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ゆうくんからの長いメッセージを、のあはスマホの画面いっぱいに見つめていた。「俺だけ見ててほしい」「不安で苦しい」──
その言葉たちが、胸の奥にじわじわ染み込んでくる。
のあは深く息を吸った。
ゆうくんのことが嫌いなわけじゃない。むしろ好き。
でも、この重さに今の自分が耐えきれるかは、わからなかった。
画面のキーボードに指を置いて、何度も消して、打ち直す。
「どうしよう」
小さく呟いた自分の声が震えている。
ようやく送信したのは、たったこれだけの言葉だった。
『ゆうくん、ちょっとだけ時間ほしい。
嫌いになったわけじゃないよ。
でも、今の気持ちのままじゃ、苦しくなりそうだから…』
送信ボタンを押した瞬間、のあの胸の奥で小さく音がした。
後悔の音か、決意の音か、自分でもわからない。
スマホの画面が暗くなって、部屋の中の自分の顔が映った。
目の奥が赤くなっているのが見える。
のあはスマホをぎゅっと抱きしめた。
「ゆうくん、ごめんね…」
その声は誰にも届かず、夜の静けさに溶けていった──