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かきまぜたまご
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#バトル
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神罰ノ会
終末世界で今も尚生きる生存者を救うため結成された慈善団体。
【主な業務】
・化け物の駆除・対策
・一人で生きることが困難な生存者の保護・治療・メンタルケア
・安全圏拡大への協力
現在、指示員・現場員・治療員の三部隊が主力となって活動している。
──夜の風は静かで無情なほどに冷たかった。
人成らざるモノの呻き声、目の前に広がる血だまり、タンパク質と化すか弱い肉の塊。
安全圏から出た途端にこれだ。今となっては安全圏から耳障りなほど響く都会の騒音が恋しい。
分りたくなかったが、この世界は本当に終わってしまっているのだ。私は、ただ安全圏の外でも生き抜いていると言う生存者を求めただけなのに。
あぁ……私は死ぬのか。こんなにもあっけなく?
安全圏には、不安そうな顔をしながらも見送ってくれた友人が待っていると言うのに?
いやだ、やだ。
死にたくない。生きたい。未来を見たい。
そんな心もお構いなしに、化け物はこちらに手を伸ばす。
殺され──
グシャッッッ
………………
胸を内側から叩かれる感覚が止まない。
……生きている…?
「怪我はありませんか?」
肉を踏みしめる音と共に、微かに高い声が耳に入った。
恐る恐る目をあける……
……そこに立っていたのは布の余ったローブを羽織っている子供の姿だった。
「武器も持たない人間がこんな場所に何の用ですか?
外の危険さも知らない安全圏に入り浸っていた生存者が。生きる喜びを忘れましたか。」
夜の風くらい冷たい声だった。
…15歳程だろうか。体に釣り合っていない大きな斧を担いで私を見下している。
目は非常に冷ややかだ。声が震える、喉が渇いたように音が出ない。とにかく、感謝だけでも。
「あ、あの……た、助けてくださ、ってありがとう…ございました……!」
「業務の一環です。余程欠損していない限り、生存者を見捨てることは必ず評価に響くので。
それより早く立って。まだわたしの仕事を増やすつもりですか?」
素っ気なくそう告げると、救世主は乱雑に私の服の袖をつかんで引っ張った。
安全圏まで案内してくれるのだろうか……それにしたってもう少しやり方があると思うのだが。
「……お名前とか、聞いても…」
「R-0815です。人間名義のフルネームは与えられていません。
どうせ覚えられないでしょうし、リレイとでも呼んでください。」
「あなたは、どうしてこんな所に来ていたんですか?」
「業務のためです。それ以上も以下もありません。
実績を積み、生きるための報酬を受け取る。それだけです。
……まさか、自分が特別なのではと思いあがっていたんですか?」
「いっ、いえ! そんなことは……」
「なら良いです。」
彼から話すことは無かった。ただ無造作に袖を引っ張り、導くだけ。
これも仕事の一環だと言うのだろう。慈善団体……私はそう言ったモノに詳しくないが……
どんな団体なんだろう。
「つきました。早く家に帰って休んでください。
一応、後日医師の診察を受けるように。肺が汚染されている可能性があります。」
「はい……」
「まったく……戦う術すら持たない人間が安全圏の外に出ようなど、思い上がりも甚だしい。
今回の件は、運が良かっただけに過ぎません。
これからは無駄な欲に従わないようお願いします。好奇心は猫をも殺す、と言うでしょう。」
「はい、すみませんでした……あの、本当にありがとうございました…!」
「分かればいいんです……
では。くれぐれも、恩を仇で返すような真似はしないでくださいね。」
そう言い残した救世主はまた安全圏の外へと去っていった。
まだ、仕事が残っているのだろう。あの人もあの人で忙しいんだ。私のために時間を割いてくれたコトは、さっき言っていた通り運が良かっただけに過ぎない。
……私は、あの人について何も知らない。恩はあれど、不愛想で、乱雑な部分が目立つ人だった。
だが、この世界で生きていく人間とは。
あの人のような無機質さを兼ね備えた人間なのだろう。