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※最終ヒロインの聖域 番外編
『あぁん♡そこ♡もっと来てぇ♡』
るるの家では普通にAVが流れている。
──そんなわけは流石にない。これはゴールデンでは流せない少々過激な深夜ドラマだ。どちらにせよ小5に見せていいものではないが。
小5とは思えぬほど大人びた雰囲気を纏ったるるは、だらりとソファに寝そべり、無表情で○ッキーを齧りながらドラマを眺めていた。いつもの光景、注意する者はいない。ここは正確にはるるの家ではなく、貞操観念ぶっ壊れ野郎こと光輝の家だからである。
光輝は夜な夜な違う女を連れ込んだり、病んで部屋をゴミ屋敷にするような駄目な大人の例であり、子供を教育できる立場にない。その為るるは何をしても怒られない悠々自適な暮らしを送っているのだ。ラーメンに唐辛子をぶち込んだり、麦茶と麺つゆを入れ替えたり、財布の中身とコンドームを入れ替えるような悪質な悪戯もやり放題。唯一キレられたのは寝ている間に髪の毛をぐしゃぐしゃにした時くらいだ。キレどころがよく分からない。
「え〜……るるちゃんこういうの好きなの?」
るるから2人分ほど離れたソファの端っこ、その背もたれに全身を預け、長方形のクッションをぐにゃりとU型に曲げたように仰け反りながら光輝が尋ねてくる。るるが居候を始めてもう一年も経つというのに、質問が今更すぎる。その上、人と話す時にそのポーズは何だろう。るるの方からは顔が見えず、上半身だけ消えたみたいになっている。これをやると腰の痛みがだいぶ楽になるが、その代わり頭に血が上って頭痛が酷くなるらしい。「疲れた」と連呼する男はナルシスト気質らしいが、まさしく頻繁に「頭痛が痛い」とぼやいている。重言になっていることには気付いていない。知能まで衰えていそうだ。
「別に。交尾と愛を履き違えてる人間見てると優越感得られるってだけ。単純な面白さならMHKの子供番組の方が勝ってる」
るるが淡々と吐き捨てると、光輝は楽しそうに笑う。
「ははっ、同感。僕も一回寝ただけで彼女面する女この世で一番嫌いだし。大体喘ぎ声わざとらし過ぎるって。分かってないなぁ、日本人は大和撫子のように真面目で慎ましやかなほどエロティック……」
「お兄ちゃんも人のこと言えないけどね」
愛を求めようとするからこのように狂うのだ。この男、ことごとく反面教師である。
数秒の沈黙の後。
「……はいはい、うるさくてごめん」
光輝はマッサージ機のようにゆっくりと起き上がり、その反動でがくりと項垂れた。柳のように垂れた青い髪、その隙間からようやく隣をちらりと見やり、
「るるちゃん、パンツ見えてるよ」
指摘してくるのはせいぜいその程度だ。まるで「消しゴム落としたよ」とでも言うように。
これがもし母親なら、「なんて格好してるの!!女の子なのにみっともない!!」とヒステリックに喚いて、正座をさせて一時間説教を食らわせてきたことだろう。外で散々完璧を演じさせているのに、家ですら一糸の乱れも許さない。自分は深夜にアイスを食べているくせに、食事や睡眠時間を制限してくる。子供を愛さずに欲だけ満たそうとする親が、るるはこの世で一番嫌いだった。だから愛も欲もなく、ただ同居しているだけの他人として接してくれる光輝のことが、好きとまではいかないが、嫌いじゃない。
光輝は女全般を好むが、女児にまで興奮する変態ではない。それを分かっているるるは、スカートが捲れたままわざと足を広げて見せる。
「これ、何の柄だと思う?」
