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最初の理由は『数』、それである。
彼我(ひが)の損耗率に差こそ無かったものの、じわじわと人類は押され始めて行った。
ニンゲン同士の権力闘争や、歴史上の忌避感だとか細かい事由は多々あったが、大雑把に言えば『繁殖率』の差、これである。
妊娠期間の短さや出産数の違いだけでなく、モンスターの幼体は生まれて落ちた直後からニンゲンや野生動物に襲い掛かった事も大きかった。
コボルト、ケットシー、コカトリス、オーク、ミノタウロス等の人型のみならず、獣身のモンスターであっても繁殖力は依然高いままで、世界中の人々から元ブリーダーや元繁殖農家、元養殖業の方々は責められ捲ってしまう結果となった。
まあ、世界的食糧不足が高らかに謳われていた時代にあっては、費用対効果を追い求めた彼等だけの罪を説くのもどうか、とは思うが…… あぁ遺伝子操作とかはぁ~、まあねぇ……
無論、この現状を把握した人類だとて、指を咥えてボケーッとしていた訳ではない。
こちらサイドの戦力を増やす為に出来得る限りの努力を文字通り必死で取り組み始めたのだ。
具体的には各種『誘発剤』的な物やバイ○グラ風なお薬を自国民に配布する事から始まって、結婚の強制化、産前産後のケア充実、育児教育の完全国負担、成人までの医療費一部負担まで、大鉈を振るったのである。
そんな社会構造の変化の最中、LGBTの皆さんへの理解と高齢者への福祉施策が悉く捨て去られた事は残念と言うしかない事であるが、死活問題、そう言う苦渋の決断だったのだろう、と思う。
当然だが、一時代を彩った性的多様性はなりを潜めざるを得なかった。
お兄ちゃんだとか妹だとかはもっての外、男の娘や僕っ娘は日陰を隠れ歩くようになり、未来の可能性を摘み取ろうとする真性のロリショタは公開処刑されるに至ったのだ。
薄い本は更に薄くなり、内容も二昔前の『不倫物』や『多対多』、『孕ませ物』や『初心向け』に限られ、一部のコアな支持者、読み専や妄想勢もスッカリなりを潜める結果となってしまった。
コユキや同好の氏達の嘆きが聞こえるようである。
そんな不毛で人権無視の荒野の中でもニンゲンは精一杯の頑張りを見せた、所謂(いわゆる)ノーマルな皆さんと色々過多だった人々である。