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新しい生活が始まって、一週間。
最初こそ少し気まずかったものの、マナとライは思っていた以上に早く打ち解けていった。
「ライ、朝やでー」
「……ん」
「起きて」
「あと五分」
「それ昨日も言ってたやん」
「昨日も五分で起きた」
「起きてへんかったから俺が起こしたんやろ」
朝からマナの声が部屋に響く。
ライは布団から顔だけ出した。
「……マナ、朝から元気すぎ」
「高校生活始まるんやで? 楽しまな損やろ」
「まだ眠い」
「ほら、遅刻するで」
「分かったって」
そんなやり取りをしてから、二人で家を出る。
同じ制服。
同じ学校。
そして、同じ家。
数週間前までは想像もしていなかった生活だった。
入学式の日。
校門の前でマナが立ち止まる。
「ライ!」
「何?」
「写真撮ろ」
「なんで?」
「高校入学記念!」
「恥ずかしい」
「ええやん。一枚くらい」
結局、二人並んで写真を撮った。
マナは満足そうにスマホを確認する。
「ええ写真や」
「そう?」
「うん」
「じゃあ送って」
「欲しいん?」
「……記念だから」
「素直やなぁ」
「うるさい」
そのまま二人で教室へ向かった。
そして、さらに驚くことが起こる。
「え、同じクラス?」
掲示板を見たマナが声を上げた。
「本当だ」
「すごない?」
「偶然だね」
「運命ちゃう?」
「大げさ」
「でも嬉しいやろ?」
「……まあ」
「俺も!」
マナは笑いながら教室へ入っていった。
その日から、二人は学校でも一緒にいることが増えた。
昼休みには一緒に弁当を食べる。
放課後は一緒に帰る。
家に帰れば、一緒に夕食を食べる。
「マナ、宿題やった?」
「……まだ」
「昨日もそう言ってたよね」
「今日はやる」
「本当?」
「ほんま!」
「じゃあ数学教えるから」
「ライ神やん」
「その代わり、ちゃんとやって」
「はい!」
そんな日々が続く。
ある日、クラスで席替えがあった。
偶然にも二人の席は少し離れた場所になった。
それだけなのに、マナは少し寂しそうだった。
「席、離れちゃったな」
「休み時間に話せばいいじゃん」
「それもそうやけど……」
「何?」
「いや、なんでもない」
マナは笑った。
その笑顔を見て、ライも自然と笑った。
家族になったから仲良くする。
最初はそう思っていた。
けれど、最近は少し違う気がする。
マナが笑っていると、自分まで嬉しい。
マナが落ち込んでいると、気になる。
マナが誰かと楽しそうに話していると、なぜか視線を向けてしまう。
それでもライは、その感情を深く考えようとはしなかった。
「家族だから」
そう思えば、全部説明できる気がした。
けれど、その考えが少しずつ崩れていくことを、ライはまだ知らなかった。
コメント
1件
**はる。だわ。** 第2話、読んだわ〜!もう一週間経って二人とも学校生活に馴染んでる感じがすごく伝わってきた。朝の「あと五分」からのやり取りとか、入学式のツーショット写真とか、同じクラスになって「運命ちゃう?」って言うマナの距離感、めっちゃ可愛い。でもライのほうが最近ちょっと意識し始めてる気配があって、その「家族だから」って自分に言い聞かせてる感じがもう…今後の展開が気になるわ!続き楽しみにしてる🔥