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8月20日
まだ蒸し暑い空気が漂う、少し田舎の祖母の家へと俺は両親と訪れた
sha
「お邪魔しまーす」
と挨拶をして入るとばあちゃんは優しく微笑み迎えてくれた
「こんにちは、飛鳥ちゃん」
俺はその言葉に少し嫌気を感じる
sha
「ばあちゃん俺女やないんやからやめてや」
つい口走ってしまった
紗尾 飛鳥 シャオ アスカ
俺はこの名前が
「嫌いだ」
この名前や顔立ち、体型のせいでほとんどの人に女性と間違われる
だが声を出すと男と分かるのでそこだけは良かったと思っている
「あら、ごめんなさいねぇ」
ばあちゃんはいつものように優しく謝ってくれた
sha
「…もうええよ、ばあちゃんそんな謝んといてや」
「俺コンビニ行ってくるわ」
「そう?最近はすぐ暗くなるから気をつけてねぇ」
sha
「おん」
sha
「あっつい…」
そう呟きながら、少しでもコンビニに着くように歩いた
うわ、ガチで暗なるの早いやん
数分コンビニん中居っただけやのに、
まだ6時半位なんに、
…はよ帰った方がええよな
すると
帰っている途中に、生暖かい風が吹いたと思うと目の前に風のように現れた細身で猫背の男性がいた
sha
「ぅぉ…」
俺はびっくりして間抜けな声を出した
俺はその男性を見ていると、何故かその男性のことが気になってしまった
そして俺は、その男性に
sha
「こんばんは」
と声をかけた
するとその男性は驚いた様子で周りを見渡したあと
細身の男性
「あ、こんばんは…」
と返した
すると俺は男性の声を聞いた瞬間、
「あ、この人は絶対忘れては行けない、忘れられへん人や」
そうふっと思ってしまった
どうにかして話を繋げないと、と思い
sha
「あ、あのまた明日3時にここで会いませんか?」
そう声をかけてしまった
「やばい、これじゃただの変人やん…」
そう思ったが、その男性は優しく
細身の男性
「全然いいですよ」
と、言ってくれた
俺は嬉しさのあまり
sha
「!あ、ありがとうございます!!」
そう言ってしまった
俺は、ハッとし、
急に恥ずかしくなってしまい
sha
「そ、それじゃあまた明日!」
と、言い足早に帰って行った
次の日、
sha
「やべっ、遅れた!」
そう言って、急いで走ってくるsha
それを見ていた男性は、
細身の男性
「ふふ、大丈夫やで」
そう優しく声をかけてくれる
sha
「あっ、ありが、とうっ」
俺は息を切らしながらそう言う
sha
「ちょっ、と用事があってっ」
細身の男性
「全然大丈夫やで?ほんの5分くらい」
sha
「そ、そうかっ」
早く息を整えなければ
そう思いゆっくり息を吸う
sha
「ふー…」
「…えっと、昨日急にもう1回会いたいとか言ってすいません」
細身の男性
「え?いや別に夏はやることなくて暇してたからちょうど良かったわ」
「あと全然タメでええからな?」
sha
「そうなんや、分かったありがとうな!」
細身の男性
「ふっ、笑…あ、そういえば名前言っとらんかったな」
「俺の名前は、」
…そうや
こっちから誘っておいて名前も言っとらんかった
「鬱島大や」
鬱島 大 ウツシマ ダイ
その名前を聞いた瞬間、
俺の大事な記憶の一部分、
とても、
とても大事な…記憶
記憶、
その一部分の記憶そこがどうしても思い出せない
何があった?
俺とお前、
もしかしてどこかで会ったことが、あるんか?
ut
「大丈夫か?」
utのその声で現実に引き戻された
sha
「あ、すまん!考え事しとったわ!」
「そういや名前いってへんかったな!」
「俺の名前は紗尾、飛鳥!よろしくな!」
ut
「飛鳥な、よろしく」
飛鳥、その名前で呼ばないで欲しい
sha
「あの、出来ればshaって呼んで欲しいんやが、」
ut
「分かったで、sha」
sha
「あぁ、…ここで話すのもあれやし、俺ん家こん?」
「ついでに一緒にゲームしよや!」
ut
「じゃあお言葉に甘えて」
そう、少し話をしたあと祖母の家へと向かった
俺はutとゲームをしていた途中、
つい、
sha
「は〜、なんか唐突なんやけどさ?」
ut
「おん」
sha
「…何か俺お前のこと忘れちゃいけへん気がするんよな」
そう口走ってしまった
するとutは、
ut
「…7年前」
sha
「え?」
ut
「それじゃあsha、またな」
「この時間帯はすぐ暗なるから」
と言い帰るut
sha
「あ、じゃあまたな〜!」
そう言いutを見送る俺、
sha
「…7年前…?」
俺はそうポツンと誰も居なくなった玄関で呟く
そのutが言った
「7年前」
という言葉を疑問に思いながら俺は1日の残りの時間を過ごした
次の日、
俺は気晴らしに、散歩をしに出かけた
俺はいろいろな景色を見ながらふらっ、と歩いて行く
俺は何も考えずに墓地の前を通る
すると俺はそこに惹かれる様に墓地の中へ入って行く
俺はひとつの墓の前で止まる
sha
「…あれ?これって、あいつと同、じ…名前…?」
そこには、
「鬱島 大」
そう彫られていた
sha
「な、7年前?」
「し、知らん、…そんなんっ、」
「お、思い出せへん絶対忘れちゃいけへん、」
「ダメやダメ、だめっ…、ここに居ると悲しなる」
と言い立ち去る
俺は心の中で
「早く、早く思い出したい、思い出したいのにッ!」
そう呟いた、
俺の記憶はなにかに蓋をされている、
今思い出しているのはたったの瓶から溢れ出した、
たった数mlもない記憶だけ、それだけ、…
…
ut
「昨日ぶりやな少年」
sha
「!…しょ、う…ねん?」
そういやここどこや?俺が無意識にここに?
