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とても不味いことになった。なんと彼の名前は発電所に存在しなかったし、彼があの場に立ち寄った記録もなかった。私の追跡がバレていたというのか?彼の技術も素晴らしいが流石に私も負けてはいないはずなのに。また、それを依頼人に話した時も以外な反応だった。彼女は全く驚きもせずにたんたんと聞いていたのだ。普通、なんの思い当たりもなかったとしても動揺してしまうのが普通なのだが異様なまでに落ち着いていた。まるでこの状態を予知していたように。私はそれがとても不審で質問をしてみた。
「あなたは誰かに追われている理由が分かっていますね?」
「さぁ、私には分かりません」
「私の推理ではあなたに特別な原因があると見える」
「なんのことでしょう。あの人たちとあなたは繋がっていたんですか?」
「そういう訳ではありません。ただ、当初の推測であるあなたの美貌に触れてストーキングしているというのは全くありえない現状、あなたについてもっと知る必要があったからです」
私は好奇心半分にこう続けた
「あなたが普段入っている時計塔に私も同行出来ますか?」
「ダメです」
「これまた意外ですね」
直感では分かっていたがここは分からないふりをした
「あそこはただ私が借りて住んでいるだけです。どうしても住む場所が欲しいと頼んだ時、この鍵を渡されました。」
「なるほど」
なるほど、やはりあの場所には理由がある。突き詰めれば入れさせて貰えたかもしれないが紳士としてそれはよくない。これだけの情報があれば充分だ。
「でしたら仕方ありません、もう一度彼の追跡をしてみましょう。前回のように偶然上手くいく機会は少ないでしょうが、急ぐ必要も無いでしょう。」
「分かりました」
こうして昨日と同じように彼女の後ろを追うが彼は居ない。前回とは違い顔がわかっているので見つけるのは容易なはずだが私の追跡が警戒されてるかの如く上手くいかない。となると、答えはもう1つだ。
彼女が時計塔に入るために鍵を開けたと同時に私は彼女を押しのけて時計塔に侵入した。
「なにするんですか!?」
「綺麗な髪だな君は」
「何言ってるんですか!?気持ち悪いんですけど!?」
彼女を無理やり抑えつつ中を見てみると上には歯車が意味不明に組みあげられており、下にはまるで人が住めるとは思えない制御室だけのようだ。
「おい!女の子に手出てたやろが!!」
彼女を助けるべく護身用の銃を取り出しながら男が入ってきたが私はその手を撃ち抜き
「今回の仕事はここで終わらせよう」
「…っ!何すんだテメェ!」
「実は私は彼女に雇われた探偵でね。ここで推理を披露しようと思うんだ。」
「襲えって依頼してないんですけど」
「ごめんて」
「無理やり入ったことについては後で罰金ですからね」
「追加料金無くすから許してくれない?」
「だめです」
「いや、まておまえら、俺撃たれてるから、早く推理を言ってもらって」
「ごめんごめんw、私も頑張ったので罰金は嫌で、まぁ、彼女を突き出せば沢山お金は入りそうだけどね。」
「あなたも私が欲しいのですか」
「冗談だよ、だが、どうやってあの発電所から抜け出したんだい?」
「簡単なことです。私が可愛いから。」
「自分で言います?」
「言います」
…つまり、彼女は脱走犯だったという訳だ。
なぜ発電所に捕まっていたのか?ただの女の子が何に使われていたかと言うと…
「君は宇宙を知っているね」
「詩的な表現ですね。ええ、私は私なりの空があります」
「現在の発電は主に星の力を利用している…新しい発電所も君の力を元に発電する予定だったのだろう。だが、その間に君は可愛さを武器に脱走した。」
私はさらに続ける
「君たちストーカー部隊は彼女を捕まえることが目的だったのだろう。だが、彼女が暮らす時計塔の鍵はひとつしかないし彼女は昼にしか外出せずなかなか遂行できなかった。」
「そこまで分かってんのか…さては発電所に探りに来たのはおめーか…」
「そうだね、まさか発電所がグルだと思わなくて最初は困惑したよ。さぁ、依頼人。君の本当の依頼は私が君に探りを入れさせることで常に人を傍にくっつけて1人にならないこと。でも私の仕事は終わったよ。このまま帰ってもいいんだが追加で支払ってこいつを山に埋めておこうかい?」
「追加料金は?」
「んー、2000Gでいいよ」
「払いますので埋めてきてください」
「え?ちょっと?嘘だよね?」
「ガチだよ。知りすぎちゃったしねうん…なんか家族とかに向けて、最後に言うことある?」
「えっ…」
「そうだ、じゃあ人生の最後に空見せてあげますよ」
「いいねそれは、私も見ていいかい?」
「追加料金チャラにしてくれたら」
「それを見越して言ったな?まぁいいけど」
「これがここにはない空よ」