:.*゜:.
開け放った窓からふりそそぐ朝日の眩しさで、紗理奈はベッドの中で目を覚ました、腹ばいになり眠い目をこすって、肘をついて上体を起こした
紗理奈は思った、もしかして・・・夕べの出来事はすべて夢?
しかしベッドのシーツも紗理奈の足が届く位置よりも、はるか遠くまでくぼんで皺が寄っている
隣に彼がいた証拠だ
「・・・・ナオ?・・・」
彼の名前を呼んだだけで鼓動が速くなった、彼は行ってしまった
ナオは紗理奈が男性に求めていたものすべてを備え、同時に頑なに避けてきたものもすべて備えていた
心を溶かす優しさと
戦士のような激しさ
守られたいと思わず求めてしまうような気概
そして女性をセックスで虜にしてしまうほどのテクニック
紗理奈は全裸で部屋を見回した、ベッドの周りには紗理奈の服が散らばっていた
ヨロヨロと立ち上がってバスルームに入った
こんな時24時間可動式の浴槽は助かる、紗理奈は気持ちの良い湯船に入って、自分を生き返らせた
少しずつ目が覚めていくにつれ、ゆうべの事を必死に思い出して、一つ一つ検証した
4回目に絶頂を迎えたまでは覚えていた、ワインを飲んでいたとはいえ、その後の記憶が曖昧だ
事実は小説より奇なり・・・・自分が想像していたものなど、取るに足らないものだった、あの官能魔王のナオにかかったら
紗理奈はシャンプーを洗い流して、トリートメントを髪全体に塗り広げ、保温キャップで浸透させている間に体を洗った
トリートメントを洗い流し、シャワーを止めてタオルを掴み浴室から出た
濡れた髪をドライタオルに包み、汗が引くまでガウンを着ようと、体を拭いたタオルを使って湯気で曇った鏡を拭いた時、鏡に映った全身の自分の姿を見て度肝を抜かれた
あちこちに吸いつかれたような赤い痣がある
体の中でもう彼に舐められていない所は、なかった気がする、足の指も一本一本全部口に含まれた、おしりにおいてはかじられた
踵を持ちあげられくの字に身体を折り曲げられ、隅々まで調べられた
最終的にはお尻の穴まで舐められてなかった?
ポンッと頭が爆発したかのように、顔に血流が昇る
多分普通の女性が一生かけて男性から受ける分の、濃厚な愛撫を経験した
何度目かの絶頂の後、薄れゆく意識の中、彼が耳元で囁いた言葉を思い出す
「・・今日は最後までしないよ紗理奈・・・ 」
「どうして最後までしてくれないの?」
「コンドームを持ってないんだ・・・」
まぁ!それはあなたの商売道具じゃないの?
紗理奈は思った、まさかコンドームまで客が用意するものだったのだろうか?マダムは一切そんなことを言わなかった
しかし次にまた彼の指が中に入って来た
ああっ!!そんなにされたらっっ!・・・
紗理奈の頭は一気に快感の渦に思考停止させられた
「君のココもココも恐ろしく狭くて小さい・・・奥行きはなんとなくわかった、多分俺の根元まで入る、問題は幅だな・・・君に痛い思いをさせるだろう、俺のはデカいから」
やっぱりMサイズじゃないじゃない・・・・
無意識に紗理奈はそう心の中で突っ込んだ、その時また彼に敏感な真珠を強く吸われた
あああ~~~~!!そんなに吸わないで~~!
「俺のピーチちゃん・・・俺達はゆっくりやろう・・・段々と慣らして君が俺を受け入れる準備が出来るまで・・・その時は容赦しないよ、これだけ我慢させられてるんだ、自分で自分に褒めてやりたいよ 」
ピーチちゃんって何なのよ?何の揶揄?作家だから知らない言葉には煩いの・・・・
そう言い返そうと思った時、また頭の中が絶頂に弾けた、今度のそれは長く甘い麻痺だった、彼が紗理奈の絶頂を長引かせようと、何かしているのが分かった
白熱の波となって、全身を絶頂感が貫いていく
至福の波が引いて行き、過呼吸をおこしそうだったので、ただただぐったりと目を閉じた
「いい子だ・・・今はお眠り紗理奈・・・とても素敵なものを見せてもらった、賢そうな君が俺に尻をつきだして、ぐしょ濡れになって、喘いで身もだえてイってくれた・・・・超大作映画を見終わった気分だよ、とても晴れやかだ 」
「・・・次のお客さんが待ってるの?」
息も絶え絶えそう紗理奈は聞いた
クスクス・・・・「なんてことを・・・その可愛い頬っぺたをつねってやりたいよ・・・でも今の所はこれで我慢する 」
そう言ってまた彼の美味しい舌が口に入って来た、彼の舌は自分の味がした
またふわふわと紗理奈の体は宙に舞った、もう駄目だ、彼の囁きにいちいち心の中で突っ込んでいたが、一つも言葉にならなかった
もう眠くて眠くてたまらない、一ミリも動けない
そして直哉は紗理奈の耳にキスして囁いた
「誕生日おめでとう紗理奈・・・夢の中でまた会おう 」
..:。:.::.*゜:.
そして紗理奈は深い睡眠の闇に落ちていった、これ以上ないほど肉体的に満足して
::.*゜:.
シャワーを浴びて、ベッドルームに戻ってきたら、海風に揺れるカーテンの傍のベッドボードの上に、薔薇の花一輪と、飛行機型に折られた便箋を発見した
誰がこんなことをしたのかすぐにわかった、そして夕べの事は夢ではなく全て、現実に起きたことだとこれでハッキリした
ニヤニヤが止まらない、紗理奈は薔薇一輪を手に取った
クスクス・・・「うちのリビングに飾ってあったものじゃない」
飛行機の便せんを広げる、するとそこに男らしい筆記体で一言走り書き
―造花で申し訳ない、今度は本物を持ってくる―
今度?
紗理奈はポツリと呟いた
「・・・リピーターに、なって欲しいってこと?・・・」
..:。:.::.*゜:.
喉が渇いたので紗理奈はキッチンへ移動した、冷蔵庫を開けるとそこに黒の重箱が入っていた。こんな所に何かを入れる事が出来る人物は彼しかいない
だってここに引っ越してきてから、初めてのお客さんが彼だったのだから
不思議に思って、紗理奈は冷蔵庫から漆塗りの重箱を取り出して、パカッと蓋を開けた
紗理奈は中身を見て呟いた
「ずんだ餅・・・・・ 」
:.*゜:.
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!