【バブケ視点】
首筋に痛みを感じてふと目を開ける。そこには懐かしい景色が広がっていた。
ちゃげ「バブケおはよ!新しい子来たよ〜」
バブケ「おはようございます」
新しい子。あ〜、あるまさんが来た日か。そういえばあの日も首筋の痛みで目が覚めたな。手を当ててみれば、まだ新しい傷があの日の景色を思い出させた。
あるま「中野 有馬です。よろしくお願いします。」
最初、大人しそうな子だと思った。でもそれはすぐ取り消されて、元気で太陽のような明るさを持った子だった。
僕は仲良くなれないな、ちゃげさんなら仲良く出来そうだけど。
これが最初の印象だった。
あるま「おいバブル!勝負しろ勝負!」
バブケ「勝負ってなんですか」
あるま「かるた!」
ちゃげ「やれやれ〜!」
よく考えたらちゃげさんが仲良く出来る子が、僕と関わらずにいなくなるわけが無い。窓の外は曇り空、午後から雨の予報だから外で遊ぶのは無理だという判断。カルタって1VS1でやるもんじゃないでしょ。でも読み手がいるから3人で遊ぶなら1VS1。先生にやってもらえば3人でも出来ると思うけどな。
一通りカルタをして、窓の方を向いた。
あるま「雨降ってね〜!!」
バブケ「これなら外で遊べましたねw」
ちゃげ「でも俺曇りって好きじゃないな。」
あるま「えっ、なんで?」
僕もあんまり好きじゃない。僕とちゃげさんはあんまり覚えてないけど、曇りの日、太陽が見えない日に捨てられたから。曇りになると、この施設からも自分は追い出されるんじゃないかって気になるから。
ちゃげ「曇りの日はひとりぼっち。誰も俺を見てくれないから。」
あるま「……僕は曇りめっちゃ好きなんだけどな」
バブケ「それこそなんでですか」
曇り嫌いってのも珍しいかもだけど、好きってもっと珍しくない?曇天って言葉の響きもなんか微妙だし。
あるま「だってふじみやが迎えに来るのは曇りの日だからね。あいつ太陽の下歩けないから。」
ちゃげ「誰それ」
あるま「死神だよ死神。いつかふじみやの目貰うって約束したから。」
バブケ「なんですかそれw」
その時は笑って終わったけど、今思えばあの時のあのセリフもあるまさんの”おかしさ”がわかる一言だったのかも。まぁ、嘘は確かについてないんだけどね。
その次の日、空はまた曇ってて、朝僕が起きた頃にはあるまさんはいなかった。
ちゃげさんが言うには行くべきところがあるって外に出たらしい。その日から、曇りの日、あるまさんはお昼ご飯を食べに1度戻ってくるだけで、ずっとどこかへ行ってて、雨が降ったら帰ってきた。
男「早くしねぇとこの子供殺すぞ!!!」
あの事件の後から、目が覚める時は首筋が痛むかこの大声が聞こえるか。
目を開けた先の景色は家で、施設じゃなかった。
今の、夢だったのか。そりゃそうか。
ちゃげ「バブルー、ご飯出来たってよー!」
バブケ「あっ、はーい」
階段を早足でかけおりる。あ、いい匂い。今日は人間が作ったご飯だ。
K「どうバブル!美味しそうでしょ!」
バブケ「え、今日奏の日?」
K「そだよ〜」
バブケ「まじか。」
なつ「普通に美味い」
確かに美味い……。上達したなぁ。最初の方とか食べたら死ぬんじゃないかってくらいゲテモノだったけど。
バブケ「そういえば、あるまさんが施設に来た時の夢見た」
ちゃげ「へ〜……なんかあったっけ」
バブケ「曇りについて語った日の夢」
あるま「あぁ〜wちゃげバブはくもり嫌いなんだっけ」
ちゃげ「今は別に。曇りの日にかげぴたち迎えに来てくれたし。」
影。「あるまは曇り好きだったでしょ」
あるま「好きだったし、ずっと待ってた。」
みや「すんませんした」
K「あははw」
あの施設での事件は全部悪夢だし、思い出したくもないけど。でもあれがあったから奏と出会えたし、悪いことばっかりじゃない。それをわかってるから僕は何があっても怖くないのかもしれない。
瀬戸「まぁこいつら曇りじゃないと外出れないしな」
K「それは本当にそう。」
今なら、曇りの日に毎回外に出てたあるまさんの気持ちが少しわかるような気がしなくもない。
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