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物心着く前から、僕らはカルミアにいた。
最初の頃は特に変わったことは無かった。
一人一人に部屋があって、遊んで、お勉強して
たまに注射や点滴をうつぐらい。
幼稚園とさほど大して変わらない。
お勉強やお絵描き、カルミアの人が見守る中で過ごしていた。カルミアの人のことを僕らは先生と呼んでいた。
紫音とはずっと一緒にいた。
「紫音、また怪我してる、、僕のお部屋おいでばんそーこーはってあげる」
「ん、、」
「もー、なんでこんなにけがするの?」
「だって、アイツらが柊斗の悪口言うんだもん」
「別に気にしてないから大丈夫だよ。」
「俺が気にする、、!いつも、、柊斗が女みたいだって笑うし、柊斗の描いた絵とかバカにしたり、、」
「ふふっ、」
「何がおかしいの?」
「いや、紫音は優しいなと思って」
「、!///」
「あれ?顔赤いよ?お熱ある?」
手の平を顔の真っ赤な紫音のおでこに当てる
「な、ない、!ば、ばんそーこー、ありがと、」
「うん!」
紫音は僕のヒーローだった。
怖がらずに自分の意見をちゃんと言える
そんな紫音のことを僕は尊敬していた。
僕らが12才になるとバース性が発表された。
発情期が来るのは早いと13才位で来るからバース性について勉強するためだろう。
「ぐっ、、」
お腹を強く蹴られた、痛い、、いたいよ、、
「女みてーだと思ってたけどまさかΩだったんだな笑」
「紫音も可哀想だよな、今まで庇ってた相手がβでもαでもなくΩだなんて笑」
泣いちゃダメだ、、泣いたら相手の思うツボだ、、Ωでも、筆記試験とか、実技でカバーできる、!マスターだってそう言ってた、、!
「落ちこぼれのΩだけどさぁ、ずるいよなぁ」
ずるい、、、?
「フェロモン撒き散らしとけば、出世出来そうだよな笑」
「、、!、ゔぉぇ、、」
はらわたが煮えくり返った。想像しただけで吐けた。フェロモンを撒き散らす?そんなの出来るかどうかも分からないのに、したこともないのに
「うわっ、きったねー」
「吐くなよ、気持ち悪いな」
もう、やだ、、、助けて、、紫音、、
「こらっ!そこでなにしているの!」
「げっ、せんせーがきた、!」
その後のことはよく覚えてない。
凄く気分が悪くて気持ち悪くて2日間くらい寝ていたそうだ。僕をいじめたヤツらは謹慎処分を受けたそうだ。
「ん、、」
まぶしい、、ここは、、おへや、、?
目を開けた先には見慣れた天井があった。この状況を理解するのに少し時間がかかった。起き上がろうと顔の向きを変えると、そこには今にも泣きそうで、今にも消えてしまいそうな紫音がいた。
「しおん、、?」
「柊斗、、!だ、大丈夫、?!」
「うん。多分」
眉毛や目じりが下がりほっとした顔で紫音は柊斗のことを強く抱き締めた。
「!、、ちょっと、苦しいよ笑」
「ごめん、、俺が、、、そばにいなかったから、、」
「ううん、紫音のせいじゃないよ。僕が、
Ωなのがいけないんだ」
自分でも言いたくなかった。バース性に左右されず生きたかった。でも、僕がこうして傷つく事で紫音を苦しめてしまうならいっそバース性を使って君と距離を置こうとした。
僕という存在が君の枷になっている気がして
すごく怖かった。
「ばかっ、、!Ωかαかなんて関係ないだろ、!みんな、同じ人間なんだっ、、!」
「!、、うん、、そうだね、」
この言葉にどれだけ救われたことだろう。
Ωだから、αだから、、その言葉が嫌いで、
Ωの自分が嫌いで、紫音の枷になってしまう自分が嫌いで仕方がなかった。でも、君がそう言ってくれるなら、君の枷になっていないのなら
僕は君のそばにいたい
「やっぱり、紫音は僕のヒーローだ、」
時は流れ、僕らは15才になった。
筆記試験や実技試験で波長の会う能力の人がバディとして組むのだ。
自分より遥かに強い相手や戦車と対峙する時よりもよっぽど緊張した。
「バディ、誰だろうな」
僕は紫音となりたいな
なんて言えなかった。
「なるべく常識のある人がいいな、」
「Ωとαで構成されるんだろ?βはβ同士だよな?ったく、反吐が出る。バース性なんか関係ないのにさぁ、そんなんだからΩが忌み嫌われるんだよ、」
ほんとに君は優しいなと思った。
「紫音、あそこにバディが貼られているよ」
「「..!!」」
霧谷 紫音&天崎 柊斗
「うそ、、紫音とバディ組めるの、、?やった、、」
心臓の音がうるさいくらいによく聞こえた。
顔から火が出そうなくらいに熱くて
胸から心臓が出そうなくらいに動いて
気持ちの悪いくらいに口角が上がった
「柊斗と、、バディ、、?やばい、、涙出てきた、、」
「え?!ちょっと、、な、泣かないで〜、、
ほ、ほらっ!ハンカチ、!」
「いや、大丈夫だ、、ただ嬉しいんだ。これで、、柊斗を守れる、、」
「、!守るって、ふふっ、紫音は僕のヒーローだね」
「なっ、うるせぇ!はずいだろ!」
この時、分かってしまった。
僕は紫音に対して尊敬でもヒーローでもなく
なにか別の特別な感情を抱いているのではないかと。この特別な感情が何なのかわかってしまうと僕と紫音の間に深く大きい亀裂が入ってしまいそうで怖かった。
だから僕はこのなにか特別な感情に蓋をした。
誰かにも、、自分にも、、悟られないように。
次回
過去編の続き!琉生と李央がでるよ!