テラーノベル
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それから間もなくして、ストロンは逮捕された。
どうやら、元被験者の若い研究員二人が、いつの間にか研究のデータを持ち出していたらしく、それが決定的な証拠となったようだった。
研究員の中にも、自首同然で証言をした者が何名かいたと言う。
しかし、今のストロンに取っては、そんなことはどうでも良かった。今更知ったところで、どうしようもない。
彼はただ、檻の中で処刑の日を待つだけの身なのだから。
ただ、一度だけ面会に来たカリーナとの会話は、何度も反芻してしまう。
あの日、彼女はただ淡々と事後報告をしていた。 一通り騒動が落ち着いた後、カルシアに会いに行った時にはもう、意識がなかったこと。研究所の焼け跡から子どもの遺骨が見つかり、それがクロムであると分かったこと。彼女は今、ホスピスを設立し、運営していること。
そして、何より忘れられないのが、彼女が別れ際に放った言葉だった。
「……ねぇ、ストロン。あなたが私をどう思っているかは分からないけれど…これだけは伝えておくわね。私はただ、あなたと、カルシアと、クロムと、家族でいたかった。でも、どうしていいか分からなくて…結局、どうすることも、出来なかった。…本当に、どうするのが正しかったのかしらね」
答えの無い問いが、今も尚、心に引っ掛かり続けている。
彼も初めは、妻と娘と甥と、家族でいることを望んでいた。 だからこそ、研究を続け、闘い続けて来た。
「… 私は何も間違っていなかったはずだ……」
それなのに、 彼に残されたものは、答えの無い問いと、刻々と迫る死だけであった。
檻の隙間から差し込む薄明かりが、静かにその孤独を照らしていた。
コメント
1件
読み終えたよ〜…もう、切なすぎる😭💔 カリーナの「家族でいたかった」って言葉が、すごく重くて心に残った。ストロンも最初は同じ願いを持ってたのに、すれ違ってしまったんだね…。檻の中に差し込む薄明かりが、孤独を静かに照らしてるラスト、めっちゃエモかった…。答えのない問いが読後もずっと胸に引っかかるよ。素敵な作品をありがとう🌸