあるんだから好きな物を買ったらいい」

もはやブルジョワな発言がサラッと出る。最早俺に怖いものはないぜっ!

嘘です。聖奈さんと姉貴と聖奈さんが怖いです。

2回言ったのは間違いじゃないです。


「これで3000万かぁ。しかも中古で」

「いいんだよ。どうせ新車なんて待てないし、俺はスーパーカー、特にフェ◯ーリが欲しかったんだ。

しかも488スパイダーだから、夢のオープンカーまで手にしてしまった…」

感極まって泣いちゃいそうだよ……

俺だけだとこれを買うのに何年掛かったか分かったもんじゃないな。

「ありがとう。聖奈のお陰で子供の時の夢が叶ったよ」

「うっ。えっ。そ、それは、ど、どういたしまして?」

なんでキョドってんだよ。嬉しくてつい本音が出てしまったんだよ。

「本当に聖奈は何も買わないのか?100万くらいの鞄やアクセサリーでも買えばいいのに」

「いいの。私は今の生活が夢みたいなものだから。これ以上贅沢を言ったらバチが当たるよ」

謙虚なこって。

俺はお金持ちの聖奈さんと違って、欲しいものが手に入れられる環境に無かったから、反動で爆買いしそうだ。何せ店すら近所になかったからな。

『お姉ちゃん。金ならアルよー』

いかんな。


ガチャ

聖奈さんが徐に車に乗り込む。

「じゃあ私のご褒美は、この車での初めてのドライブの助手席ね!」

「それは良いけど……そっち運転席だぞ?」

珍しくボケをかました聖奈さんは、顔を赤くして反対の席に着いた。

俺は念願のスーパーカーに乗り込むとエンジンを掛ける。

ブォォオンドッドッドッ

「何だか飛びそうな音だね…」

「そうだな…楽しくなってくる音だ」

「無茶しないでね?」

俺を誰だと思っているんだ?

安全運転には定評があります。

俺は飛ばすこともなく、海沿いをドライブして、買い物を楽しんだら異世界へと飛んだ。



「あれ?これってデートなんじゃ?」

「今更?他になんていうのよ?」


まぁ、楽しかったからなんでもいいや。





〓〓〓〓〓〓〓〓小話〓〓〓〓〓〓〓〓


聖「王子の印籠にはなんて書いてあるんだ?」


聖奈「印籠って…手紙ね?『セイお兄ちゃんとセーナお姉ちゃんがそっちに行くから仲良くしてね?』だって」


聖「いや、わかりやすい嘘だなー」(普段は狡猾なのに)


聖奈「セイくん。顔に出てるよ」


聖「えっ!?」


聖奈「やっぱり変な事、考えてたんだね…」


聖「…」(バレとる…俺はサトラレか?)



作者はサトラレというお話しが好きでした←隙自語(隙あらば自分語りのネットスラング)

ただ、子供の頃の事で凄く記憶が曖昧で…好きだったのはドラマ版だった気が…


もう少しで水都編は終わります。決して終わる終わる詐欺ではないのでちゃんと終わります。

もう暫く水都編にお付き合い頂ければ嬉しく思います。


〜ぼっちの月の神様の使徒〜

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