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「このジェットコースター、前は誰と乗ったの?」



プライベートなことだからかな……少し聞きづらそうにしてる。



「私の女友達とその彼氏……って、今は結婚してるから旦那さんだよね。3人で行ったから、私は全然知らない女性と隣同士で乗ったの」



「そうだったんだ」



「うん。でも、怖すぎてずっと目を閉じてたからね、全然景色見れなかったの。だから、今日は頑張って目を開けるね」



「そんなに怖いの?」



「そりゃ怖いよ。希良君は初めてなんだもんね」



「うん。ずっと来たかったけど、なかなか……ね。学生はいろいろ忙しいし」



今、気づいたけど、いつの間にかタメ口になってる。



でも、すごく自然だった。



「大学で勉強して、バイトもして……大変だよね」



希良君は、パン屋やバイト先のスーパーからも近い、かなり頭の良い人が行く大学に通ってるらしい。



将来は理科の先生になりたいって……



そんな立派な夢を持ってる希良君を、年下だけど尊敬する。



「いろいろ好きでやってることだからね。大学でさ、理科の実験とかもやってて、結構楽しいよ。小学校や中学の時に実験ってよくやったでしょ? あれが好きで…いつか自分が先生になって、子どもたちに不思議なことを体験させてやりたいなって思うようになったんだ」



そうなんだね、先生になりたいなんて本当に素敵。



子どもが好きなんだね。



「希良君が先生なら、きっと楽しい授業になるね。私も受けてみたいな」



「ぜひ」



こんな明るくて笑顔が素敵なイケメン先生がいたら、女子生徒達は実験に集中できないかもね。



「そういえば『杏』でバイトしてる果穂ちゃん、この前会ったでしょ? 彼女も同じ大学に通ってるんだよ。希良君の一個上」



「ああ、あの人……やたら元気な人だった」



「確かにね。果穂ちゃんはすごく元気で明るくて、希良君と同じだね」



「そうかな? ちょっと苦手かな、僕は。ねえ、それより……」



私は、待ち時間の間にいろいろ話すうち、希良君に対する警戒心みたいなものがほとんどなくなっていた。



すごく優しくて気遣いもできて、それでいて夢に向かって頑張ってる……本当にいい子だってわかったからかな。



しばらく待って、いよいよ私達が乗る順番が回ってきた。



思わず胸を押さえたら、心臓がかなり早いスピードで脈打ってる。



大丈夫かな、私。



知ってるだけに怖いというか……



でも、ワクワク感もあって、複雑で不思議な気持ち。



ジェットコースターが入ってきて、私達の前にピッタリ止まった。



それに乗り込み、お腹のベルトをキッチリ固定する。



肩からの安全バーがないのが余計に怖さを誘う。



クルーさんの「LET’S RIDE!!」の掛け声でコースターは発進した。



もう、逃げられない。

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