テラーノベル
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駅の改札を抜けたあと、咲は改札口のそばで立ち止まった。
人混みに紛れていく悠真の背中を見送るだけで、胸がぎゅっと締めつけられる。
――もっと、話したかったのに。
電車に乗り込み、窓際の席に腰を下ろす。
ふと視線を外にやると、隣のホームに悠真の姿が見えた。
亮からの電話を受けているらしく、真剣な表情で頷いている。
偶然じゃない。亮に呼ばれているのだろう。
それでも、咲には運命の断片のように見えてしまった。
電車が動き出し、悠真の姿が遠ざかる。
窓に映った自分の顔は、どうしようもなく赤く染まっていた。
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