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色々注意
書斎の空気は、雨の残り香と血の匂いで重く淀んでいた。
ソ連は左眼を押さえ、痛みに歪む顔で膝をつき、震えながら息を整える。
ナチスはその横で、頭を抱え、冷や汗を拭うこともできず、荒い呼吸だけが響いていた。
「…ち、ちりょうね…」
ソ連がぽつりと、子供のように小さく呟いた。
痛みと恐怖の中で、無意識に口に出たその言葉は、あまりにも幼く、壊れた世界に不自然に響く。
ナチスはその声を聞き、膝の上で震えが止まらなかった。
「…お前…それ…」
声はかすれ、理性も体も追いつかない。
胸がぎゅっと締め付けられ、吐き気と罪悪感に体が押し潰される。
ソ連は涙をこらえながら、震える手をナチスの方に伸ばす。
「…い、痛い…でも…ち、ちりょう…して…」
小さな声に、怒りでも挑発でもなく、ただ救いを求める絶望が混じる。
ナチスは唇を噛み、顔を伏せたまま膝から崩れ、頭を抱える。
「…俺は…俺は…こんなことを…」
言葉にならない呻きと冷や汗が、書斎に重く垂れ込める。
その瞬間、二人の心理は、痛みと愛情、絶望と希望が入り混じった奇妙な密室空間で絡み合った。
「ちりょうね」――その幼い言葉が、重苦しい絶望の中に微かな光のように揺れたが、希望はまだ脆く、壊れそうだった。