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(目覚まし時計の音)
「はぁ…」
目を覚まし、身体を起こすと母はそこには居なかった。
その代わりテーブルの上に置き手紙があった。
『秋斗へ。
私はしばらく彼氏の家に泊まるから、家のことよろしくね。
お金は引き出しの中にある茶封筒に入ってるから。遊んでばかりじゃなくてちゃんと学校にも行ってね。来週には帰る。
ママより 』
「まじかよ…」
棚の引き出しを開け、茶封筒の中身を確認する。
1、2、3… 全部で5万ある。
1週間なら余裕で足りる。
仕事、休む機会なんて無いって思ってたけど
1日くらいゆっくりしてみるのも良いかもしれない。
いつもクソ真面目に学校も行ってたけど、1日くらいはサボってもいいかもしれない。
手紙にはちゃんと学校行けって書いてあったけど
たまには休んでもいいだろ
学校に連絡するのはめんどくさかったから、バイト先にだけ連絡を入れる
先輩にはゆっくり休めと言ってもらった。
「何しよ〜…」
よくよく考えずとも何もする事がない。
「はぁ〜…俺ってつまんねぇ人生生きてんな」
自分の未来が描けない
何も希望がない
俺は将来、何をしているのだろう。
『『死ぬまでにやりたいこと!』』
つい一昨日ぐらいに見かけた言葉が唐突に頭に浮かんだ。
「死ぬまでにやりたいこと、ねぇ…」
友達とゲームをしてみたい。
自分の好きなことをしたい。
気になっていた部活をしてみたい。
…普通の家の子供になりたかった。
もっと楽しい人生を送りたかった。
思考がやりたいことから欲望になっていく。
何考えてんだ、今から死ぬわけじゃねぇのに
『死ぬまでにやりたいこと』
俺には難しいかもしれない。
まず友達を作るとこから始めなきゃな笑
そこら辺にあった要らないであろう紙を手に取りペンを進めていく
やりたいこと、というか出来るならやってみたいことも含むが自分の思い付くものを書き留める
・いろんな仕事をしたい
・旅行に行ってみたい
・遊園地に行ってみたい
・家の片付けをしたい
・夢中になれるものを見つけたい
…意外とあるのかもしれない。
家の片付けはいつでも出来るけどな笑
「…あ、」
・一人暮らしがしたい
1人で、自由に暮らしたい。
母も次々に家にやってくる男もいない暮らしがしたい。
「今度連れてくるって…今度っていつだよ…」
出来るものなら会いたくはない。
毎回毎回クズばっか。
今回だってそうだろうから
ぐぅ〜とお腹の音がなって時計を見るともう昼だった。
死ぬまでにやりたい事を考えてたらあっという間に昼になっていたらしい。
「何食べよ、」
がさごそと棚を漁ってみる
俺にはカップ麺という選択肢すらも無いのかもしれない。
冷蔵庫を開けるも、あるのは母の酒である。
「だよな…」
重たい腰を持ち上げてコンビニへ向かう。
スーパーまでは遠すぎる。
とりあえず昼飯と晩飯、明日の朝ごはんの確保をしなければ…
だらだらと支度をし、当然返事の無い空間へ挨拶だけはする
「いってきます」