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家族旅行で来た、綺麗な海が見えるリゾートホテル。
楽しいことが大好きな両親と兄弟は、着替えるなりに部屋を出ていった。
イベントとかツアーとかにすぐ参加したがる家族は、お構い無しに散財しまくる。
私はその場のものを楽しみたいから、現地の人にでも聞いて、グルメでも食べていこうかな。
しばらくホテルの周りを歩いていると、1人の男の子に声をかけられた。
その子が、……いや、言わないでおこう。
『すみません』
「え、はい…?」
『その服装…観光客?』
その日はホテル支給のアロハTシャツで、ホテル周辺の施設では、その服を着た観光客は何かしらが割引かなんとか…
「……はい。家族と。」
『家族はツアーとか?』
一言も家族について言ってないのに、顔をのぞきこんで尋ねてきた。
その顔、すごく爽やかで、サイダーのようなすずしい顔をしていた。
「…うん。私は現地のグルメでも楽しもうかなって……」
その子はクシャッとした可愛い笑顔をして
『じゃあ、俺んとこおいでよ。父さんの料理、めちゃくちゃ美味いから。』
と、私の手を掴んで、海辺の小さなカフェに連れていかれた。
正直、有名グルメとはいかなそうな場所だった。
ただ、この場所が思い出の場所となるなんて思ってもいなかった。