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そして、弥生と理久先生、保育園の先生達にも話した。
もうこれ以上隠してるのが嫌だったし、報告だけはしておきたかったから。
先生達は、話した瞬間にみんな大騒ぎになった。
みんなに「うらやまし過ぎる!」とか「マンションに遊びに行かせて~」とか「慶都さんのイケメン友達を紹介して」とか散々言われて。
でも、みんながちゃんと祝福してくれたことが嬉しくて、とても有難かった。
弥生はめちゃくちゃ泣いてくれて、死ぬほど喜んでくれた。
前に進めるように背中を押してくれたのは弥生だから、私は本当に感謝してる。
そして、理久先生には……改めて電話で話した。
『やっぱり僕が思ってた通りなんですね。複雑ですけど、彩葉先生が幸せになれるならそれでいいと思ってます。でも……本音を言えば、正直、キツいです。彩葉先生は別の人の彼女なんだって、あなたを見るたびに思ってしまいそうで』
そんな風に言われて、すごく戸惑ってしまった。
『あなたが僕の側にいてくれたらどんなに幸せだろうって、情けないけど考えてしまうんです。困らせてしまって……ごめんなさい。でも、僕は彩葉先生のことが本当に好きだから、そんな簡単には諦められないんです』
苦しい胸の内を明かしてくれた理久先生。
ふいに、慶都さんと一緒にいられなかった3年間が蘇ってきた。
私には雪都がいて、すぐ近くに慶都さんを感じることができて、だから幸せだった。
でも、本当は……心の奥でいつも慶都さんを求めていたのかもしれない。
その気持ちを我慢して、押し殺して、気づかないフリをして生きていたのかも。
好きな人と結ばれない苦しさ、それは痛いほどわかってる。
理久先生とは、その会話を最後に、仕事以外のことでは何も話せていない。
幸せになってほしいと心から願ってるのに、慶都さんを選んだ私には、理久先生の気持ちに寄り添ってあげることはできなかった。
「雪都は? 眠った?」
「はい。今、やっと眠りました」
「お疲れ様」
「慶都さんこそ。今日はいろいろ大変だったんじゃないですか?」
慶都さんお気に入りのフカフカのソファに座り、2人の会話が始まる。
お互いに1日の仕事を終えて、ゆっくりとこんな風に過ごせる時間を持てることが、まだまだ夢見心地で不思議な感覚だった。
「今日は、副社長になる準備でずっと社長とあちこち企業回りをしていたから。父さんの方が張り切っていたな」
「お父様、慶都さんが副社長になることを心から喜んでおられますからね。本当にお元気で何よりです。まあ、うちもですけど」
「ああ、一堂社長もお元気だな。いつもエネルギッシュでパワーをもらう。本当にみんなが元気だと安心だ。今は、父さんも母さんも雪都を可愛がってる時が1番幸せそうなんだ。きっと雪都からパワーをもらってるんだろう。あんな小さいのに、雪都には計り知れない力があるんだな」
慶都さんは優しく微笑んでくれた。