🤍「………………本題に入る?」
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💙「……………………はい、」
🤍「若年性アルツハイマーって、知ってる?」
💙「……知ってます、」
“若年性アルツハイマー。”
別名、若年性認知症。
簡単に言えば、若い人がなる認知症。
原因は様々あるが基本的には脳内のホルモンバランスの変化が原因。
症状は一般的な認知症と同じ。
🤍「…………それなの、舞知瑚」
💙「っ……………………」
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数年前__
No side__
小野寺舞知瑚は、高校2年生だった。
彼女は、家族にも、彼氏にも恵まれて過ごしていた。
そんな彼女は、ある違和感を抱くようになった。
「記憶力の低下」
今までは記憶力は良かった方である彼女。
でも、簡単なものが思い出せない。
誰かとの約束、誰かとの会話、そんなものが思い出せないことが増えた。
でも、そんなこと、誰にだってあるだろう。
そう思っていた彼女だが、日に日に記憶力は低下していくばかり。
不審に思った彼女は、3年生の後期に入った頃、母親にそれを伝えた。
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しろせんせーside__
🤍「急に言われたの」
🤍「最近物覚えが悪いんだって……」
🤍「最初は私もただ悪くなっただけかと思ったけど…」
🤍「私達との約束とかお友達との約束とか忘れて……」
🤍「病院に行ったらそれ…だって…………」
🤍「今は薬があるし定期的に私達も連絡するようにしてるから覚えていられるんだけどね…」
🤍「実家の場所とかすぐに忘れちゃって……」
🤍「……だから、迷惑かけるかもって……」
🤍「裕太くんと……」
その言葉の続きはすぐに分かった。
だから、俺を振った。
__あぁ、だからか。
全ての辻褄があった気がした。
だから彼女は__
💙「そう、だったんですね……」
💙「…………………………あのっ…」
💙「…………記憶が、戻る可能性はありますか」
🤍「……………………分からないの」
💙「……じゃあ、0じゃないんですよね」
🤍「…………うん、」
💙「じゃあ、記憶を取り戻します。」
💙「1%でも、0.1%でも、可能性があるなら」
💙「……俺は舞知瑚の記憶を取り戻したいです」
🤍「……裕太くんは、舞知瑚のことがまだ好きなの?」
💙「はい」
これだけは絶対に言える。
俺は間違いなく彼女が好きだ。
🤍「……………………そう、」
また、お母さんは笑った。
何故か、また切なそうに。
🤍「……優しいね、裕太くんは」
💙「……………………いや、」
🤍「……でもね、一つだけ」
🤍「舞知瑚は、舞知瑚だから」
💙(…………………………?)
💙「はい…………」
その時はまだお母さんのその言葉の意味がわからなかった。
そして、意味がわからなかったことを後悔することも知らなかった。
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第一章「彼女の過去」完結。
𝐍𝐞𝐱𝐭➝「𝐇𝐚𝐥𝐟𝐰𝐚𝐲 𝐏𝐨𝐢𝐧𝐭」
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【𝐏𝐫𝐨𝐟𝐢𝐥𝐞】
💙白井裕太
活動名➝しろせんせー
早稲田大学生。
小野寺舞知瑚の元彼。
🤍小野寺舞知瑚の母
白井裕太と知り合い。
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𝐇𝐚𝐥𝐟𝐰𝐚𝐲 𝐏𝐨𝐢𝐧𝐭・・・中間地点
若年性アルツハイマーとは、実際にあるものです。
症状は作中でも説明した通り。
このお話では、物語を進めていく上で若年性アルツハイマーの症状を1部変更しています。
若年性アルツハイマーに関わらず様々な症状や病気、特性、障害、性格、環境で苦しんでいる方々へ。
きっと、ずっと頑張っているんだと思います。
他人の事だし、全く知らない人のことだけれど、その苦しさを知ろうとすることはできます。
頑張りすぎなくていいと私は思っています。
自分のペースで、自分の歩幅で、自分の選んだレールで歩んでいって、その先に幸せが待っていることを願っています。
別に死ぬ事が頑張って無いわけじゃないけど
生きてる、それがもう頑張ってるんです。
今は亡き方々も、生きてる間ずっと頑張ってきたと思います。
よく頑張ったね、お疲れ様。
𝐓𝐡𝐚𝐧𝐤 𝐲𝐨𝐮 𝐟𝐨𝐫 𝐰𝐚𝐭𝐜𝐡𝐢𝐧𝐠.
コメント
6件
考えさせられましたがすごくいいと思いました、!
なるほどですね… この作品1番好きです!楽しみにしてます