しかも俺は少年と言われるほど子供やない
なんのことを言っているんや?
ut
「少年、7年振りやなここで会うのは、」
sha
「…あ、」
そうや、
おれ、
7年前に、
ここで轢かれそうになったんや、
思い出した、
sha
「ut、俺、思い出した」
ut
「…まさか俺の人生たった21年で終わるとは思ってもへんかったわ」
何か嫌な予感がする、
俺が今ここで気づいた
それでこのままutが消えてしまう気がする
そう俺の本能が訴えていた
utが消えてしまう前にこの初めて会った時の
気持ちを伝えてしまわないと、
sha
「っ…あのな俺っ、お前のことが好っ」
ut
「ダメや」
…え?
ut
「分かっとる、お前のその気持ち…」
「でもその気持ちには応えられへん」
sha
「なんで…」
ut
「sha、俺はもう死んでるんや、」
「やから生きてるやつと、死んでるやつが付き合うのは」
「生きとるやつ、つまりshaが…自害せな、アカン…から」
sha
「!やったらっ」
ut
「やめてや、sha、お前にはちゃんと寿命で死んで会いに来て欲しい」
「しかもこの状況で付き合ったとしても、もう俺には時間が無いんやで?」
utの
「時間が無い」
その意味が分かった気がする
さっきまで顔を見て話していて足は見ていなかった、
俺は恐る恐るutの足を見てみた
すると、utの足は既に腰ら辺まで消えかかっていた
sha
「ッ、分かった、…わかった」
「っ、その代わり、絶対迎えに来てな?約束」
ut
「あぁ、分かってるわ」
「じゃあな、少年」
utは、俺の頭を撫で、消えてしまった
カシャンッ
俺は泣きそうなのを堪え、音のなった方を見る
そこにはutのかけていた眼鏡が落ちていた、
sha
「utの、眼鏡、…」
そう言って俺は大事に拾い上げる
と同時にふわりっ、と優しく暖かい風が吹く
その風は優しく、暖かく、ほのかにutのタバコの匂いがした
それから俺は
1年、5年、10年、何十年経っても、
どれだけ予定があっても必ずutの命日に墓参りに来ている
数年、いや五十年以上、それより多いかもしれない
それなのに最後に聞いた、
あの声、あの匂い、あの雰囲気、あの気持ちを
どうしても忘れられなかった
俺はutのメガネを優しく触りながら、
深い、深い眠りについた
もう1度目覚めることの無い
sha
「…あ、れ、姿が大学の時に戻っとる、…」
「おれ、寿命で死ん、で…」
ut
「飛鳥、」
俺はどうしても忘れられない
あの優しい透き通るような声が聞こえ、
驚き振り向いた
そう俺の後ろには
sha
「ut!!」
何十年経っても忘れられないお前が居た
ut
「飛鳥、迎えに来たで」
sha
「ッッ、大ッ!!」
俺は大に抱きついた
俺は大に会えた喜びで自然と目から大粒の涙がこぼれていた
ut
「笑、飛鳥?」
「俺、これからは飛鳥のためにも死なへんように頑張るは」
sha
「なんやそれぇっ!」
「ふははっ笑」
ut
「はははっ笑」
俺たちは笑いあった、
そして少しして落ち着いたあと
ut
「なぁ、俺はこれから飛鳥には笑っていて欲しい」
sha
「俺はこれから大には死なへんといて欲しいわ」
ut
「だから、これからは」
sha
「やから、これからは」
「「ずっと一緒にいような」」
ut
「ふっ笑、被ってもうたな、飛鳥」
sha
「そうやな笑」
紗尾 飛鳥 シャオ アスカ
俺はこの名前が
「好きだ」