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愛されない子
主人公 青
嫌われ
僕は誰にも愛されない子。
お母さんはねぼくが生まれたのと同時に
死んじゃったの。
だから、お父さんに育ててもらってるんだ。
家にはいつもお父さんが待ってくれてるの。
お父さんはちょっとおこりんぼうだから、
怒らせないようにしてるの。
お父さんはちょっとだけ愛し方が違うんだ。
お父さんは僕を愛してくれている証拠に
たくさん暴言を吐いてくれる。
たくさん殴ってくれる。蹴ってくれる。
時には包丁で切ってくれるし、刺してくれる。
痛いし、たまに息ができなるんだけど、
お父さんいわくこれは”愛してる証拠”らしい。
だからやってもらった後は必ず
“ありがとうございます”って言ってるの。
僕えらいでしょ、？
でもね、お父さんは僕に服とか文房具とかを
買ってくれないの。
これも愛してくれてる証拠なのかな？
服も持ってるものもボロボロだから
学校の子には馬鹿にされちゃうの。
最初はね、
陰でこそこそわるぐち言われるだけだったの。
でもね、そのうち、
直接わるぐち言われるようになって
いろんな仕事押し付けられて、
今はストレス発散道具として扱われるんだ。
“サンドバッグ”って言われるの。
これはお父さんがしてくれることと
同じだからこれも愛だと思うんだ。
愛だってわかってても、
悪口言われたり、
暴力振るわれたりするの
やっぱり辛いんだ。
体も心も痛いんだ。
助けてって言う4文字を伝えるのって
すごく難しくて
誰にも言えないの。
最近は、これが虐待・いじめだって
わかったの。
でも、わかっちゃったら、
僕は愛されない子なんだなって
目に見えてわかるから
余計にしんどいような気がするの。
あぁ
僕ってなんで愛されないのかな
僕ってなんで助けてって言えないのかな。
どんどんぼくが嫌いになって
泣きたくなる。
消えたくなる。
死にたくなる。
今日はねクラスの子に屋上で
腕とか足とか、お腹とかを
カッターで切られたり刺されたりしちゃった、
今までの何百倍も痛くて、立てないの。
今日はほんとに誰かに助けて欲しい。
もしかしたら誰かが来て、救ってくれるかも
そんな淡い期待をしたけど
期待するだけ無駄だと知る。
今のぼくの姿はとても惨めだろうな。
あ、早く帰らないとお父さんがおこっちゃう。
傷だらけの体とそんな思考回路から
居場所なんてないことを実感する。
ｶﾞﾁｬｯ
屋上の扉が開いた。
入ってきたのは助けてくれる人ｯ！
いや、ちがういじめっ子だ。
救いを求め、踊っていた心が静まり返った。
あれ、まだいたんだ。笑
そう言われたのも束の間
カッターで刺された場所を
思いっきり蹴られた。
血が止まらない。
息ができない。
目の前が見えない。
また蹴られた。
強い力に耐えられず前に転がった。
嫌気がさした。
このまま蹴られ続ければ
僕はその度に前に進む。
そうすれば
屋上から
落ちる。
いじめっ子はきっと
それが目的だろう。
あぁ、目の前には道がない。
あぁ、落ちる。
そう思った瞬間。
体が宙に浮いた。
風が体全体に当たって、
傷が少し痛むけど、心地いい。
これが僕の最期か、ﾎﾟﾛ
ｯｯｯばいばいｯﾎﾟﾛ ﾆｺｯ
ｸﾞｼｬｯｯ
6月4日午後5時29分 青死亡確認
愛されない子 終
