コメント
0件
向井👀
昔から、自分を探していた
どんな人間が、どんな性格が、どんな見た目が、
人からの信頼をなくさずに生きていけるのか
面白くて、優しい。
これが最終地点だった。
人に優しく、笑顔に。
涙も、辛い顔も、弱音も、自分の弱い所は、傷ついている所は絶対に見せない
気を遣わせてしまうから。 少しいじっただけでシクシクしてたら
向井はこんな人間なんだ、これからいじるのはやめよう、って。 距離を置かれる。
どんな時も、ポーカーフェイスは忘れず、笑顔だけを見せる。
それが、向井康二、俺の生き様だった。
『 向井~?また赤点なんだけど~? 』
「 またなん~?勉強したんやけどな~笑笑 」
『 ほんとか?笑笑 そうには見えないけど~? 』
本当は、悲しい顔をしたい。
本当に頑張ったから、
でも、俺の中のルールを全うしなければいけない。
誰もいない教室
先生達も恐らくもう教室には来ない
「 ……っなんでおれ、才能がないんや……っ 」
「 なんで、なんで……!!! 」
『 ……む、か、むか、い……? 』
「 なんっ、…… っ…!? せ、先生……!! ちゃうで!? げ、劇の練習やで!!? 」
「 あのな、兄ちゃんと今度劇するんよ! あ、先生も来る!? うん、だから!! 」
『 無理しないでね。 』
「 っ…、せん、せい…… 」
『 お前は十分頑張ってるから、ちゃんと見てるから。 』
『 俺は。 』
「 …… 」
俺の願いは、特別が欲しかった。
ただ、それだけ。
本当の自分を見せられる、そんな特別。
俺は兄ちゃんよりも、欲しいものややりたい事、できる限りの事を親がしてくれた。
でも、そんな特別じゃなくて、皆が幸せで、
俺の見ていた夢の世界は、もっとキラキラしてて。 人間が人間で居られるようで。
深澤先生と会った時、こんなに胸がドキドキしたのは初めてだ、って思った
きっと、一目惚れだった。
先生といれば、俺が求めていた特別が手に入るような気がした。
でもやっぱり、思い通りには行かなくて。
俺は、人生を変えるたった一つの単純な選択を間違えてしまったと、
知ってしまった。
『 めーぐろっ、!! 』
[ あ、深澤先生。 ]
『 ん、 辰哉って呼んでよ…… 』
[ んふ、学校だよ?笑 …… たーつや、 ]
『 ん、/ ありがと、 』
「 せ、先生。 提出物過ぎちゃいました。 」
『 ん〜?あ、また~? もぉ向井ほんと世話焼ける…… 目黒ごめん、遅くなるから先食べてて! 』
[ 分かりました。 ]
『 あ、向井さん。 』
「 ……? 」
そういうと、目黒先生は俺の耳元でこう言った
[ 俺の辰哉、取らないでくださいね。 ]
「 っ… 」
とるわけないじゃないですか。
もう、
好きじゃないんやから。