いちご柄に見えて実はさくらんぼ、お気に入りの新品だ。光輝は質問には答えず、視線をどこか遠くにやった。その目は死んだ魚のように虚ろだった。
「るるちゃんは将来、良い女になるよ」
良い女の定義がブレブレだ、とるるは思ったが、ますます不機嫌にさせそうなので言わないでおいた。
テレビの中の女はまだ喘ぎ続けていた。
「夜遅いからるるちゃんのこと寝かせなきゃとか思わないんですか?逆に何を思ってそこに居るんですか?」
家政婦の博愛はこの家を訪れる度に怒っている。他の家の迷惑にならないように一応電気を消し、テレビの放送休止画面だけを灯りにして、二人はぼーっとスマホを弄っていたのだが──入ってくるなりその光景に怒りを覚えたらしい。薄暗い静寂の中、問い詰められた光輝はスマホを見つめたまま微動だにしない。
「無視かこいつ舐めやがって」
博愛の拳に殺意を感じて、るるは咄嗟に口を挟んだ。
「まだ2時だよ」
「もう2時です」
間髪入れずにカウンター。ぎょろりと目玉だけ動かして睨んでくるからより怖い。
「子供は最低でも10時に寝ないと駄目です。背が伸びませんよ」
「いいよ、その方が小回りが利くし」
「寿命も短くなりますよ」
「この時代長生きしても良い事無いよ」
「知ったような口を利くな。まだ何も知らないくせに」
「それは博愛ちゃんも一緒でしょ」
るるのカウンターが決まったのか、博愛は押し黙る。それからるるへの説得を諦め、再び光輝に呼びかけ始めた。
「光輝さんも何とか言って下さいよ。この子明日学校あるんですよ?学校で倒れたら責任取れるんですか?」
物言いがとても人妻だと思ったが、苦虫を噛み潰したような顔をされそうなので言わないでおく。
「大丈夫、明日学校休むって決めてるから」
るるはそうはっきりと言い切った。
「えっ?そうなの?」
「そうだよ」
「……そっか」
静かに納得。休む理由を尋ねないし、休んだら駄目とも怒らない。散々傷付いてきたからだろう、相手を極力傷付けない距離感を弁えている。そんな博愛のこともるるは気に入っている。できることなら母親の代わりになって欲しいくらいだ。
博愛になら休む理由を教えてもいいかな、と思った時。
「だとしても。こんなんじゃるるちゃんのお母さんに怒られますよ?監督不行届で、生活環境も喘ぎ声やらゴミやらに塗れて劣悪で。うちの子になんて生活させてるんですかってそろそろ殴り込まれるんじゃないですか?」
急に母親の話を出され、るるの肩がぴくりと跳ねた。博愛は何も知らないから仕方ないのだが。母親とは家出と同時に縁を切っており、もう家族ではない、どうなろうが知ったことではないと放置されているのだ。るる思いで芸能活動についてもあまり良く思っていなかった父親は、今も養育費や生活費を出してくれており、パンツを含む服一式も送ってくれているが──生活の様子についてはあまり興味が無さそうに窺える。その証拠に電話やメールのやり取りは一切無い。るるが今どんな気持ちでいるかなど分かろうともしない。
光輝はこの状況をどう思っているのだろう。返答が気になったが、彼は尚無視を決め込んでいるようだ。とうとう博愛は舌打ちをしてスマホを奪い取った。
すると光輝は不可解な反応を見せた。
「ちょっるるちゃん悪戯しないでよ〜今フルコンボできてたのに〜」
まさか。そのまさかが、この男には有り得るのだ。
「お兄ちゃん、後ろ」
「ん?」
るるの指摘で光輝はようやく振り返ると、嬉しそうに微笑んだ。
「おっ、博愛さんこんばんは。夜分遅くに来て下さってありがとうございます。明日からまた一週間、僕の部屋掃除お願いしますね」
「……は……?」
博愛は理解が追いつかないといったように固まる。
