私の名前はヒーター。探偵をしている。
今はとある少女をストーキングしてる男を探すためにこの街に溶け込みながら彼女を追っている。この街並みを楽しみながら歩く彼女の長い髪は1度は目に引くものだがそれを追いかけてまで見続けているものは居ない。彼女の気のせいだろうか?何も変わらない人の動きより、私は彼女の方が気になった。目新しい見た目とは裏腹に昔からある時計塔に住んでいたからだ。
あの塔の鍵を開けた者も、開けたのを見た者も居ないあの扉は彼女の鍵で簡単に開いてしまった。勿論、街のみんなも少し驚いた目で見ていたのだが1人だけ全く驚いていない男がいた。私はなるほどなとニヤつきながら彼のことを追うことにした。彼は恐らく街に溶け込むことが上手すぎたために住民としては浮いてしまったのだろう。私も素で驚いていなければ彼に尾行がバレていたに違いない。 相当な手練、だがこちらが有利なのは違いないのでここで終わらせてやりたい。彼は周りを全く気にせずにパン屋に立ち寄り美味しそうな品たちを眺めている。自分の仕事に自信があるからできる芸当でもあるし、ここまで自然に振る舞われたら気のせいだったのかと思ってしまうかもしれない。彼はひとりで食べるには多いくらいにパンを買ったあと新しく出来た発電所に入っていった。恐らくはこれから働いて腹が減るのを職場の仲間たちと共有する目的だろう。あれほど熟練そうな男が新しい発電所にいるのは少し違和感があるが仕事を探すのはいつでも誰でもあるだろうし彼の顔は覚えたから後日発電所に連絡して彼の事を特定し、直接彼女の被害を訴えれば仕事は完了できるだろう。今回の仕事は楽でいい、ラッキーだ。