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そーあ
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Luz🍀* ゚
15
もち
14
「くねくね」
それでも良ければどーぞ。
午後一時。
雲一つない青空の下、蝉の鳴き声が響き渡っていた。
道路の両脇には青々とした田んぼが広がり、その向こうには緑の山々が連なっている。
都会ではなかなか見られない、のどかな景色だった。
四季「……暇だな」
四季がそう呟いた、そのとき。
四季「…ん…?なんだ…あれ、…」
田んぼの向こうに、白いものが見えた。
最初は、農作業をしている人間かと思った。
けれど、妙だった。
遠すぎて顔は見えない。それなのに、人間であることだけは分かる。
白い服を着た何かが、田んぼの真ん中で立っていた。
そして。
くね、くね、
ゆっくりと、身体を左右に揺らしていた。
風が吹いているわけでもない。
周囲の稲はほとんど揺れていないのに、それだけが不自然に動いている。
四季「……なあ、あれ何?」
四季が指を差す。
その瞬間、隣にいた村人の表情が凍りついた。
村人「おい」
村人は低い声で言った。
村人「指を差すな」
四季「え?」
村人「いいから、こっちを向け」
村人は一行を田んぼから遠ざけるように歩かせた。
誰も説明を求められなかった。
その顔が、あまりにも真剣だったからだ。
…だが、モブが好奇心で振り返ってしまった。
白い影は、まだ揺れていた。
くね、くね、
けれど、先ほどとは何かが違う。
——こちらを向いている。
そう思った瞬間、村人が叫んだ。
村人「見るなッ!!」
その日の夕方。
俺達は宿泊先の古い民家に呼び出された。
村の老人は、全員の顔を確認してから、静かに口を開いた。
村人「この村には、昔から決まりがある」
一つ。
昼間、田んぼの向こうに白いものが見えても、気にしてはいけない。
二つ。
それが人間のように見えても、知り合いのように見えても、決して近づいてはいけない。
三つ。
もし、そいつがこちらを向いていたら。
村人「……絶対に、目を離すんじゃ」
誰かが眉をひそめた。
四季「え? 今、見るなって言ったじゃん」
老人は答えなかった。
ただ、ひどく疲れた顔で言った。
村人「この村ではな、昔から人が消えるんじゃ」
部屋の空気が変わった。
村人「田んぼに入った人間が、帰ってこんようになる」
四季「警察には?」
村人「探しても見つからん」
四季「じゃあ、あの白いのは何なんだよ」
老人はしばらく黙っていた。
やがて、障子の向こうに広がる田んぼを見つめて、ぽつりと呟いた。
村人「……あれは、人間じゃない」
そのとき。
遠くから、蝉の鳴き声がぴたりと止んだ。
深夜二時。
宿の中で、俺は目を覚ました。
理由は分からない。
ただ、窓の外が気になった。
障子を少しだけ開ける。
月明かりに照らされた田んぼは、昼間とは違って静まり返っていた。
白い影は見えない。
四季「ふぅ、…」
ほっと息を吐いた、そのとき。
窓のすぐ外から、声が聞こえた。
「……おい」
聞き覚えのある声だった。
今日、一緒に任務へ来た仲間の声。
「開けてくれ」
けれど、その仲間は確かに隣の部屋で眠っている。
「……なあ」
窓の外の声が、もう一度呼んだ。
四季「っ、…(震」
「こっち、来てくれよ」
障子の向こうで、何かが揺れている。
くね、くね。
人間の身体ではできるはずのない動きで。
そして、声がした。
「なあ、……俺のこと、見えてるんだろ?」
聞き慣れた仲間の声だった。
けれど、返事はしなかった。
返事をしてはいけない。なぜか、そう思った。
しばらくすると、声はぴたりと止んだ。
足音もしない。
ただ、窓の外から、じっと見られているような感覚だけが残っていた。
朝になれば、いなくなっている。
そう自分に言い聞かせ、布団に潜り込んだ。
翌朝。
四季「おはよー…」
何事もなかったかのように、仲間たちが居間に集まっていた。
昨夜のことを話そうとした、そのとき。
四季「……あれ?」
一人足りない。
昨日、田んぼの向こうを見てしまった仲間がいなかった。
四季「モブは?」
四季が尋ねると、村人は味噌汁をよそいながら答えた。
村人「帰ったよ」
四季「は?、いつ?」
村人「朝早くに」
四季「……荷物は?」
全員が黙った。
その仲間の荷物は、昨夜と同じ場所に置かれていた。
靴も、上着も、携帯電話も。
まるで、最初から一人で出かけるつもりなどなかったかのように。
村人は何も言わず、食卓に人数分の茶碗を並べていた。
一つ多い。
誰も、そこには座らなかった。
昼過ぎ。
一行は、行方不明になった仲間を探すため、集落を歩いていた。
田んぼには近づかない。
村人に何度も念を押されたからだ。
モーブ「……なぁ」
ふと、隣を歩いていた仲間が口を開いた。
モーブ「昨日、田んぼにいたアレさ」
四季「……ああ」
モーブ「俺、どっかで見たことある気がするんだよな」
冗談だと思った。
けれど、そいつは笑っていなかった。
モーブ「顔は見えなかった。でも、動き方が……」
言いかけて、黙る。
その視線が、ゆっくりと田んぼの方へ向いた。
四季「……おい?」
呼びかけても返事がない。