「え、待って、今来たと思ってるんですか?」
「はい、今来たんじゃないんですか?」
光輝はきょとんと首を傾げる。二人のやり取りが可笑しくてるるは吹き出しそうになる。
「えっ?えっ!?まさかあなた今までの会話聞こえてなかったんですか!?難聴ですか!?」
「会話?……あぁ、全部テレビの音かと思ってました!」
反省のない晴れやかな声。
「そんな……そんなわけがないだろうがああ!!」
ソファ越しに思いっきり蹴りを入れる博愛。
「アッ、腰に効く……♡」
当の本人は気持ち良さそうに悶えていた。
「信じられませんね、パズルゲームごときにこんなに没頭できるなんて」
「僕も昔は電車で延々とパズルやる大人見て何が楽しいんだwって嗤ってました。でもいずれ自分もそうなるんです。疲労が限界に達すると単純作業に癒やしを覚え始めるんです。怖いなぁ怖いなぁ……」
「寝た方がいいですよ」
一蹴。
「正論です、寝ます……」
その蹴りは心に効いたようで、光輝はすごすごと寝室に去っていった。
「セックスのやり過ぎで頭のネジ抜けたんじゃないですかね、性器と一緒に」
博愛は普段はお人好しで優しい性格のはずなのだが、光輝のことになると人が変わったように毒を吐く。光輝同様駄目な大人である。
「まぁ勝手に抜かせとこうよ。そんなことより博愛ちゃん、今夜もるると一緒に寝てくれる?」
るるが上目遣いでぎゅっと裾を引っ張ると、博愛は眼鏡越しに優しく目を細める。
「勿論です。その為に今来たんですから」
この女こそ若干ロリコン気質なのではと疑うほど、るるの甘えにはめっぽう弱い。無茶なお願いも「しょうがないなぁ」とドラ○もんのように聞いてくれる。
近頃は距離も近く、夜中暑くて目を覚ますと、るるにぴったり抱きついて足まで絡ませていることが多々ある。
『も〜るるは抱き枕じゃないよ』
『え、記憶に無いです……すみません……』
そんなやり取りも何度したことか。確信犯の可能性が高い。博愛の方から来てくれるのは嬉しい以外の何物でもないのだが。
「というか一緒に寝ない時なんてないから、わざわざ許可取らなくて大丈夫ですよ。甘えるるるちゃんは可愛いですけども。それ他の人には安易にやっちゃ駄目ですからね?ではパジャマに着替えてきますねっ」
ご機嫌に言い残し、博愛は軽い足取りで脱衣場に向かおうとする。
「別に見ないからここで着替えていいよ」
るるが呼び止めると、明らかに嫌そうな顔をする。
「見なかったことあります?押しちゃ駄目なボタン押すみたいに見ちゃ駄目なもの見るタイプですよね、るるちゃんは」
信用度はゼロらしい。
まさしくその通り、女の着替えなど100%見るに決まっていた。るるは同性愛者というわけではないが、その年にして女の生き様について興味を抱いているのだ。なぜ喘ぐのか、どのように恋をするのか、いつ変化が生じるのか。恋愛の本やドラマをよく見ているのも、優越感だけでなく、色んな女の情報を得たいからだ。恋愛ソングを聴きながら恋愛している女に成りきったりもしている。だがどれも結局「よく分からない」で終わる。 恋愛をしたことがないからなのか、それとも。
博愛は胸が大きい。下着は髪色と合わせた鮮やかなチェリーレッドで、毛も全部剃っている。だが決して恋愛をしない。欲もそんなに無い。光輝に一ミクロンも靡かない。新鮮で、けれどありふれていそうな雰囲気。こういうのも良い女って言うんだろうな、とるるはしみじみと思う。
「ほらそうやってじろじろと見て……あんまり酷いと帰りますよ?」
一人が平気なようで寂しがり屋なるるを脅してくる博愛。もうその手には引っ掛からない。
