好きな曲で描きたかった。
ky→→→→→→牛←←←←←←←←←とわこ
サンドイッチ牛が大好きです。
追記 学パロです
2人は生徒会執行部(とわこと牛沢)
狐 side―――――――――
誤算だ。これは、誤算だ。
もし断られても、最悪の自体になるとは想定もしてなかった。どう悪く転んでも精々、もう友達として接することはできないだけかと思っていた。
僕が、僕のエゴで傷つくのなら良かった。自分で選んだ選択肢だ。行動を起こすならその分責任も背負わないといけないだろう。そんなのは重々承知で、僕はこの男に告白をしたのだ。
まさか自分が傷つくんじゃなくて、相手が傷つくとは。巻き込んでしまった。自分のエゴに。相手を傷つけたくてした行動じゃない。
「、、、とわこ、ごめん、」
僕は、その言葉を聞いた瞬間に教室から逃げ出した。牛くんの唇は、少し震えていて今にも僕の心に突き刺さる鋭利な言葉を吐き出しそうだった。
僕は、弱虫だ。相手を傷つけた上に、自分が傷つきたくなかったから逃げ出した。
最低、なんて言葉じゃ表せないくらいに僕は陰険で外道で滑稽で屑だ。
家に帰っても、僕の頭の中に再生されるのは酷く傷ついた牛くんの顔だった。
u side―――――――――
今更、そんなの聞きたくないんだけど。
俺が告白紛いをした時は、うんともすんとも言わなかったくせに。俺が別の人好きになった瞬間に、気持ちが揺らいじゃうようなこと言うなよな。馬鹿みてぇじゃん。あの時フラれたと思って、散々泣いて諦めようと必死に努力してた俺がさ。
あの時、諦めなければ。思い続けていれば。今頃幸せだったのか?ハッピーエンドを迎えられたのか?なんて一人で考えてみるけど、もう遅い。
『、、、とわこ、ごめん、』
胸が痛い。
やっぱ、完璧に諦めきれてはいないらしい。
教室から足早に立ち去るとわこの後ろ姿を見ながら、俺は苦しいと嘆く胸を慰めた。この傷は、きっと暫くは癒えてはくれないだろう。
―――――――――
「、、、うっしー、クマすごい。なんかあった?」
翌日、たまたま家の外でばったりと会ったキヨは、俺の顔を見た瞬間に心配そうに顔を顰めながらそう言った。確かに、俺の目の下には尋常じゃないほどのクマが浮かび上がっていた。
『、、、なんか寝れなくてさぁ。』
俺はそう言いながらけらけらと笑った。とわこに告白されただの、それが頭から離れなかっただの。色々説明が面倒くさいことは省かせてもらった。朝っぱらからそんな話したくねぇし。された方も困るだろうから。
「まぁ、いいけどさ。何か困ったことがあったら言って。できる限り力になるから。」
あぁ、好きだな。改めてそう認識した。普段ふざけてるくせに、急に優しくなったり逞しくなったり。俺は多分、キヨのこういう所に惹かれたんだろうな。
「、、、俺、今かっこいいこと言わなかった?」
前言撤回。いつもふざけてた。
―――――――――
放課後、今一番会いたくない人に会ってしまった。運が悪すぎる。いや、運なんてものじゃない。もっと深い、何か。
パチッと、目が合った。
ドクリと心臓が嫌な音を立てる。どんどん、とわこが近づいてくる。心の中が罪悪感で埋もれて、上手く呼吸が出来ているのか自分自身でも分からない。
「、、、牛くん、こんにちは。今日は部活は?ないんですか?」
『、、、え?あ、あぁ、ないけど。』
ビックリした。もう、友達として話せないものだと思ってたから。少しの安堵感を感じた俺の心に疑問心を持ちつつも、とわこの問いに対しての答えを返した。
「そうですか。今日は生徒会ないらしいんで、直帰で大丈夫らしいです。お疲れ様でした。」
『あ、うん、お疲れ様。』
そう言ってスタスタと俺の横を通るとわこに対して、俺の思考が追いつかなかった。なんで、あんなにいつも通りでいれるの?俺、全く忘れられないのに。
少し寂しくなったと錯覚する胸がキュッと締め付けられた。
「うっしー、何してんの?」
ふと、キヨに話しかけられてやっと現実に戻ってこれたような気がした。ぐるぐるぐるぐるととわこのことばっか考えてて、もう結構限界。
『別に、なんにもないよ。』
俺は少し笑いながらそう言った。
とりあえず、今は一旦考えることを放棄して教室にカバンを取りに行くことにしようと踵を返す。
あの場から、離れたい。その気持ちが滲み出ていたのか、スタスタと歩いていく俺をキヨは小走りで追いかけた。
「今日まじで変だよ?なんかあった?」
『何もねぇって。大丈夫だよ。』
