テラーノベル
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涼ちゃんの行動を探るなんてことはたやすいことだった。
涼ちゃんの行動を見張って出掛けるときには後を追う。
スケジュールは把握していたのでそんなことは簡単で、あとはあの携帯を見るだけ。
カバンを探って、渡してパスワードを盗み見る。それがいつも彼が使っている番号で少し安心した。
中は知らない誰かとのメッセージのやり取りと、どこかのお店からの連絡。
ただ、それだけ。
それだけなだけにそんなに大切なものなのか、と動揺してしまう。
「誰だ···?」
ゆっくり見返すためにやりとりを動画に収めて何事もないように涼ちゃんのカバンに戻した。
まるで浮気を探るような行動にバレたら嫌われるかも、と思いながらも涼ちゃんを他の誰かにあっさりと奪われるわけにはいかないと思う。
こんなに大切にしてきたのに。
家でゆっくりとそのやりとりを何度も見返す。
他愛もない日常会話、その中に“会いたい”という言葉。
どうやら涼ちゃんはうさぎちゃんと呼ばれて相手はクロ、という男性みたいだった。
「俺に黙って男と会ってるなんて···」
そしてもう一つのメッセージの店にも驚いた。
一見、会員制のクラブか何かのようだけど調べると怪しい情報が見つかる。
「嘘でしょ···涼ちゃん···」
そういうことがしたいなら俺がいくらでもしてあげるのに。
なんで得体も知れない男と親密そうにやりとりしてるの。
まさかその店でこいつと会ってるの?
調べ始めて数週間後にはそのマンションの中で男性と親密そうに話す涼ちゃんの姿が写真に収められて俺の元に届いた。
「こいつがクロ···?」
写真を捲る手が止まる。
「···っふざけんなよ」
そこには他の人もいる所で抱きしめ合いキスをしている写真が何枚もあった。
こんなところで会うくらいなのだから、恋人ってわけではないだろう。
でもその一線を越えた親密さにイラつき思わず写真を床に投げ捨てた。
俺がずっと大切にしてきたものをこんな奴に好きにされるなんて。
バンドメンバー愛、友情としての愛、そして恋愛···俺の全てのには涼ちゃんがいて、涼ちゃんにも俺だけだと思っていたのに。
「返してもらうから」
涼ちゃんが欲しがっているならそういった甘い愛をあげよう。
刺激が欲しければ与えてあげよう。
俺が一番あなたを好きだとわからせてあげよう。
色々と情報を掴んだことで少し不安だった気持ちが和らいで俺は鼻歌を歌いながら涼ちゃんにメッセージを送った。
『明日の夜、涼ちゃんの家に行きたい』
他の男の所になんか行かせない。
コメント
5件
コメント失礼します! 愛が重いのっていいですよね… ニヤニヤしながら読んでました💕 続きめっちゃ気になります✨
更新ありがとうございます😭 続きが気になります… クロさんが別人だと思わなかったーーー🥺
欲しいならあげましょう そんな簡単なものじゃ無いのよ、❤️さん‼️ ニヤニヤ止まらず思わずコメント致しました、失礼しました🙇♂️ 続きが気になりすぎて、、