新作です。
「…よし、これで最後…っと」
赤い鮮血が宙を舞う。
それとほぼ同時に、赤く染まった体から小さな悲鳴が上がる。
耳が良い彼は暗闇に顔を歪める。
「うるさいなぁ…」
倒れてしまった体から出ていた小さな悲鳴にとどめを刺すように、持っていた刀で口を掻っ切る。
何も、音の無くなった路地裏の片隅。
死体が放棄されたそれは、後にニュースとなってしまった。
「…また、やったんですか…坊ちゃん」
頭を抱えた白髪の老人。
背筋がピンとしているそれは、老人ではなく、物語の中に出てくる「執事」を連想させる。
「仕方ないじゃん。うるさかったんだから」
ソファに寝転がった青色の瞳には、一向に光を通す事は無い。
見ている先のテレビの光さえ、通さない。
執事の彼が、ため息を零す。
「…はぁ」
正しくは救済を。
間違えば粛清を。
それが、教会の仕事ではなくとも。
「坊ちゃん。新しい仕事です」
「ん、見せて」
また今日も、彼は「分別」を施す。
そして今日も、人はまた1人と減るだろう。
「……あ、この人有名人じゃん」
それがまた、「人に好かれる」ニンゲンであったとしても…
「はい。この人物は何人もの女性に痴漢を働き、挙句には行為をして丸め込み、お金を巻き上げては風俗に通っていたようです」
「うっわぁ〜クズだね」
光を通さない瞳がまた、暗く染まる。
「これが今日の仕事?」
「はい」
「…この人のスケジュール。あと、生年月日や通ってた風俗名諸々調べておいて」
「了解しました」
靴のまま上がるこの家には、靴を履く場所がない。
玄関と呼ばれる、外と家の中を遮断するためだけの扉を開けようと青色が手を伸ばす。
「坊ちゃん」
「…な〜に?」
「…目立つ行動は避けるように」
「わかってるよ。行ってきま〜す」
緩く手を振る彼。
彼の横を通り過ぎる一般人は知らないだろう。
彼が着る黒いコートの下。
そこに、一本のナイフが隠されている事を。
「さぁて…やりますかぁ〜」
コメント
7件
めっっっっちゃ楽しみ!!
楽しみすぎて死にそう
うわぁぁぁぃ!!楽しみぃぃ!!