吐き捨てるように強く言い放った俺に、キヨは少し驚いたような顔をした。無理もない。だって、急に怒り始めたんだから。
キヨに対して、少しイラッとしたのだ。さっきから何にもないって言ってるのに、なんで何回も聞いてくるんだ。無意味すぎる。
、、、なんで、俺イラついてんだろ。キヨは俺のこと心配してくれてたのに。あぁ、なんか俺変だ。逆ギレとか、本当最悪じゃん。
教室に着いてすぐ、キヨは閉ざしていた口を開いた。
「無理してる。いい加減に俺の事頼って。」
『、、、何言ってんの?』
ビックリしすぎて、怒りも全て吹き飛んだ。意味がわからない。だって、今まで俺の事頼ってなんて言われたことないし、キヨの言動も急すぎて。俺に考える間も与えず、キヨは続けて言った。
「どうせ、うっしーのことだからなんかで悩んでんでしょ。」
「いつもそうだよね。一人で抱え込んで。」
「うっしーは一人じゃないよ。少なくとも、俺がずっとうっしーの傍に居る。」
「俺じゃ頼りない?他の人がいい?」
『なんか、変。キヨ、急に、』
「俺、うっしーのこと好き。」
『、、、は、』
「だから、うっしーの傍に居たいし、支えになりたい。」
「勿論、今言うことじゃないって分かってる。うっしーもなんか、大変そう?だし。」
「でも、言わせて。」
「俺は、うっしーのことが好き。」
「返事、とか。今はいいから。」
怒涛の告白に、俺の頭はショート寸前。嬉しいやら、怒りやら、悲しみやら、なんやら。多分、俺が今までに感じた感情が総動員してる。心臓が、うるさい。今までにないくらいドクドクしてる。悩んでたこと、全部吹き飛んじゃうくらい俺今、キヨに対してドキドキしてる。好き、とか。
見上げると、そこには顔を真っ赤にしたキヨがいた、視線と視線がぶつかるともっと顔を赤らめたキヨがリュックを手荒に取って教室から出て行った。
今の俺には、どんどん遠くに離れていくキヨの背中を見送ることしか出来なかった。
狐 side―――――――――
「────好き。」
たまたま教室を通りかかった時、そんな声が聞こえた。、、、青春か。僕には無縁の、いや。昨日までお世話になっていたな。そんなことを考えて、僕の纏っているオーラが暗くなったところで、やっと相手の声が聞こえた。
『、、、は、』
相手は女子かと思ったら、どうやら男子らしい。どこかで見覚えがあるような、ないような。識別するにはあまりにも距離が遠くて、ガラスが濁っていて。
別に偏見などない。だって、僕だって男子を好きになっていたのだから。愛の形なんて人それぞれだ。他人がどうこう言える問題ではない。
でも、気になる。好奇心には何も勝てない。どこの教室なのだろう。まずはそこから調べてみることにした。
「3-4」
僕よりも一個上。そうだな、一番可能性があるとしたら、弓道部の部長とサッカー部の部長だろうか。真面目とヤンキー。異色のコンビだが、いつも一緒にいるし仲がいいように見える。告白した人の声は間違いないだろう。完全にあいつの声だ。でも、相手の声はもっと低かった。しかも、3年生とあまり関わりのない僕でも聞き覚えのある声。僕の頭の中に浮かぶ候補は虱潰しに全て消えていく。ここまで来たら、もう覗くしか。そう思い、僕はドアのガラスからこっそり覗いた。
身長の高い男と、男子にしては小さめの男。
もう、野暮な詮索はやめにしようか。勝手に除くなんて良くない。そう思った瞬間に、身長の高い男の奥に隠れていた、相手の顔が見えた。
白い肌に、黒縁眼鏡。ぽってりした唇に、綺麗に鼻筋。
あぁ、見覚えのある男だ。
「俺、うっしーのこと好き。」
「返事、とか。まだいいから。」
頭をガツンと殴られたかのような衝撃が走る。足が事実に耐えられず、この場から動こうとしない。僕は、一刻も早くこの場から離れたいのに。
ガラガラ、と寄りかかっていたドアが開く音が直に耳に伝わり、慌てて立ち上がった。
出てきた人物──キヨと目が合い、一瞬気まづい雰囲気が流れた。
その空気を破ったのは、キヨの方からだった。
「渡さないから。」
ただ、それだけを彼は言い残して去っていった。僕とは違って、前を向いて、堂々と。自分のした事に自信を持って、前へ進んでいた彼はとても格好良く見えた。
『、、、僕だって、渡したくない。』
僕の小さく弱々しい声が、人気のない廊下にぽつんと孤立して消えていった。ほら、僕はやっぱり弱虫じゃないか。選ばれないのは当然だ。なんて頭では分かっていても、身体が、心がその事実を拒否して受け入れようとしない。だから、僕は弱いままなんだ。
