ー翌日ー
私は昨日の父の反応にいまいち納得がいかず、寝付けなかった。
完全なる寝不足だ。
出社するために、リビングへ行くと父と母が食事の準備をしていた。
相変わらず、仲がいいな。
「おはよう、響子」
「おはよう、あら? まだ眠たそうな顔しているけど大丈夫」
「寝不足なだけ」
ふと、私は昨日の父のイタズラに対して説教したくなった。
「お父さん、昨日のあれ。ちょっと趣味悪すぎ」
「趣味悪いってなにが?」
「お父さんのデバイスを停止しますって言って、実際に固まったこと」
父は不思議そうな顔を浮かべ、
「なんの話?」
「ああ! もう、いいや、この話題はおしまい」
私は父の顔を見るのが嫌になって、自室に戻った。
「響子、朝ごはんどうするの?」
と私と父のやりとりを聞いても動揺していない母の声が聞こえる。
「後で食べるから、先食べてて」
はあっ、イタズラ好きもここまでくるとたちが悪いなと考える。
今度、父に断酒とダイエットさせよう。
そう言えば、デバイスってアプリの設定で見れるかな?
「Hi, ボイスフレンズ。設定画面を開いて」
【Yes】
その瞬間、目の前に電子画面が表示される。
設定画面のこのボタンを押して、
「これか。うん、あれ?」
デバイス一覧に奇妙な表記があった。
・iエアコン SFK-002
・T2スピーカー KOK-117
・お父さん MFBー782
・お母さん MFBー491
:
:
お父さんとお母さんって、この表記なに?
お父さん、デバイスにこんな愛称を付けたの?
ふと、昨日の状況を思い出す。
お父さんを止めてと言ったら、父は動きを止めた。
なに、このイタズラ、趣味悪いって。
わざわざ設定までして手が込みすぎてる。
今日仕事終わったら、説教しよう。
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