そいつは、何かを思い出そうとするように目を細めていた。
モーブ「俺、あいつのこと知ってる」
四季「誰を?」
モーブ「……誰だっけ」
その瞬間。
田んぼの向こうで、白い影が揺れた。
くね、くね、
隣にいた仲間が、ぽつりと呟く。
モーブ「……ああ、そうだ」
モーブは、嬉しそうに笑った。
モーブ「俺だ」
その日の夕方、一行は村の老人を問い詰めた。
四季「何を隠してんだ?」
老人はしばらく黙っていたが、やがて古びたアルバムを取り出した。
そこには、何十年も前の村の風景が写っていた。
田んぼ。山。古い民家。
そして、集合写真。
その写真の一番端に、白い服を着た人影が写っていた。
くねくねと身体を傾けた、不自然な姿勢で。
四季「……これ、いつの写真だ?」
村人「六十年前じゃ」
四季「じゃあ、こいつは……」
老人は写真を裏返した。
そこには、震えた字で一言だけ書かれていた。
『今年も一人、足りなくなった』
村人「昔から、この村では人が消える」
老人は静かに続けた。
村人「じゃがな……本当に恐ろしいのは、人が消えることじゃない」
四季「……何?」
村人「消えた人間を、誰も思い出せなくなることじゃ」
一行は顔を見合わせた。
昨日まで一緒にいた仲間。
名前も、声も、顔も知っているはずなのに。
誰も、そいつの名前を思い出せなかった。
老人がアルバムを閉じた。
村人「……この村には、昔から一つの言い伝えがある」
縁側の向こうでは、午後の日差しを浴びた田んぼが、どこまでも広がっていた。
村人「六十年前、この村に一人の少年がおった」
老人はゆっくりと話し始めた。
少年は、村の外から引っ越してきた子供だった。
家族はおらず、村の人間に引き取られて暮らしていたという。
人懐っこく、よく笑う少年だった。
毎日のように田んぼを走り回り、村の子供たちと遊んでいた。
けれど、一つだけ。
少年には、どうしても理解できないことがあった。
村人「……人間というものは、見てはいけないものを見たら、どうなると思う?」
老人の問いかけに、誰も答えなかった。
村人「少年はな、ある日、田んぼの向こうに立っているものを見たんじゃ」
白い服を着た、細長い人影。
遠くから見ると、人間にしか見えなかった。
少年は興味本位で近づいた。
そして、その姿を見続けてしまった。
それからだった。
少年がおかしくなったのは。
村人「最初は、誰も気づかなかった」
老人は、膝の上で両手を握りしめた。
少年は以前と変わらず、村の子供たちと遊んでいた。
ただ、時々、身体を左右に揺らすようになった。
くね、くね、
本人は無意識だった。
声をかければ止まる。
だから村人たちは、疲れているのだろうと思っていた。
けれど、日に日に揺れは大きくなっていった。
首が傾き、背中が反り、手足が不自然な方向へ動く。
それでも少年は笑っていた。
四季「……怖くなかったのか?」
四季が尋ねた。
老人は、ゆっくりと首を横に振った。
村人「怖かったのは、少年じゃない。周りの人間じゃ」
少年の母親代わりだった女性は、何度も医者を呼んだ。
だが、医者は原因を突き止められなかった。
村人たちも、少年を避けるようになった。
そして、ある夏の日。
少年は突然、姿を消した。
家にもいない。
山にもいない。
村のどこを探しても、見つからなかった。
ただ、田んぼの向こうに。
白い影が一つ、立っていた。
四季「……あれが、少年だったんすか」
四季尋ねた。
老人は答えなかった。
代わりに、窓の外を見つめた。
村人「わしは、そう思っとる」
四季「…じゃあ、なんで村の人間は何も教えなかったんだ?」
問い詰められた老人は、初めて顔を歪めた。
村人「……守りたかったんじゃ」
四季「誰を…?」
村人「村を。そして、あの子を」
老人は立ち上がり、奥の部屋へ向かった。
しばらくして戻ってきたとき、その手には一枚の古い写真があった。
六十年前の集合写真。
田んぼを背景に、村人たちが並んでいる。
その中央に、小さな少年が立っていた。
笑顔だった。
ごく普通の、どこにでもいる子供の笑顔。
村人「この子は、最後まで人を傷つけようとはせんかった」
老人の声が震えた。
村人「ただ、誰かと遊びたかっただけなんじゃ」
一行は黙り込んだ。
村人「じゃが、村の人間は怖がった。誰もあの子を見ようとせんかった。話しかけようともせんかった」
老人は写真を握りしめた。
村人「……あの子が消えたあとも、誰も探そうとせんかった」
そのときだった。
縁側の向こうから、声がした。
「……ねえ」
子供の声だった。
「おじいちゃん」
老人の顔から、血の気が引いた。
「……遊ぼうよ」
一行が振り返る。
田んぼの向こうに、白い影が立っていた。
くね、くね、
身体を揺らしながら、こちらを向いている。
そして、その影の隣に。
小さな男の子が立っていた。
古い写真と同じ服を着た、あの少年が。
なんか文章きもかった。
続きあります。
一ヶ月前ぐらいにリクエストしてくれた方がいるんだけど、めちゃ遅くなっちゃった。ごめんなさい。一応ちょっとずつ書き進めてはいた。
みんな、夜にこれを見て怯えて寝るがよい!
それかお風呂から出られなくなるがよい!
(2026/10/12 18:30)
NEXT➙♡500
コメント
11件
うわァァァ続き来ちゃー!!え?最高なんだが