よく分からないが、瞳からは涙が溢れていた。昨日あんなに泣いたのに、まだ溢れ出てくるとは。
渡したくない。
僕の傍に居て欲しい。
僕の隣で笑って欲しい。
僕のことを、好きになって欲しい。
今まで心の中に渦巻いていた醜くドロドロとした独占欲の塊が涙と共に流れては蒸発していく。どれだけ未練がましいんだ、僕は。今更そんなこと思ったって、遅いんだ。
「、、、とわこ、?」
心臓がドクリと音を立てて鼓動した。低くて、優しくて、暖かい。好きな人の声だけは、間違えない。
「、、、なんで泣いてんの。」
昨日あんなことがあったばっかりなのに、こんなに優しく温もりのある声をかけてくれる彼は、本当にお人好しだ。今も、僕の心には貴方への恋心が蔓延っているんですよ。また、貴方を困らせてしまうかもしれないんですよ。
『、、、いいんじゃないですか?お似合いで。』
僕は、震えた声でそう言った。
僕が忘れられないのなら、拒絶できないのなら。貴方に拒絶してもらえばいいんだ。頭の中が膨大な情報量に混乱して、上手く考えがまとまらない。だからか、こんな極論に至ってしまった。でも、これでいいのかもしれない。
「、、、何それ。聞いてたの?」
『こんなところで話してる貴方達がいけないんでしょう?聞かれても文句は言えないはずですよ。』
「、、、そうじゃ、」
『何が、』
「もういい。、、、信じてたのに。本当に、最低。二度と俺の前に現れんな。」
そう言って、彼は僕の横を通り過ぎた。最後、彼が僕に向けた視線には、嫌悪感と失望が溶け込んでいた。
これでよかったんだ。
彼はキヨと付き合って、幸せになればいい。
僕は牛くんの目の前から消えて、他のところで過ごせばいい。
きっとこれは、最低なことをした僕への罰だ。なら、潔く受け入れよう。彼が幸せになること、それが僕の今の願いだ。
k side―――――――――
『俺は、うっしーのこと好き。』
せめてもの、悪あがきだった。うっしーの気持ちは俺に向いているものだとてっきり勘違いしていた。だって、授業中とか良く目合うし。名前呼ぶと嬉しそうにしてくれるし。
でも、あいつ──とわこが現れてから全部が覆った。いや、ずっと前からうっしーの気持ちは多分あいつに向いていたのだろう。最初は諦めようと思ってた。だって、叶わない恋なんてしたくねぇし。ずっと一人を追いかけるなんて、そんなの俺のキャラじゃねぇし。でも、何故か彼だけは、うっしーだけは誰にも渡したくなかった。だって、そんぐらい好きになっちゃったんだもん。
だから俺は、最後の最後まで足掻くよ。
ごめん、うっしー。俺が好きになっちゃって。
そんな簡単に、成就させないから。
u side―――――――――
とわこを拒絶するように逃げてきてしまった。
どうしよう。あれ、とわこに聞かれた。あぁ、もう、最悪だ。
、、、あれ?どうして俺、こんなに焦ってんの?
別に、とわこに知られて困ることなんて、なくない?キヨに、友達に告白された。その事実を知られても、何も困らなくない?
いや、困る。言いふらされたりしたら、困るし。あいつ、大学は推薦で行きたいとか言ってたし。俺のせいで推薦ダメになったら、申し訳ないし。
そう、きっとそうだ。
この胸のズクズクとした痛みの正体は、絶対にそうだ。
もう、気づいてるんだろ?
そう問いかけてくる自分の心は無視することにした。
―――――――――
翌朝、再びキヨと家の前でばったり会ってしまって、ふいと顔を逸らしてしまった。昨日、あんなことあったばかりだからか、とても気まづい。
もう俺、どっちが好きなのかわかんねぇよ。
キヨに告白されて嬉しかったのに、嬉しいはずなのに。告白された時も、今も、とわこへの気持ちが頭の中にぐるぐると渦巻いてて。俺、ちゃんとキヨのこと好きだったはずなのに。
今は、とりあえず授業に集中しなきゃ。
俺は現実逃避をするように他のことを考えた。とりあえず、このパッと思いついた雑な案で放課後までは乗り切れるだろう。だって、俺単純だから。
ふと、机の端の方に付箋がついているのを見つけ、手に取って読んでみる。
「放課後 生徒会室に来てください」
差出人の名前は書いていなかったが、細長く達筆な文字は多分あいつのだろう。
なんで急に。
心がザワザワし始めた。あぁ、もう。現実逃避なんて突飛な案じゃ、誤魔化せなくなってしまったじゃないか。
END
コメント
11件
学パロ大好物
相変わらず好きだァァ……(ショコラです)