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パーティから帰り数日
剣持さんが俺の心配をしてくれた
きっと俺が元気がないからだろう
そんな事もうしないで彼女のそばにいてあげて欲しい
俺は‥‥‥‥
もういいから
「熱は‥‥ないみたいだけど」
「‥‥‥‥」
「ご飯も食べないし」
「‥‥‥‥‥‥」
剣持さんが俺の額に手を充てる
そのままベッドの端に座り、俺の手を取った
「どうしたんだろ‥‥病気にでも罹ったのかな」
「‥‥‥‥‥‥」
俺は作った笑顔で剣持さんに微笑む
もう長くはここにいる事は出来ない
俺に残された時間は無いんだ
握られた手をそっと離そうとする
でも逆に強く握り返されてしまう
「‥‥ロウ君、どうすればいい?」
どうすれば?
何を言っているのか‥‥
「ロウ君は物語の中から出て来たの?」
「‥‥‥‥?」
「このナイフ‥‥」
剣持さんがベッドサイドの引き出しを開け、中のナイフを取り上げた
なんでわかったのか‥‥
俺は慌てて痛む脚で立ち上がり、ナイフを取り上げようとする
すると剣持さんが自分の胸に向けてナイフを突きつけた
「人魚姫の物語って知ってる?有名な童話なんですけど」
「‥‥‥‥‥‥」
そんな‥‥
こちらでも語り継がれてるって事?
「人魚姫が人間に恋に落ちて、その恋が叶わずに泡になって消えてしまう物語なんですよ」
そう
それは俺の物語でもある
だから早くそのナイフを体から離して欲しい
「このナイフ‥‥僕に刺したらどうなるんですか?」
俺は大きく首を横に振りながら剣持さんがナイフを持つ手を握った
もう脚が限界だ‥‥
崩れ落ちていく俺を、剣持さんが持っていたナイフを向こう側に投げ捨てて抱き抱えてくれた
「ロウ君は‥‥人間なの?」
「‥‥‥‥‥‥」
「僕が海で見たのは君‥‥だよね?」
「‥‥‥‥‥‥」
俺は静かに頷いた
「朧げな記憶の中で、綺麗な少年が僕を助けてくれたんだ。お礼を言おうと思っているとパールブルーの鱗に朝日が反射して見惚れているともうその姿は無くなっていたんだ。だから僕は毎日時間を見つけてはあの海へ出かけた。もしかしたら会えるんじゃないかと思って‥‥僕は彼が忘れられなかった」
「‥‥‥‥」
「そしたらあの日‥‥波打ち際に君が居た」
「‥‥‥‥」
「こう言ったらなんだけど、僕って現実主義者だと思ってたんです。でもそんなのどうでも良くなった‥‥君と一緒にいられるなら」
その言葉が嬉しくて涙が出た
その涙が溢れると何故か俺の体が少しづつ発光し始める
これは‥‥
もう俺の限界が来ているのかも
体から力が抜けていく
あちこちが痛い‥‥
せめてもう一度剣持さんの顔がみたい
それなのに瞼が重くて開けられない
最後に一言だけでも会話したかったな‥‥
「‥‥逝かせないよ」
俺の唇に何か触れた様な気がした
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コメント
4件
さすが剣持話早いし👏 さては相性いいな?笑
(^^)最高ですどうかこのまま声も足も治ってくれ