「どんなに失礼な男でも、どんなに生意気な子供でも、置いてけぼりにしないタイプでしょ、博愛ちゃんは」
「……どうですかね」
博愛は照れ隠しのようにそっぽを向く。
「言うほど生意気じゃないですよ。言動が素直で、良い子なのが滲み出てますから」
こんなに良い女なのに、誰も心を奪えない、誰にも心を奪われない。その揺るぎない事実に、るるは宝石のように果てない魅力を感じてやまないのだった。
この屋敷は広すぎて、るると光輝の二人だけで暮らすには寂しい。だから博愛の存在は大きかった。以前は入れ替わりで女が寝泊まりしていたが、今は週に一人の日帰りになっている。それくらい大きかった。
一番広い空き部屋は博愛専用部屋になった。真ん中に置かれた白のダブルベッドは、るると一緒に寝ることを前提で購入した質の良いものだ。
真っ暗は怖いのでオレンジの間接照明をつけたまま布団に潜り込む。ふかふかのシーツに大の字になると、雲の上に居るようで心地良い。お互いにおやすみなさいと交わしたものの、浮遊感に目が冴えている。博愛もまだ寝息を立てていない。
今なら言える。ぽつり、と自然と言葉が零れ落ちる。
「るるね、昨日、同じクラスの男子に告白されたんだけど」
「えっ凄いじゃないですか!」
博愛はぐるりと身体ごとこちらを向く。人の恋バナには関心があるらしい。眼鏡がない分、瞳の輝きが直に伝わってくる。
「しかもクラス全員の前で公開告白だったんだけど」
「うわロマンチック!今どきの小学生なかなかやるな!」
「るるは無視して帰った」
博愛は「あぁ……」と天井に向き直った。
「その子のこと嫌いだったんですか?」
「何とも思ってなかった。クラスの男子は皆じゃがいもに見えてるから」
「辛辣……いやぁでも気持ち非常に分かりますよ。嫌な人なら頑張って振れるけど、それでも結構きついし、何とも思ってない人じゃ尚更……貰ってるのに何も返せない、一方的に傷付ける立場になっちゃいますもんね。私はそれが嫌で承諾したことあります。結局振って傷付けちゃいましたけど」
博愛は苦笑する。嫌な過去も人に笑って話せるようになったら、それはもう成長の証だ。
「るるも一回は恋愛を経験しておいた方が良いのかと思った。でも相手を利用する恋愛が上手くいくはずないし、愛は人を駄目にするから」
「本当に大人びてるな」
「ううん、大人ならきっぱり振るでしょ。私は逃げた卑怯者だから」
そして明日も逃げようとしている。顔を合わせるのが気まずい、逆上されたら面倒だというくだらない理由で。
「あははっ、大袈裟ですよ」
それを博愛は、怒るどころか笑い飛ばそうとする。
「なんか良い意味で、るるちゃんも子供っぽいところがあるんだなって安心しました」
「それ本当に良い意味?」
「だって子供が完璧だったら大人の立場が無くなっちゃいますもん。私やあの人なんて欠陥だらけですし」
そういえば博愛はとんでもなく不器用だった。こないだもるるが父親から誕生日に貰ったうさぎのマグカップを速攻割って、土下座で謝罪されたっけ。何でも割るのが面白くて、逆に食器洗いを命じたけれど。
「こんなんだって生きてられるんだから、るるちゃんは立派に長生きしますよ。長生きして下さいね?」
圧が凄い。そういうことを真っ直ぐに言われるとこそばゆい。誤魔化すように質問を返す。
「ねぇ、博愛ちゃんは愛って何だと思う?」
「ん?そうだなぁ、私が言えたことじゃないけど……」
博愛はぐんと伸びをして、空に呟くように答える。
「ヤンデレストーカーとか流行ってますけど、やっぱり愛って無償だと思います。見返りを求めず、振られても相手の幸せを願えるような。だから振って逆上したら、そんなにるるちゃんのことが好きじゃなかったってことですよ。浅はかだなって見下せばいいんです。そいつは必ず地獄に堕ちます」
