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ミナミのスマホに、突然**編集アプリ「QuickCut」が自動で立ち上がった。
【新しい素材を検出しました】
「“Final_Cut_RAW.mov”を読み込みますか?」
「……誰が“はい”押したの!?なんで勝手に動くの!?」
「ってか“ファイナルカット”ってもう名前がホラーなんよ!」
だが、止める間もなく、アプリは勝手に素材を取り込み、動画のタイムラインを組み立てていった。
画面に表示された動画タイトル:
『はるみなTV:最終回』
映像が始まる。
そこに映っていたのは──天鳴館の地下、今いるその場所。
そしてカメラの前に立つハルカとミナミ。
「ここまで来てくれて、ありがとう。
でもこの映像は、生きてるうちらじゃない──“記録された私たち”です」
「ここで動画は終わる。だから、どうか──この映像を残して」
「……“未来を変えたいなら、今、録画を止めて”」
その瞬間、ミナミのスマホが突然発熱し始めた。
画面が赤くフラッシュし、メッセージが表示される。
【録画中】
残り:03:00
「ハルカ……!これ、カウントダウンだ。
3分後に、この映像通りになっちゃうってことじゃない!?
どっちかが──死ぬ……!!」
「録画を止める……って、じゃあ、このスマホ叩き割るしかない!?」
「でも、止めたらそれもフラグかもしれない!!どっちだよ!!」
そのとき、天井のスピーカーからノイズ混じりの女の声が響いた。
「記録者は逃げられません。
すべての映像は、“完成”を求めています」
「やばい……!“編集された未来”に私たち、取り込まれてる!!」
タイムリミットが迫る中、ミナミは意を決した。
「ハルカ、私、賭けてみる」
「えっ、何を──」
ミナミはスマホをカメラに向け、叫んだ。
「この映像は!失敗です!!公開しません!!ボツですッ!!」
【エラー:編集が完了できません】
映像が、バッと消えた。
……静寂。
そして、スマホの画面にだけ、白文字が表示された。
「……再編集を開始します」