子守唄のように柔らかい声で相変わらずの毒。そして最後に、デザートを添えるように一言。
「私はるるちゃんのこと、好きですよ」
お母さん、と呼びそうになった。呼んでも博愛なら受け入れてくれるが、呼ばなかった。子供にも子供なりの距離感があるのだ。
「博愛ちゃん、私もっ」
それでも身体は正直だった。博愛を独り占めするように、わがままにぎゅっと抱きついた。
「ふふ、いいこいいこ」
頭を撫でられ、脳が溶けそうになる。
これが無償の愛なのだとしたら、駄目になってしまうのも悪くないかもしれない。
懐かしい温もりに包まれながら、るるは深い眠りに落ちていった。
翌朝、るるは重い瞼を無理矢理こじ開け、リビングでMHKの○ないいないばぁを観ながら学校の準備をしていた。
「うわぁるるちゃん偉い!あいつとは大違いですね!」
エプロン姿の博愛が台所で卵を焼きながら、わざと二階に聞こえるように声を張り上げる。光輝は今も呑気にすやすや眠っている。放っておくと12時まで寝ていたりする。三大欲求がどれもバグっている。
「掃除の邪魔なんで、10時になったら無理矢理ベッドから引きずり下ろしますかね」
そう言ってフライパンから引きずり下ろされる卵焼き。一応10時まで待ってあげるところに優しさを隠しきれていない。
「それまではリビングと……るるちゃんの部屋も掃除しといて大丈夫ですか?棚とか引き出しは見ないので」
「うんいいよ」
博愛は見ないと言ったら絶対に見ないタイプだ。魔が差して勝手に覗いてほしい気持ちも少々あるが。唯一見られるのが気恥ずかしいものと言えば──
「部屋、○ラックマまみれだけど驚かないでね」
「リ○ックマ?ってあの有名な?」
「うん、最近ハマってるの」
今までキャラクターものには特に興味が無かったのだが。共演した子役に「面白いよ」と勧められ、原作者の4コマ漫画を読んでみたら、外見の可愛さというよりその中身に惹かれてしまった。生活費の9割をリラッ○マグッズに充てていることだけは決して父親に知られてはならない。
「なんかリラック○ってお兄ちゃんに似てるんだよね」
それが無性に惹かれる理由かもしれない。だらだら寝転がってばかり、でも無気力というわけではなく、ドラマや音楽や食べることを好み、着ぐるみの仕様にこだわり、暑いと一日中風呂に入り、寒いと暖房器具に執着するなど欲望に忠実。行事の際はしっかりコスプレと食べ物を楽しむ。自分の可愛さを自覚し、生きることを真っ直ぐに楽しんでいる。
「あぁ、言われてみれば確かに……あんな愛らしさは微塵も無いですけどね。ほんと○ラックマに失礼」
博愛は可笑しそうに笑ってケチャップを握る。
「はい、完成です」
描かれたハートはハートに見えなかった。卵焼きもぐちゃぐちゃで、殻が入っていて、時々ガリッといく。だから食べると普通の卵焼きより元気が出る気がする。
「行ってきます」
わざわざ紫から買い替えた茶色のランドセルを背負い、リラック○のマスコットを揺らして立ち上がる。
「行ってらっしゃい、気をつけて」
にこやかに玄関まで見送ってくれる博愛。その後ろから、
「おっもう朝ですか、行ってらっしゃい」
いつの間にか降りてきていた光輝が、髪がボサボサでこちらが見えない状態のまま手を振ってくれる。
「二人共、喧嘩は程々にね」
手を振り返して、るるは柔らかく微笑む。告白の振り方はまだ考え中だが、こんな風に笑えばお互い幸せに終われるだろう。そう信じて、たたっと晴れやかな空の下に駆け出した。
るるの聖域は、どこまでも続いていた。